岡谷ジャンクション周辺における事故の大半は追突事故です。県警高速隊の分析では、渋滞の最後尾で高速で接近した車両が急制動を強いられる際に、ドライバーの集中力の低下やわき見によって衝突が発生しています。
工事期間中の2024年5月から9月にかけて、この区間での交通事故件数は前年同時期と比較して大幅に増加しています。特に物損事故が20件、人身事故が3件という報告もされており、渋滞の激化が直結して事故頻度を高めています。危険性は単なる接触事故ではなく、後続車による多重衝突へと発展しやすいという特徴があります。
2024年9月時点の報告では、長野道上り線における事故多発が特に深刻化しています。渋滞の根本原因は、1986年に開通した岡谷高架橋の老朽化に伴うリニューアル工事です。当初2024年11月末までの工事予定でしたが、工事規模の大きさから2029年までの6年間にわたる長期工事に変更されました。
この工事により、長野道の岡谷インターから岡谷ジャンクションまでの区間が、上下線ともに2車線から1車線への規制が実施されています。中央道でも諏訪インターから岡谷ジャンクションまでの下り線が対面通行規制となり、ドライバーの急激な判断を迫られる局面が増加しています。
ネクスコ中日本は複数の安全対策を講じています。渋滞末尾での追突事故防止を目的に、音声で注意を促すスピーカーシステムを新たに設置しました。また、みちラジなどの交通情報通知アプリを通じて、リアルタイムの渋滞情報をドライバーに提供しています。
注意喚起用の看板も増設されており、特に中央道上り線では約500メートル間隔で注意標識が配置されています。さらに、工事開始から7キロ手前から50キロの速度規制が始まり、ドライバーの速度低下を促しています。これらの対策にもかかわらず、事故件数が減少していない理由として、渋滞予測の困難さと、急激な停止を強いられる道路構造が挙げられています。
岡谷ジャンクションは通常の高速道路とは異なる特殊な構造を持っています。分岐後すぐに橋になる設計であり、長野道へ接続するランプ部分がすでに橋になっているため、ほかのジャンクションと異なる交通流が生じます。
この構造により、ドライバーが十分に減速できないまま分岐地点に到達する傾向があります。また、工事に伴う車線規制により、急激な車線変更や接近が頻繁に発生します。阿部守一長野県知事も県議会6月定例会で「これは異常事態である」と述べるなど、県当局でもこの状況を重大な課題と位置付けています。
岡谷ジャンクション付近を通行する際、ドライバーが実践すべき安全対策があります。第一に、工事区間の看板を見かけたら、渋滞が発生する可能性を十分に認識し、いつでも減速できる心構えを持つことです。
第二に、車間距離を十分に確保することです。県警高速隊の副隊長は「渋滞の中でも停車発進を繰り返す中で、ちょっとしたわき見などで事故が発生する」と指摘しており、わき見の危険性が強調されています。第三に、みちラジなどのアプリで事前に渋滞情報を把握し、ルート変更を検討することです。松本での一時停止を勧める「松本でもう少し観光をして渋滞をさけて帰ろう」キャンペーンが実施されており、このような迂回ルートの利用も有効です。
長野道と中央道のリニューアル工事は2029年まで継続予定であり、この間、岡谷ジャンクション付近の危険性は続きます。安全意識を高めた運転が、今後も極めて重要です。
参考:工事渋滞と事故防止対策について詳しく知りたい方は、ネクスコ中日本の公式サイトで常時更新される所要時間やリアルタイム渋滞情報が参考になります。