運転免許証に記載されている12桁の数字は、様々な個人情報を含んでいると言われています。その中でも特に広まっている都市伝説が、左から5・6桁目の数字が学科試験の減点数を示しているというものです。この説によれば、「00」であれば100点満点での合格、「10」であれば90点のギリギリ合格を意味するとされています。
SNSやインターネット掲示板では、この噂に関する投稿が今でも数多く見かけられます。免許証を手に取って確認してみるユーザーが後を絶たず、半信半疑で実際に試してみる人も多いのが実情です。しかし、この説は一体どのような根拠に基づいているのでしょうか。実際のところは、このような都市伝説の多くは、根拠なく広がるケースが多いと言えます。
多くの人が信じている理由の一つに、免許証の数字が複雑で、その意味が完全には公開されていないという点があります。不透明な部分が存在することで、人々の想像力や推測を刺激し、様々な仮説が生まれるのです。
このデマが広まった背景には、インターネット文化の発展が深く関わっています。かつては限定的だった情報の共有が、SNSやブログの登場により急速に拡大しました。特に2010年代中盤以降、都市伝説や裏ワザ系のコンテンツが急速に増加し、根拠の薄い情報でも「友人から聞いた」「ネットで見た」といった形で伝播するようになりました。
この噂に関しても、最初は限定的なコミュニティで語られていたものが、やがてSNS上で「このマメ知識すごい」といった形で拡散されるようになりました。無知という恐怖心や好奇心を刺激するタイプの情報は、特に拡散しやすい傾向にあります。また、学科試験の点数という誰もが気になる情報であることも、この都市伝説が広がった一因と言えるでしょう。
インターネット上では、確認のしようがない情報や、一見すると根拠がありそうな情報が、次々と広がっていきます。このような情報環境の中では、情報の真偽を判断する能力がこれまで以上に重要になっているのです。
警察庁の公式資料によると、運転免許証に記載されている5~10桁目の数字は「各都道府県の公安委員会が独自に定めている管理番号」です。重要なポイントは、この管理番号には個人の学科試験の点数が盛り込まれることはないということです。
そもそも、各都道府県によって管理番号の基準や意味が異なります。東京と大阪、北海道と福岡でそれぞれ異なる基準で管理番号が決められているため、全国共通の規則として学科試験の点数を記録することは実務的に不可能なのです。
さらに考えてみると、運転免許証は再交付や更新を通じて複数回発行される可能性があります。学科試験の点数が記録されるとすれば、同じ人が複数の免許証を持つ際に、それぞれの番号が異なる可能性も生まれます。このような矛盾が存在する以上、学科試験の点数が12桁の数字に含まれているはずがないのです。
実際に複数の地域で発行された免許証を見比べると、理論通りに「10」を超える数字が一切存在しないはずなのに、10以上の数字が記載されている人が多く存在することが判明しています。この事実そのものが、都市伝説がデマであることの何より強い証拠となっているのです。
実際に免許証の12桁の数字と学科試験の点数を照らし合わせた検証が、複数の個人ブログやネット記事で行われています。検証者たちの結果はほぼ一致しており、5・6桁目の数字と実際の試験の点数には何の関連性も存在しないことが明らかになっています。
例えば、ある検証では5・6桁目が「09」の人の試験の点数は91点だったというケースや、「05」の人の点数が75点だったというケース、あるいは「15」の人が合格していたというケースなど、パターンが多様です。これらのデータを統計的に分析すると、5・6桁目の数字と試験の点数の間に相関関係が全く存在しないことが明らかになります。
最も決定的な証拠は、学科試験の合格点が90点以上で固定されているという事実です。もし5・6桁目が減点数を示しているのであれば、この数字は絶対に「10」を超えてはいけません。しかし実際のデータを見ると、「11」「12」「15」といった10以上の数字が記載されている人が多数存在しているのです。この矛盾は、都市伝説が完全なデマであることの何より強い証明となっています。
「運転免許で学科試験の点数が分かる」実はガセネタ | 警察庁資料に基づく5~10桁目が管理番号であることの説明あり
運転免許証で学科試験の点数がバレる? | Forbes JAPAN によるデマの詳細な解説と検証結果の掲載
このようなデマが広がることには、単なる娯楽的な問題以上の懸念が存在します。免許証番号が個人情報であることは誰もが知っていますが、不正確な情報が拡散することで、免許証番号の悪用や情報漏洩についての警戒心が薄れてしまう可能性があります。
免許証番号が他人に知られた場合、実際には深刻な被害が発生する可能性があります。免許証番号と氏名、住所といった情報がセットで漏洩すると、なりすまし、不正契約、不正な口座開設、名簿業者への売却といった犯罪に利用される危険性があります。消費者金融からの不正な借金、携帯電話やクレジットカードの不正契約、銀行口座を利用したマネーロンダリングなど、実害は極めて大きいのです。
このような犯罪の背景にあるのは、多くの人が免許証番号に関する正しい知識を持っていないということです。デマが拡散されることで、人々が不要な情報について議論している間に、本当に重要な注意事項が見落とされてしまう傾向があります。免許証番号についての正確な情報を理解することは、自分の情報を守るためにも極めて重要なのです。
免許証番号の悪用リスク | 具体的な犯罪事例と対策方法の詳細説明あり

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