マツダ6eは、従来のマツダ6の後継モデルとして位置づけられる完全電動化セダンです。最も注目すべき変更点は、歴代マツダ6が採用していた前輪駆動システムから後輪駆動システムへの大幅な変更です。
パワートレインには2つのバッテリー容量が用意されており、標準モデルが68.8kWh、ロングレンジモデルが80kWhとなっています。航続距離はWLTPモードで標準モデルが479km、ロングレンジモデルが552kmを実現しています。
最高出力は標準モデルが258PS、ロングレンジ仕様が245PSで、どちらも最大トルクは320N・mという強力なスペックを誇ります。この数値は従来のガソリンエンジン搭載マツダ6を大幅に上回る性能です。
充電性能も優秀で、標準モデルはDC急速充電で10〜80%までを24分で完了可能です。15分の充電で最大235kmの走行が可能という実用性の高さも魅力的です。
欧州市場での価格設定は、スペインでのベース価格が3万9515ユーロ(約636万円)となっています。基本モデルの「Takumi」と上位モデルの「Takumi Plus」の価格差は1650ユーロ(約26万5000円)、標準航続距離モデルと長距離モデルの価格差は1600ユーロ(約26万円)という設定です。
発売時期については、2025年夏に欧州市場で販売開始予定となっています。タイ市場への投入も2025年内に予定されており、アジア市場への展開も積極的に進められています。
日本市場への導入については、現時点で公式発表はありませんが、欧州向けや日本向けモデルのテストも始まっているという情報があり、日本での販売はほぼ確実視されています。
価格帯から考えると、日本市場では700万円前後での販売が予想され、プレミアムEVセダン市場での競争力を持つ価格設定となりそうです。
エクステリアデザインは、マツダの魂動デザイン哲学を継承しつつ、EVならではの先進性を表現しています。特徴的な4連テールライトを採用し、流麗なクーペ風のボディラインが印象的です。
全長は約5mという大型ボディでありながら、セダンでありながら大型のリアハッチを備え、容量466Lのラゲッジスペースを確保するなど実用性にも配慮されています。
内装では、日本の「間」の概念を取り入れたシンプルでゆとりのある空間デザインが採用されています。14.6インチのタッチスクリーン、10.2インチのデジタルメーターパネル、先進的なヘッドアップディスプレイを搭載し、最新のデジタル技術を活用しています。
音響システムには14スピーカーのSonyPROサウンドシステムを採用し、没入感のある音響体験を提供します。これらの装備により、プレミアムセダンとしての質感を高めています。
マツダ6eには、日本のおもてなしの精神にインスパイアされたウェルカムモードが搭載されています。ドライバーが車両に近づくと、車両がキーを検知してサイドミラーが展開し、ドアハンドルが現れ、ドアが自動的にロック解除されます。
さらに、フロントとリアの特徴的なライトシグネチャーがドライバーを迎え、設定によってはリアスポイラーが微妙に展開する演出も用意されています。ドアが開くと、運転席が10cm後方に移動して乗り込みやすくし、車内に入ると事前設定された位置に戻るという細やかな配慮も特徴です。
ナビゲーションシステムには電気自動車専用機能が含まれており、ルートを計算する際に旅行中の適切な充電ポイントを自動的に提案する機能も搭載されています。
これらの先進技術により、従来のマツダ車とは一線を画す上質な体験を提供しています。
従来のマツダ6は2012年に日本で販売を開始し、2021年に国内販売を終了しました。新型マツダ6eは、単なる電動化ではなく、根本的な設計思想の変更が行われています。
最も大きな違いは駆動方式で、従来の前輪駆動から後輪駆動への変更により、マツダが追求する「人馬一体」の走行性能がさらに向上しています。後輪駆動化により、より自然なハンドリング特性と優れた重量配分を実現しています。
パワートレインも内燃機関から完全電動化へと大幅に変更され、静粛性と環境性能が大幅に向上しています。従来モデルと比較して、加速性能や燃費性能(電費性能)も大幅に改善されています。
サイズ面では、全長が約5mと従来モデルよりも大型化されており、より上級セグメントへの移行が図られています。これにより、室内空間の拡大と荷室容量の増加が実現されています。
価格帯も従来モデルから大幅に上昇しており、プレミアムEVセダンとしてのポジショニングが明確になっています。これらの変更により、マツダ6eは従来のマツダ6とは全く異なる新しいモデルとして生まれ変わっています。