モトコンポ新型 復活電動化の全貌

1981年に発売されたホンダの伝説的トランクバイク「モトコンポ」が、電動スクーター「モトコンパクト」として令和の時代に復活。最新テクノロジーを搭載した折りたたみ可能な新型モデルの魅力、性能、そして日本導入の可能性とは。

モトコンポ新型 電動化による進化

モトコンポ新型の3つの特徴
完全電動化への転換

1981年の初代モトコンポは49cc・2.5馬力のガソリンエンジン搭載でしたが、新型モトコンパクトは電動スクーターへと進化

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超軽量・コンパクト設計

車両重量わずか18.7kg、全長741mm。初代の42kgから大幅に軽量化し、より持ち運びやすくなった

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ラストマイルソリューション

都市部での「最後の1マイル」移動を解決するモビリティとして設計。アメリカでの市販化により新たなビジネス展開に

モトコンポ新型の基本スペック

ホンダが2023年9月に米国で発表した新型「モトコンパクト」は、レトロなデザインながら最先端のテクノロジーを融合させたモデルです。車両重量はわずか18.7kgで、アルミ製フレームを採用しているため、強度を保ちながらも軽さを実現しています。初代モトコンポ(乾燥重量42kg)と比較すると、電動化による技術進化により56%以上の軽量化に成功しています。

 

最高速度は時速24km、1回の充電で最大19km走行可能という航続距離を確保。110Vの一般的なコンセントで3時間30分のフル充電が可能で、バッテリー容量は移動距離の信頼性を担保しています。米国での販売価格は995ドル(日本円で約15万円)で、同クラスの電動スクーターと比較しても非常にリーズナブルな価格設定となっています。

 

モトコンポ新型における折りたたみ機能の革新

初代モトコンポは、1981年に発表されたホンダ「シティ」のトランクルームに積載することを前提に設計されました。ハンドルとステップを折りたためば、その全長は約118.5cmまで縮小され、シティのコンパクトなトランクスペースに収納可能でした。

 

新型モトコンパクトは、この折りたたみコンセプトをさらに進化させています。ハンドルやシートを折りたたむことで、全長741mm、全幅わずか94mmという「スーツケースのような薄型形状」に変形します。この超薄型ボディにより、軽自動車はもちろんのこと、あらゆる乗用車に横向きで積載できるようになりました。さらに積み重ねることも可能で、複数台を効率的に車載・保管できるのが特徴です。

 

キャリーハンドルも装備されているため、駅や駐車場などで一般的なスーツケースと同じようにキャスターのように持ち運べます。これは初代モトコンポにはない大きな進化で、公共交通機関への持ち込みも想定された設計になっています。

 

モトコンポ新型に搭載されたスマート機能

新型モトコンパクトには、初代には存在しなかったデジタルテクノロジーが多数搭載されています。デジタルスピードメーター、クッション性の高いシート、滑りにくいステップなど、快適性向上への配慮がみられます。

 

最も注目すべきは、Bluetooth接続に対応したスマートフォンアプリの存在です。アプリを通じてライダーはヘッドライトの点灯・消灯、複数の走行モード設定、バッテリー残量確認などを遠隔操作できます。これにより、初代モトコンポのメカニカルなシンプルさから、スマートデバイスとしての進化が図られています。また、滑りにくいステップ設計やスマートロック機能など、安全性と利便性を両立させた設計が随所に見られます。

 

初代モトコンポは液漏れ防止機構にこだわったメカニカル設計でしたが、電動化による完全なゼロエミッション化により、ガソリンやエンジンオイル漏れのリスクが完全に排除されました。これは特に室内保管や公共交通での持ち込みを考慮した設計上の利点となります。

 

モトコンポ新型がもたらす都市モビリティの未来像

ホンダが新型モトコンパクト開発時に掲げたコンセプトは「ラスト1マイル(Last One Mile)ソリューション」です。これは、自動車から降りた後の最後の1マイル(約1.6km)の移動を快適にするという発想から生まれました。駅から自宅、空港から駅、オフィス前の駐車場から勤務地など、短距離の「面倒な移動」を解決する交通手段として位置付けられています。

 

新型モトコンパクトのスペック設定(最高速24km/h、航続距離19km)は、この想定された使用シーンを完全に反映しています。時速24kmという速度は、安全性と効率性のバランスが取れた設定で、市街地走行での信号待ちや交差点での安全確認に適した速度帯です。19kmの航続距離は、都市部での日常使用では十分すぎるほどの性能といえます。

 

さらに注目すべきは、複数台の積み重ね対応という設計です。これはシェアリングビジネスやラストマイルサービスを展開する企業での効率的な管理・保管を想定した仕様です。既にアメリカの大学キャンパスや都市部での実証実験が進められており、新しいモビリティサービスのプラットフォームとしての可能性が示唆されています。

 

初代モトコンポから新型モトコンパクトへの40年の進化

1981年11月に発表された初代モトコンポは、当時としては革新的なコンセプトでした。49cc・2.5馬力の2ストロークエンジン、全長118.5cm、乾燥重量42kgというスペックで、ホンダ「シティ」のトランクルームに積載可能な「トランクバイク」として登場しました。折りたたみ式ハンドルとステップ、液漏れ防止機構など、トランク積載を想定した細かい設計工夫が施されていたのです。

 

2023年に発表された新型モトコンパクトは、40年の時を経た令和時代の要求に応える形で進化しました。最大の変化は電動化による動力源の転換です。初代のガソリンエンジンから完全電動へシフトすることで、以下の点で大きく改善されています。

  • ゼロエミッション走行による環境配慮
  • ガソリンやエンジンオイルの液漏れ問題の完全排除
  • メンテナンス負担の大幅軽減(ガソリン給油やオイル交換が不要)
  • モーター駆動による静粛性の向上
  • スマートフォン連携などのデジタル機能の搭載

車体重量も42kgから18.7kgへ56%の軽量化を達成し、超薄型ボディ(幅94mm)への進化により、搭載可能な車両が限定されたシティから「あらゆる自動車への搭載」へと利用可能性が拡大しました。

 

モトコンパクトはアメリカ市場での市販を前提に開発されたため、日本での販売は現在のところ公式発表がありません。しかし、改正道路交通法における特定小型原動機付自転車(特定小型原付)の区分との適合性についての検討や、日本市場への導入を望むユーザーの声は絶えません。

 

ホンダが今後、日本国内市場への投入を決定した場合、電動スクーター市場での新たなカテゴリ形成の可能性があります。都市部での新しい移動手段として、また懐かしのモトコンポファンへの贈り物として、新型モトコンパクトの日本上陸に期待が集まっています。

 

ホンダモトコンプのDNA受継:電動版Motocompactの詳細スペックとレトロデザインの融合について詳しく解説
初代モトコンポとの比較分析:ハンドルやシート折りたたみ機構、トランクバイク概念の進化についての考察