ダイハツ工業は2025年6月5日、軽乗用車「ムーヴ」の7代目となる新型モデルを正式発表し、同日より全国一斉に販売を開始しました。当初は2023年の発売が予定されていましたが、ダイハツの認証不正問題の影響で約2年間の延期を余儀なくされていました。
新型ムーヴは1995年の初代登場から30年という節目のタイミングでの発売となり、累計販売台数340万台を超える人気車種の完全復活を印象づける記念すべきモデルとなっています。
発売に先立ち、2025年5月12日にはティザーサイトが公開され、一部の販売店では先行予約も開始されていました。多くのファンが首を長くして待っていた新型ムーヴの登場は、ダイハツの完全復活を象徴する第1弾モデルとしても注目を集めています。
7代目新型ムーヴの最大の特徴は、シリーズ史上初となる両側スライドドアの採用です。従来のヒンジ式ドアから大幅に変更されたこの仕様により、狭い駐車場でも乗り降りがしやすくなり、特に子育て世代や高齢者にとって格段に使いやすい車へと進化しました。
スライドドアの採用により、以下のような利便性が向上しています。
この変更により、軽スーパーハイト系車種との差別化を図りながら、扱いやすさとスマートな外観デザインの両立を実現しています。ムーヴとしては大きな方向転換となりますが、近年のユーザーニーズに的確に応えた進化といえるでしょう。
新型ムーヴの価格帯は約135万円から198万円と予想されており、4つのグレードが用意されています。各グレードには2WDと4WDの選択肢があり、幅広いニーズに対応した構成となっています。
グレード別の特徴:
エンジンは660cc直列3気筒を搭載し、自然吸気モデルは最高出力55ps、ターボモデルは64psを発揮します。トランスミッションには燃費性能に優れたD-CVTを採用し、「マルチスパーク」技術により燃焼効率が向上、従来モデルと比較して燃費が約1割改善されています。
全グレードに最新のスマートアシストが標準装備され、衝突警報機能や衝突回避支援ブレーキ機能が搭載される予定です。
新型ムーヴは最新のDNGAプラットフォームを採用し、高剛性と軽量化による走行性能の大幅な向上を実現しています。エクステリアデザインは直線的でシャープな印象を持ち、横長のヘッドライトとグリル一体型デザインが特徴的です。
技術面での主な進化ポイント:
ターゲットは「メリハリ堅実層」と設定され、多くの消費カルチャーを経験してきた目利きの世代、特に合理性とこだわりを持って商品を選ぶユーザーを想定しています。「今の私にジャストフィット 毎日頼れる堅実スライドドアワゴン」というコンセプトのもと、全方位で軽自動車の魅力を向上させています。
新型ムーヴの登場は、軽自動車市場における新たなカテゴリー創出の可能性を秘めています。従来の軽トールワゴンとスーパーハイト系の中間に位置する「スライドドア付きコンパクトワゴン」という新ジャンルの確立が期待されます。
市場への独自の影響:
ムーヴは1995年の初代登場以来、スズキのワゴンRとともに軽トールワゴン市場を牽引してきた歴史があります。30年という節目での大幅刷新は、軽自動車業界全体に新たな競争軸をもたらす可能性があります。
特に注目すべきは、スライドドア採用によりファミリー層への訴求力が大幅に向上した点です。これまでスーパーハイト系を選択していた層の一部が、よりコンパクトで扱いやすい新型ムーヴに流れる可能性があり、軽自動車市場の勢力図に変化をもたらすかもしれません。
ダイハツ公式サイトでは新型ムーヴの詳細な商品概要や報道発表会の映像も公開されており、購入を検討している方は早めの情報収集と販売店での相談が推奨されています。