マツダCX90日本発売の可能性と最新情報

マツダの最上級3列シートSUV「CX-90」の日本発売について、現在の状況と将来の可能性を詳しく解説。北米専用モデルとして開発されたCX-90が日本市場に投入される可能性はあるのでしょうか?

マツダCX90日本発売の現状と展望

マツダCX-90の日本発売状況
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現在の販売状況

北米・オーストラリア・中国で販売中、日本では未発売

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日本展示実績

マツダミュージアムで特別展示、実車確認可能

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代替モデル

日本向けには3列シートSUV「CX-80」を2024年に発売

マツダCX90の日本未発売の背景と理由

マツダCX-90は2023年2月1日に世界初公開されたラージ商品群の第2弾として位置づけられるフラッグシップ3列シートSUVですが、日本での発売計画は現在のところありません。この背景には、日本市場特有の事情が深く関わっています。

 

CX-90の全長は5.1mを超える大型SUVで、全幅も1900mm以上となっています。日本の道路事情や駐車場の制約を考慮すると、このサイズは日本市場には適さないとマツダが判断したことが主な理由です。

 

また、マツダは小さな自動車メーカーとして、グローバル販売台数が111万6107台とトヨタの1割強にすぎません。限られたリソースの中で、各市場に最適化された商品を投入する戦略を取っており、北米向けのCX-90をそのまま日本に導入するよりも、日本市場に適したCX-80を開発することを選択しました。

 

さらに、CX-90に搭載される3.3L直列6気筒ガソリンターボエンジンは、日本の燃費規制や税制面での負担が大きく、日本市場での競争力に課題があることも影響しています。

 

マツダCX90の特別展示と日本での反響

日本では発売されていないCX-90ですが、2023年2月にマツダミュージアムで日本初公開の特別展示が行われました。この展示は一般向けとしては世界初の公開となり、多くの自動車ファンが注目しました。

 

展示されたCX-90は、マツダのデザインテーマ「魂動(こどう)-SOUL of MOTION」に基づく生命感の表現と、「引き算の美学」によるシンプルな造形が特徴的でした。内装では、整然とした上質な空間の中に天然素材や光の動きを織り込み、日本の美意識を表現した仕上がりとなっていました。

 

特に注目されたのは、3列目シートの居住性の高さです。3人掛け用シートや専用の空調吹出し口が設定され、大型SUVとしての実用性を十分に確保していました。また、シースルービューや大型アクティブドライビングディスプレイの採用により、安心・安全をサポートする先進装備も充実していました。

 

この展示を通じて、日本の自動車ファンからは「日本でも販売してほしい」という声が多数上がり、CX-90の完成度の高さが改めて評価されました。

 

マツダCX90と日本向けCX-80の違いと関係性

マツダは日本市場向けに、CX-90の代替となる3列シートSUV「CX-80」を2024年に発売しました。CX-80は、CX-90と同じラージ商品群のプラットフォームを使用しながら、日本市場に最適化された仕様となっています。

 

最も大きな違いは車体サイズです。CX-90の全長が5.1mを超えるのに対し、CX-80は全長5mを若干超える程度に抑えられています。また、全幅についてもCX-80はCX-60と同じ1890mmとなり、日本の道路事情により適した設計となっています。

 

パワートレインについても違いがあります。CX-90では48Vマイルドハイブリッドを組み合わせた3.3L直列6気筒ガソリンターボエンジンが主力となっていますが、CX-80では日本市場に適した2.5L直4エンジン+モーターのプラグインハイブリッドと3.3L直6ディーゼル+マイルドハイブリッドが中心となっています。

 

シート構成については、両車とも3列シートを基本としながら、CX-80では2列目にキャプテンシートとベンチシートの選択肢を用意し、グレードによっては大型センターアームレストを備えたラグジュアリー仕様も設定されています。

 

マツダCX90の北米市場での成功と2025年モデルの進化

CX-90は北米市場で好評を博しており、2024年7月には2025年モデルが正式発表されました。2025年モデルでは、標準装備の充実化と新グレード「Premium Sport」の追加が主な変更点となっています。

 

標準装備の充実では、「ワイヤレス充電(Qi)」「12.3インチフル液晶メーター」「パーキングセンサー(フロント/リア)」が下位グレードにも標準装備されるようになりました。また、上位グレードでは3列目シートが3人掛け仕様になり、フロントシートにベンチレーション機能、2列目シートにシートヒーターが追加されています。

 

新グレード「Premium Sport」は、ブラック基調のエクステリアパーツを採用し、優れた牽引機能を持つスポーティなグレードです。最大牽引能力が5,000ポンドまで向上し、Mi-Driveに「Towing(牽引)モード」が追加されるなど、北米市場のニーズに応えた仕様となっています。

 

価格面では、米国市場でのCX-90は全11グレードで3万9595ドル(約534万円)からとなっており、プレミアムSUVとしては競争力のある価格設定となっています。

 

マツダCX90日本発売の可能性と今後の展望

現在のところ、マツダからCX-90の日本発売に関する公式発表はありませんが、将来的な可能性を完全に否定することはできません。特に、日本市場でのCX-80の販売状況や、大型SUVに対する需要の変化によっては、検討される可能性があります。

 

マツダのラージ商品群戦略では、「より上級志向のお客さまのニーズを満足させる」ことが重要な目標の一つとされています。日本市場においても、プレミアムSUVに対する需要は確実に存在しており、特に富裕層や大家族を持つユーザーからの要望は根強いものがあります。

 

また、マツダは「とことん気に入ってくれる人に向けて"濃い商品"を送り出し、大メーカーとは違う独自の個性で存在感を高めていこう」という戦略を取っています。この観点から見ると、CX-90のような特別感のある商品を日本市場に投入することは、ブランド価値向上に寄与する可能性があります。

 

ただし、実現には多くの課題があります。まず、日本の道路事情や駐車場の制約は依然として大きな障壁となります。また、3.3L直列6気筒ガソリンターボエンジンの日本導入には、燃費規制や税制面での対応が必要となります。

 

さらに、CX-80が既に日本市場の3列シートSUVニーズを満たしている状況で、より大型で高価なCX-90を投入する必要性について、慎重な検討が求められます。

 

現実的には、CX-90の日本発売よりも、CX-80の継続的な改良や新グレードの追加によって、日本市場のプレミアムSUVニーズに応えていく可能性が高いと考えられます。しかし、マツダミュージアムでの特別展示が示すように、日本の自動車ファンのCX-90に対する関心は高く、今後の市場動向次第では検討される可能性も残されています。

 

マツダの公式発表や、CX-80の販売状況、さらには日本市場でのプレミアムSUV需要の変化を注視することが、CX-90日本発売の可能性を占う上で重要となるでしょう。