オートロック車には主に2つのタイプが存在します。車速連動型は、車が一定速度(通常20km/h)に達すると自動的にドアロックがかかるシステムです。これにより走行中の安全性が向上し、特に小さなお子様がいるご家庭では、突然ドアを開けてしまう事故を防ぐ重要な機能となっています。
もう一つは降車時オートロック型で、スマートキーを携帯して車から離れると自動的に施錠されるシステムです。ホンダの新型FITやトヨタのアクアなど、多くの現代車に搭載されており、車から1.5m離れて2秒経過すると「ピッ!」という音と共に自動施錠されます。
これらのシステムは工場出荷時にはOFFに設定されている場合が多く、ディーラーでの設定変更やユーザーカスタマイズ機能を使って有効化する必要があります。設定方法は車種によって異なりますが、マルチインフォメーションディスプレイから簡単に変更できる車両が増えています。
2024年の統計によると、全国で6,080件もの自動車盗難が発生しており、1日平均16〜17台の車が盗まれている計算になります。オートロック機能は基本的な盗難対策として有効ですが、近年増加している「CANインベーダー」や「リレーアタック」といった高度な手口には限界があります。
CANインベーダーは車両のCANバス(車内ネットワーク)に不正アクセスして車両を制御する手口で、最新のスマートキー搭載車でも被害に遭う可能性があります。リレーアタックは、スマートキーの電波を中継して車両を解錠・始動する手口です。
そのため、オートロック機能だけでなく、物理的なハンドルロックとの併用が推奨されています。ハンドルロックは視覚的な抑止効果が高く、窃盗犯にとって時間のかかる作業となるため、盗難リスクを大幅に軽減できます。
多重防犯対策として、以下の組み合わせが効果的です。
オートロック車を選ぶ際は、まず標準装備かオプション装備かを確認することが重要です。軽自動車でも標準装備されている車種が多い一方で、トヨタのアクアのように人気車種でも標準装備されていない場合があります。
設定の柔軟性も重要なポイントです。車速連動の作動速度を変更できるか、降車時オートロックの感度調整が可能かなど、ユーザーの使用環境に合わせてカスタマイズできる車種を選ぶと良いでしょう。
注意すべき点として、誤作動のリスクがあります。アクアの降車時オートロック機能では、ドアを閉じた後すぐに車から離れると施錠されない場合があり、雨天時など急いで車から離れたい状況で不便を感じることがあります。
また、バッテリー上がり時の対応も確認が必要です。オートロック機能が作動した状態でバッテリーが上がると、物理キーでの解錠が必要になる場合があります。緊急時の解錠方法を事前に把握しておくことが大切です。
既存の車両にオートロック機能を追加したい場合、後付けオートドアロックキットの導入が可能です。特に人気なのがブルコン製の車速ドアロックシステムで、車速20km/h到達時の自動施錠とパーキング時の自動解錠機能を提供します。
取り付けは比較的簡単で、ナビ裏配線にカプラー接続するだけで完了し、作業時間は約15分程度です。ただし、車種によって対応状況が異なるため、事前に適合確認が必要です。
後付けキットの選び方のポイント。
DIYでの取り付けに不安がある場合は、カー用品店や整備工場での取り付けを依頼することをお勧めします。配線ミスによる車両トラブルを避けるためにも、専門知識を持つ技術者に依頼する方が安全です。
オートロック機能を長期間安定して使用するためには、定期的なメンテナンスが重要です。スマートキーのバッテリー交換は最も基本的なメンテナンス項目で、電池残量が少なくなると感度が悪くなり、オートロック機能が正常に作動しない場合があります。
ドアセンサーの清掃も重要なポイントです。汚れや異物が付着すると、ドアの開閉検知が正常に行われず、オートロック機能に影響を与える可能性があります。月に1回程度、柔らかい布で清拭することをお勧めします。
寒冷地での使用では、凍結対策が必要です。ドアハンドル周辺やキーシリンダー部分が凍結すると、物理キーでの緊急解錠ができなくなる恐れがあります。解氷スプレーの常備や、屋内駐車場の利用を検討しましょう。
また、設定の定期確認も大切です。車両のソフトウェア更新やバッテリー交換後に設定がリセットされる場合があるため、半年に1回程度は設定状況を確認し、必要に応じて再設定を行いましょう。
長期使用のコツとして、以下の点に注意してください。
これらの対策により、オートロック機能を長期間安全に使用することができ、愛車の防犯性能を維持できます。