日産新型テラは、全長4890mm×全幅1865mm×全高1865mmという堂々たるボディサイズを誇る本格SUVです。ホイールベースは2850mmと長く、最低地上高は225mmを確保しており、オフロード走行にも対応できる設計となっています。
エクステリアデザインでは、日産のアイデンティティであるVモーショングリルを大型化して採用し、力強さとタフネスさを表現しています。2021年のビッグマイナーチェンジでは、フロントマスクを中心に大幅な変更が行われ、より迫力のある表情に進化しました。
特筆すべきは、フロントバンパーやグリル、リアスポイラーなどにグロスブラックを採用した「SPORT」グレードの存在です。このスポーティな仕様により、従来のSUVとは一線を画すワイルドな外観を実現しています。
国内で販売されているエクストレイル(全長4660mm×全幅1840mm×全高1720mm)と比較すると、テラは明らかにひと回り大きく、トヨタ・ランドクルーザープラドと同等のラージサイズSUVに分類されます。
新型テラの心臓部には、YS23DDTT型2.3リッターツインターボディーゼルエンジンが搭載されています。このエンジンは最高出力190PS/3,750rpm、最大トルク450Nm/1,500-2,500rpmという強力なパフォーマンスを発揮します。
注目すべきは、B7、B10、B20といったバイオディーゼル燃料に対応している点です。これにより環境負荷を軽減しながら、本格的なオフロード走行に必要な力強いトルクを確保しています。
トランスミッションは7速ATがメインとなっており、一部グレードでは6速MTの設定もあります。4WDモデルでは、センターコンソールのロータースイッチで2輪駆動から四輪駆動モードへの切り替えが簡単に行えるシステムを採用しています。
さらに、HSA(ヒルスタートアシスト)やHDC(ヒルディセントコントロール)といったオフロード走行支援機能も標準装備されており、険しい地形での走破性を高めています。
新型テラのインテリアは、3列シート8人乗りの設定で、ファミリー向けの実用性を重視した設計となっています。2021年のビッグマイナーチェンジでは、インテリア全体の質感が大幅に向上し、ナビゲーションシステムも大型化されました。
快適装備として特筆すべきは、BOSEプレミアムオーディオシステムの搭載です。フロントとサイドウィンドウには静粛性を高めるアコースティックガラスが採用されており、車内での音響体験を最高品質に保っています。
シート素材は、ファブリックシートとレザーシートの両方が用意されており、カラーバリエーションとしてモノトーンのブラック(ファブリック)、2トーンのブラック/ベージュ(レザー)、ブラック/レッド(レザー)の3色展開となっています。
電動パーキングブレーキも新たに装備され、利便性の向上が図られています。これらの装備により、長距離ドライブでも疲労を軽減し、快適な移動を実現しています。
新型テラには、ニッサン・インテリジェント・モビリティと呼ばれる先進運転支援システムが搭載されています。2024年モデルでは、これらの安全装備の採用グレードが拡大され、より多くのユーザーが恩恵を受けられるようになりました。
主な安全装備には以下のものが含まれます。
これらの装備により、360度全方位での安全性を確保しています。特に、移動物検知機能付きのアラウンドビューモニターは、駐車時や低速走行時の安全性を大幅に向上させています。
ASEAN NCAPの安全性評価では、乗員保護性能で32.18/36.00点、子供の安全性で40.74/49.00点、セーフティアシスト機能で12.72/18.00点を獲得しており、総合的に高い安全性能を実現しています。
新型テラの価格は販売国によって異なりますが、主要市場での価格設定を見ると、その戦略的な位置づけが明確になります。
タイ市場では、2021年モデルで以下の価格設定となっています。
フィリピン市場では、2024年モデルで172万9000ペソ(約460万円)から246万9000ペソ(約657万円)の価格帯で販売されています。最上級の「スポーツ」グレードが最も高価格となっており、装備の充実度が価格に反映されています。
現在、テラは中国を皮切りに、タイ、フィリピン、インドネシア、中東、アフリカなど世界各国で展開されています。日産は2022年までにLCVとフレームSUVの販売台数を40%増やすことを目標としており、テラはその戦略の中核を担うモデルとして位置づけられています。
興味深いことに、テラの名前は過去に日本で人気を博した「テラノ」を彷彿とさせ、実際にピックアップトラックをベースとしたラダーフレーム構造という成り立ちも共通しています。これは偶然ではなく、日産の意図的な戦略と考えられます。
日産フィリピン法人のフアン・マヌエル・オヨス氏は、「ニッサン・インテリジェント・モビリティ機能の拡充により、テラのラインアップは、安全で革新的なクルマをお客様にお届けするという日産の姿勢を示すものとなりました」とコメントしており、同社のテラに対する期待の高さが伺えます。
国内の自動車マニアの間では、エクストレイルの上位モデルとして日本導入を望む声も多く聞かれます。現在の国内日産SUVラインアップがエクストレイルとキックスの2車種のみという状況を考えると、テラの日本導入は市場の活性化につながる可能性があります。