三菱自動車は2007年から続く現行デリカD:5のフルモデルチェンジを2027年に予定している。新型モデルでは車名を「デリカD:6」に変更し、第6世代として生まれ変わる。
現行モデルは2019年のビッグマイナーチェンジから6年、デビューから数えると18年が経過しており、自動車業界では異例のロングライフモデルとなっている。この長期間の販売により、三菱は次世代技術を十分に検討し、電動化時代に対応した革新的なミニバンを開発する時間を確保できた。
2023年10月のジャパンモビリティショーで発表された「MITSUBISHI D:X Concept」は、次期デリカの方向性を示すコンセプトモデルとして注目を集めた。このコンセプトモデルの要素が実際の市販モデルにどの程度反映されるかが、自動車ファンの間で大きな話題となっている。
新型デリカD:6の最大の特徴は、完全電動化への移行である。パワートレインには2つの選択肢が用意される予定だ。
PHEVモデル
EVモデル
この電動化戦略により、三菱が得意とする4WD性能とパジェロが培ってきたSUVイメージ、そして最新の電動化技術を融合した次世代ミニバンが誕生する。
従来のガソリンエンジンモデルは廃止され、電動専用モデルとして生まれ変わる点が大きな変化となる。これは三菱の電動化戦略の一環であり、カーボンニュートラル社会への対応を明確に示している。
新型デリカD:6では新世代プラットフォームの採用により、ボディサイズが大幅に拡大される。
新型デリカD:6の予想ボディサイズ
現行モデルのボディサイズは全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mmであるため、特に全幅の拡大により室内空間の向上が期待される。
新世代プラットフォームの採用により、以下の改善が図られる。
室内レイアウトについては、6人乗り仕様を基本とし、快適性と走破性を両立する設計が採用される見込みだ。現行モデルで評価の高い2列目シートの乗り心地をさらに向上させ、3列目シートの居住性も改善される予定である。
新型デリカD:6には三菱の最新技術が惜しみなく投入される予定だ。
デジタル装備
安全装備
MI-PILOTは三菱が開発した運転支援技術で、高速道路での長距離運転時の疲労軽減に大きく貢献する。デリカシリーズの特徴である長距離ドライブでの快適性をさらに向上させる重要な装備となる。
また、オフロード走行時の安全性を高める機能も充実する予定で、SUVとしての性能向上も図られる。電動化により静粛性が向上することで、車内での会話や音楽鑑賞もより快適になることが期待される。
新型デリカD:6が投入される2027年のミニバン市場は、電動化の波により大きく変化していることが予想される。
競合モデルの動向
デリカD:6の独自性は、他のミニバンにはない「SUVとミニバンの融合」というコンセプトにある。この唯一無二のポジショニングが、電動化時代においても大きな差別化要因となる。
デリカD:6の独自価値
特に、キャンプやスキーなどのアウトドアレジャーが人気を集める中、電動化により静粛性が向上したデリカD:6は、自然の中での滞在をより快適にする新しい価値を提供できる。
価格帯については、現行モデルが約400万円からの設定であるのに対し、電動化により529万円程度からの設定が予想される。PHEVモデルとEVモデルで価格差を設け、ユーザーの使用環境に応じた選択肢を提供する戦略が取られる見込みだ。
三菱の電動化技術とSUVノウハウを結集した新型デリカD:6は、ミニバン市場に新たな価値観をもたらす革新的なモデルとして期待されている。