ナビ道路カーナビ連携渋滞回避機能とは

カーナビの地図に表示される色とりどりの線や交通情報は、運転をどのように支援しているのでしょうか?VICS情報からプローブデータまで、知って得する最新のナビゲーション技術の仕組みを解説します。最適なルート選択と安全運転を実現するために欠かせない情報は?

ナビ道路カーナビ連携とは

ナビ道路カーナビ連携のポイント
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リアルタイム交通情報の提供

VICS(道路交通情報通信システム)により、渋滞や交通規制がリアルタイムに配信される

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複数ルート提案機能

最短距離ルートだけでなく、渋滞を避けた最速ルートや燃費優先ルートなど複数案を提示

自動ルート更新

走行中の渋滞情報を受信し、最適な迂回ルートへ自動的に案内を切り替える機能

ナビ道路とは、カーナビシステムと道路交通情報が連携し、ドライバーに最適なルート案内を提供する総合的な走行支援システムのことです。単なる地図表示ではなく、リアルタイムの渋滞情報、交通規制、所要時間といった多角的な情報を統合して、最高の運転体験を実現します。

 

カーナビが提供する情報は、道路交通情報通信システムセンターによって24時間365日体制で収集・配信されています。これにより、ドライバーは知らない土地でも迷わずに目的地に到達でき、渋滞による時間ロスを最小限に抑えることができるのです。特に都市部での運転では、ナビ道路との連携がもたらす安全性と効率性は非常に高い価値があります。

 

ナビ道路で表示される色による渋滞情報の読み方

 

カーナビ画面に表示される色とりどりの線は、その時点での道路の混雑状況を視覚的に示す、VICS情報の最も基本的な表現手段です。この色分けは非常にシンプルで、ルート上の線の色を一目見るだけで、その道路がどのような交通状況かが即座に判断できるように設計されています。

 

赤色の線は「渋滞している」状況を示し、一般道路では時速10km以下、首都高速などの都市高速道路では時速20km以下、高速道路では時速40km以下という極めて低速な流れであることを意味します。一方、オレンジ色は「混雑している」という中程度の混雑状況で、赤ほど深刻ではありませんが注意が必要な段階です。緑色は「順調に流れている」という最良の状態で、一般道では時速20km以上、都市高速では時速40km以上、高速道路では時速60km以上といった良好な走行速度が期待できます。

 

重要なのは、同じ色であっても道路の種類によって実際の走行速度が大きく異なるという点です。高速道路で時速40km程度であっても渋滞なのですが、一般道で時速40kmであれば順調な流れと判断されるのです。ドライバーはこの色分けされた情報と、道路種別の知識を組み合わせることで、より正確な交通状況判断ができるようになります。

 

ナビ道路を支えるVICS情報の仕組み

VICS(Vehicle Information and Communication System)は、1996年4月から本格的な情報提供を開始した、日本独自の先進的なシステムです。このシステムは、全国各地の道路に設置されたセンサー機器から常時データを収集し、交通状況をリアルタイムに把握しています。

 

VICSが提供する情報には、単なる渋滞情報だけではなく、極めて多岐にわたる内容が含まれています。具体的には、渋滞区間と所要時間、一般道と高速道路を問わない交通規制(速度制限や車線規制など)、事故や路上障害物の発生ポイント、工事区間の情報、さらには駐車場やサービスエリア、パーキングエリアの空き状況まで網羅されているのです。最近では、「命に関わる」重要な気象情報も配信されるようになり、大雨時の危険箇所や冬季の峠でのチェーン装着判断にも役立つようになりました。

 

VICSの情報は、カーナビ搭載の受信機がFM多重電波と道路上のビーコン装置からの信号を受信することで、ほぼタイムラグなく端末に届きます。これにより、ドライバーは常に最新の道路状況をカーナビ画面で確認でき、最適なルート判断を瞬時に行えるのです。

 

ナビ道路ルート検索における複数案の活用方法

現代のカーナビは、単一の「最短ルート」を提案する時代は終わりました。今日のシステムでは、ルート検索後に複数の選択肢が自動的に提示されます。最も代表的なのは「最速ルート」で、現在の渋滞情報を加味して所要時間が最短となる経路を算出するものです。これにより、距離的には長くても、交通の流れがよい幹線道路を通るルートが提案されるのです。

 

有料道路の使用有無も選択できます。一部地域では、高速道路を使わない「一般道ルート」が提案され、ドライバーの予算や好みに合わせた選択が可能です。さらに最近のハイエンドモデルでは、「燃費優先ルート」という新しい選択肢も登場しており、アクセル操作が少ない緩やかな走行計画を提案してくれます。

 

各ルート選択肢の画面表示には、予想所要時間が明記されるため、ドライバーは出発前にどのルートが最適かを冷静に判断できます。渋滞情報が更新されれば、ルート案も自動的に変更されるため、最新情報に基づいた常に最良の選択肢が示されるのです。

 

ナビ道路における高度な位置測位技術とGPSの補完システム

カーナビの精度は、その測位技術に左右されます。基本となるのは全地球測位システム(GPS)ですが、トンネルや地下街、ビル群に囲まれた都市部ではGPS電波が十分に受信できないという弱点があります。このジレンマを解決するために、現代のカーナビはハイブリッド測位という巧妙なシステムを採用しています。

 

GPS信号が遮断されている状況下では、車輪の回転数をカウントするパルス信号と、車体の動きを検出するジャイロセンサーが連携して、自動的に走行距離と方向を計算します。これにより、トンネルの中でも自車位置の推測を継続できるのです。ただし、タイヤの摩耗具合によって走行距離計算にわずかなズレが生じることもあるため、GPS信号が再び受信できた時点で位置を正確に修正するという二段階のプロセスが組まれています。

 

この自律航法システムとGPS測位の統合により、日本国内のどの道路でもカーナビは高い精度を維持でき、ドライバーに信頼性の高い現在地表示と案内を提供し続けることができるのです。

 

ナビ道路の次世代を担うプローブデータとVICS WIDE

従来のVICS情報は、道路に設置されたセンサーから得られた固定的なデータに基づいていました。しかし2025年4月、革新的な「VICSプローブ活用サービス」が開始され、ナビ道路の精度向上が急速に進展しています。このサービスは、コネクテッドカー(常時通信機能を備えた自動車)から収集される膨大な車両データを活用し、従来のセンサー情報を補完・補強するものです。

 

プローブデータの大きな利点は、主要道路に偏りがちだったVICS情報よりも、より多くの生活道路や幹線道路をカバーできる点です。さらに、感知器の設置が困難なトンネルや橋梁でも、実際に走行する車両からのデータにより交通状況が把握できるようになりました。2015年から運用されている「VICS WIDE」では、従来よりも精度の高い渋滞回避案内と共に、大雨や噴火などの気象情報を届けており、対応カーナビでこれを利用できます。

 

実務的には、これまで感知器が設置されていなかった地方の中小道路でも交通情報の提供が可能になり、全国の高速道路、国道、都道府県道のほぼすべてでリアルタイム情報が利用できるようになったのです。また、停電時にも車両プローブデータから情報提供を継続でき、突発事故による主要道路の通行止めでも迂回ルートの混雑状況が即座に把握できるという、これまでにない堅牢性も実現しています。

 

ナビ道路対応カーナビの種類と選択のポイント

ナビ道路機能を備えたカーナビの形態は、大きく分けて三つのカテゴリに分類されます。第一は従来型の「独立型カーナビ」で、車に固定された専用機として機能します。これらは地図データが内部に保存されており、常に精度の高い表示が可能ですが、地図更新にはコストが発生することが多いという課題があります。

 

第二は「ディスプレイオーディオ」という新しい形態で、これ自体にはナビ機能がなく、スマートフォンと連携することでGoogle MapsなどのアプリをディスプレイIに表示させるものです。初期費用が安く、地図は常に最新版が使用でき、若年層からの支持が高まっています。

 

第三は「スマホ連携カーナビ」で、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応し、スマートフォンとの統合表示が可能です。これにより、ユーザーは「いいとこどり」が実現でき、大画面表示の見やすさと最新地図データの利便性が同時に得られます。選択は、走行距離や使用頻度、スマートフォン依存度などを勘案して判断することが実務的です。

 

<参考リンク:道路交通情報通信システムの仕組みと歴史について、公式の発信情報をまとめたページ>
VICSとは?仕組みや得られる情報、表示形式について解説 | JAF
<参考リンク:ETC2.0とVICSの違いや最新のナビゲーション技術を比較解説したブログ記事>
地図・ナビ・ETC2.0の世界 - JAMA BLOG
<参考リンク:NAVITIME社が提供する車両プローブデータの活用と道路交通情報の最新動向>
道路プロファイラー - 移動データの分析 - NAVITIME

 

 


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