タイヤの空気圧は、車の安全性と性能に直結する重要な要素です。タイヤと地面との接地面積は、タイヤ1本につきハガキ約1枚分という驚くほど小さな面積で、重量のある車を支えています。この小さな接地面で車両を支えるため、適正な空気圧が充填されてはじめて十分な性能を発揮できるのです。
空気圧が低い状態では、ハンドルが取られてしまったり、タイヤと接地面との抵抗が大きくなり、燃費も悪化します。また、パンクのリスクも高まるため、注意が必要です。
タイヤの空気圧は、1ヶ月で10~20kPaは自然に抜けると言われており、徐々に低下していきます。これは、タイヤのゴム分子の隙間から空気が少しずつ漏れ出すためです。
空気圧不足は、運転の安全性に深刻な影響を与えます。空気圧が低すぎると、ハンドルの据え切りが重くなり、明らかにタイヤの接地面のつぶれが大きくなります。
最も危険なのは、とっさにハンドルをグイッと切り込んだ時のクルマの応答です。タイヤがグニャッと潰れるだけでクルマが向きを変えてくれない感覚になり、1拍置いてからグイッと曲がり出すため、障害物をとっさに避けたい時の反応が明らかに遅れてしまいます。
さらに空気圧が減ると、以下のような問題が発生します。
適正空気圧は、運転席のドアを開けた際にドアの裏やボディ側に貼ってあるステッカーで確認できます。ない場合は、フューエルリッド(給油口のフタ)に貼っていないか確認してください。
一般的な乗用車の空気圧は、前輪が220~250kPa、後輪が200~220kPa程度に設定されています。ただし、車種によって異なるため、必ず自分の車の指定値を確認することが重要です。
興味深いことに、一部の車両では複数の空気圧設定が用意されています。例えば、燃費と操縦性を重視する設定(前250kPa/後220kPa)と、乗り心地を重視する設定(前220kPa/後200kPa)があり、用途に応じて選択できます。
タイヤの空気入れは、以下の手順で行います。
準備段階
作業手順
最近では、あらかじめダイヤルで空気圧を設定しておき、エアチャックをバルブに押し込むと指定空気圧に達するまで自動的に充填してくれる機器もあります。
プロのメカニックが実践している季節別の空気圧調整テクニックをご紹介します。
冬季の調整
夏季の調整
梅雨時期の特別対策
これらの季節別調整により、年間を通じて最適なタイヤ性能を維持できます。特に、冬から春への季節の変わり目や、夏から秋への移行時期には、空気圧の再調整を行うことで、燃費向上と安全性の両立が可能になります。
月に1度は空気圧の点検を行い、適正な空気圧を維持することで、タイヤの持つ本来の性能を最大限に引き出すことができるのです。