新型ミニバン高山は3つのボディサイズを展開し、それぞれ異なるニーズに対応している。最もコンパクトな「高山7」でも全長5050mm×全幅1960mm×全高1900mm、ホイールベース3085mmという堂々たるサイズを誇る。これは中国で絶大な人気を誇るトヨタ・アルファードよりも大きく、日本のミニバン市場では考えられない規模だ。
中間サイズの「高山8」は全長5280mm×全幅1960mm×全高1900mm、ホイールベース3145mmとなり、中国で人気の「デンツァ D9」と同等のサイズを実現している。このサイズ設定により、幅広い顧客層のニーズに応えることが可能となっている。
最上級モデル「高山9」は全長5410mm×全幅1960mm×全高1890mm、ホイールベース3275mmという圧倒的なサイズを誇る。これはメルセデス・ベンツのフラッグシップセダン「メルセデス・マイバッハ Sクラス」の全長5460mmに匹敵する規模で、中国国内のミニバンでは唯一無二の存在感を放っている。
新型ミニバン高山の最大の特徴は、1.5リッター直列4気筒スーパーチャージャーエンジンに前後モーターを組み合わせた4WDのPHEVシステムだ。このシステムにより、システム総合出力458馬力(337kW)、最大トルク644Nmという驚異的なパワーを発生させる。
わずか1.5リッターという小排気量エンジンから458馬力を絞り出すこの技術は、中国の自動車技術の進歩を象徴している。従来の大排気量エンジンに頼らず、電動化技術とスーパーチャージャーの組み合わせにより、環境性能とパワーの両立を実現している点は注目に値する。
バッテリー容量については、現行モデルでは通常モデルが37.96kWh、ロングモデルが44.28kWhとなっており、新型でもこれに準ずる容量が搭載されると予想される。このバッテリー容量により、日常使用では電気モーターのみでの走行が可能となり、燃費性能の向上に大きく貢献している。
新型ミニバン高山には最新の「Coffee OS」が搭載され、車内のデジタル環境が大幅に向上している。このシステムにより、エンターテイメント、ナビゲーション、車両制御などが統合的に管理され、乗員にとって快適で直感的な操作環境を提供する。
さらに注目すべきは、ルーフ前端にLiDAR(ライダー)ユニットを搭載し、高度運転支援機能を新たに搭載することだ。これにより、自動運転技術の導入が進み、長距離移動時の疲労軽減や安全性の向上が期待される。
内装面では、6人乗りと7人乗りの設定があり、特に6人乗りモデルでは2列目シートに贅沢な空間が確保されている。全長5.4m超という圧倒的なボディサイズを活かし、各席に十分な居住空間を提供することで、真の高級ミニバンとしての価値を実現している。
新型ミニバン高山のデザインについては、SNS上で様々な意見が交わされている。特に注目されているのは、フロントフェイスがトヨタ・アルファードとの類似性を指摘される点だ。「アルファード顔」「ヴェルファイアとエルグランドを足して二つに割った感じ」といったコメントが多く見られる。
しかし、単なる模倣ではなく、中国市場に合わせた独自の解釈が加えられている点も評価されている。特に、斬新な「グリル顔」の採用により、存在感のあるフロントフェイスを実現している。この大胆なデザインは、中国の高級車市場で重要視される威厳と豪華さを表現している。
ボディサイドからリアにかけてのデザインも、全長5.4m超という圧倒的なサイズを活かし、堂々とした佇まいを演出している。特に、ロングホイールベースモデルでは、その長大なボディが生み出す迫力は、競合他社では実現困難な独自性を持っている。
新型ミニバン高山の価格帯は、現行モデルが33万5800元(約651万円)から40万5800元(約788万円)となっており、新型もこれに準ずる価格設定が予想される。この価格帯は、中国の高級ミニバン市場では競争力のある設定となっている。
中国市場では、トヨタ・アルファードやレクサス・LMなどの日本車が高い人気を誇るが、新型ミニバン高山はこれらを上回るサイズと性能を提供することで差別化を図っている。特に、458馬力というパワーは、従来の高級ミニバンでは実現困難な領域であり、パフォーマンス重視の顧客層にとって魅力的な選択肢となる。
また、PHEVシステムの採用により、中国政府が推進する新エネルギー車政策にも適合しており、購入時の優遇措置を受けることができる点も市場競争力を高める要因となっている。環境規制が厳しくなる中国市場において、この点は大きなアドバンテージとなる。
日本市場への展開については現時点で明確な情報はないが、SNS上では「安さを売りにして400万円以下で出せば売れる」といった期待の声も聞かれる。ただし、日本の道路事情や法規制を考慮すると、そのままの仕様での導入は困難と予想される。
新型ミニバン高山は、中国の自動車技術の進歩を象徴する存在として、今後の市場動向に大きな影響を与える可能性を秘めている。特に、小排気量エンジンと電動化技術の組み合わせによる高出力化は、他メーカーにとっても参考となる技術的アプローチといえるだろう。