軽トラックのカスタムシーンが大きく変化している。かつては農業や建設業などの業務用車両としてのイメージが強かった軽トラックだが、近年では趣味性の高いカスタムカーとして注目を集めている。
この変化の背景には、アウトドアブームの影響が大きい。キャンプやサーフィン、釣りなどのアクティビティが人気を集める中で、荷物をたくさん積めて悪路にも強い軽トラックの実用性が再評価されている。さらに、カスタムパーツメーカーの参入により、おしゃれで機能的なパーツが豊富に登場したことも人気の理由だ。
特に注目すべきは、メーカー自身も軽トラックのカスタムに積極的に取り組んでいる点だ。スズキが東京オートサロン2024で発表した「スーパーキャリイ マウントトレール」は、オフロード走行に特化したデザインで大きな話題を呼んだ。
軽トラックのカスタムには大きく分けて3つのスタイルがある。
レトロカスタム 🚛
1970年代の軽トラックをモチーフにした丸目ヘッドライトが特徴的なスタイル。親しみやすい印象で、女性からも人気が高い。代表的なキットには、マツダ「ポーターキャブ」をモチーフにした「ムークキャブ コンプリートキット」がある。
アゲトラカスタム ⛰️
車高を上げてオフロード性能を向上させるカスタム。ブロックタイヤと組み合わせることで、悪路での走破性が大幅に向上する。見た目のインパクトも強く、アウトドア派に人気。
アメリカンレトロ 🇺🇸
1950年代のアメリカ車をイメージしたカスタム。ジープ「FC150/FC170」をモチーフにした「ウーキーライダー」などが代表的。
2024年は軽トラックカスタム界にとって記念すべき年となった。オートバックスセブンが展開する「GORDON MILLER」ブランドから、新レーベル「GORDON MILLER WORKS UTILITY」が発表され、第一弾として「GMLWU T-01」が登場した。
この車両の特徴は以下の通り。
また、二輪業界の名門ヨシムラが軽トラック市場に参入することも発表された。老舗ホイールメーカーWEDSとのコラボレーションにより、軽トラック専用の超軽量ホイール「ヨシムラ WRS Seven」を2024年春に発売予定。
軽トラックカスタムの魅力の一つは、比較的簡単にDIYでカスタムできる点だ。初心者におすすめのカスタムポイントを紹介しよう。
フロントフェイス交換 🔧
最も効果的で手軽なカスタム方法。車検対応のキットを選べば、装着したままで車検を通すことができる。Spiegel(シュピーゲル)のランクル顔「ハイゼットトラック」用フェイスキットは19万8,000円と比較的リーズナブル。
ホイール・タイヤ交換 🛞
軽量ホイールとブロックタイヤの組み合わせで、見た目と機能性の両方を向上させることができる。オフロード走行を想定する場合は、車高アップも同時に検討したい。
ステッカーカスタム 🎨
最も手軽で費用を抑えられるカスタム方法。スズキ「スーパーキャリイ Xリミテッド」の専用デカールは自作も可能で、オリジナリティを演出できる。
軽トラックカスタムの未来を占う上で注目すべきは、電動化とAI技術の活用だ。ヤマハが東京オートサロン2024で展示した「Concept 451」は、テキスト生成AIと画像生成AIを活用してデザインされた革新的なモビリティだ。
この車両は1人乗りの電動パーソナルモビリティとして設計されており、移動だけでなく軽作業も可能な仕様となっている。特に中山間地域での高齢者の移動手段として期待されており、「軽トラックの運転は厳しいが、農業は小さくでも続けたい」という課題を解決する可能性を秘めている。
また、カスタムパーツの製造技術も進歩している。FRP(繊維強化プラスチック)製パーツの精度向上により、純正品と遜色ない品質のカスタムパーツが登場している。BLOWの「Funny Rider」シリーズでは、荷台部分に精巧なFRP製シェルを搭載したキットが162万2,800円から販売されている。
カスタム業界の技術革新
軽トラックカスタムは単なる趣味の領域を超え、地方創生や高齢化社会への対応といった社会課題の解決にも貢献する可能性を持っている。今後も技術革新とともに、より多様で魅力的なカスタムオプションが登場することが期待される。
モデストのような専門業者では、新車・中古車の調達からカスタム、アフターサービスまでワンストップで対応しており、初心者でも安心してカスタムを楽しむことができる環境が整っている。軽トラックカスタムは、これからも多くの人々に愛され続ける文化として発展していくだろう。