車 エアコン 外気 内気 どっちが涼しいのか

夏の運転で欠かせないカーエアコンですが、外気導入と内気循環のどちらが効果的に冷えるのでしょうか?効率、燃費、健康への影響まで含めた正しい使い分けをご紹介します。

車のエアコンで外気と内気はどちらが涼しいのか

外気導入と内気循環の基本比較
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内気循環が確実に冷える

車内の冷やされた空気を再度冷やすため、外の暑い空気を冷やし続けるより効率的

🌡️
外気導入の役割は異なる

車内温度を下げるより、換気や曇り防止、空気質改善に優れている

最速冷却は二段階使い

窓全開+外気導入2分→窓閉+内気循環3分で55℃から28℃まで5分で低下

車のエアコン外気導入と内気循環で冷える速度の違い

 

結論から申し上げますと、車内を冷える効率で比較すれば、内気循環の方が確実に涼しくなります。これは物理的な原理に基づいています。外気導入モードでは、車外の高温の空気をエアコンで冷やす必要があるのに対し、内気循環モードは既に冷やされた車内の空気を再び冷やすため、エバポレーター(冷却器)の負荷が減少し、より短時間で設定温度に到達します。

 

実際のJAF(日本自動車連盟)による実験では、55℃に達した車内をエアコン内気循環のみで冷却した場合、10分後に27.5℃まで低下しました。一方、外気導入モードの場合は同じく10分後に29.5℃となり、内気循環が約2℃低い温度を達成しています。つまり、涼しさだけを求めるなら、内気循環を選ぶべきという結論になります。

 

ただし、炎天下で長時間放置された車の場合、さらに効果的な方法があります。最初の2分間は窓を全開にして外気導入モードでエアコンを使用し、車内の熱気を外へ排出します。その後、窓を閉めて内気循環に切り替え、残りの3分間循環させることで、わずか5分で55℃から28℃まで低下させることが可能です。この方法は、最初に外部からの冷たい外気を導入しつつ、その後効率的な内気循環に移行することで、双方の長所を活かしています。

 

車のエアコン冷房効率と仕組みの詳細

カーエアコンの冷房効率を理解するには、まずシステムの基本構造を把握する必要があります。エアコンは取り入れた空気を熱交換器(エバポレーター)に通して冷やし、その冷気を車内に送り込みます。外気導入モードでは、走行中に車外の空気がフロントグリル付近から吸入され、フィルターを通過した後にこの熱交換器を通ります。一方、内気循環モードは外気取り込み口を塞ぎ、密閉された車内の空気だけを循環させます。

 

外気導入で効率が落ちる理由は、外部の暑い空気を車内に押し込む際に抵抗が生じるため、吹き出し口の風量が若干弱くなるというメカニズムです。密閉空間内で循環する内気循環では、この抵抗がなく、同じ風量でも圧力が一定に保たれます。さらに重要なのは、外気導入では常に外気温の影響を受けるため、コンプレッサーは休む間もなく稼働し続ける必要があります。対して内気循環では、一度冷やされた空気を扱うため、コンプレッサーの負荷が軽減され、より効率的に動作します。

 

科学的な測定により、内気循環時のエバポレーター通過後の温度低下は、外気導入時に比べて顕著です。特に、車内外の温度差が大きい真夏の状況では、この効率の差はより顕著になります。冷房が効きやすくなるだけでなく、コンプレッサーの余裕が生まれることで、エアコンシステム全体の負荷が軽減される仕組みです。

 

車のエアコンで内気循環を使う際の健康リスク

内気循環の大きなメリットは冷房効率にありますが、同時に無視できない健康上のデメリットが存在します。内気循環を使用し続けると、車内に乗員の呼吸から排出される二酸化炭素(CO₂)が蓄積し始めます。外気導入では常に新鮮な外気と車内の空気が入れ替わるため、CO₂濃度が一定に保たれますが、内気循環ではこの入れ替えが起こりません。

 

研究データによれば、車内のCO₂濃度が1,000ppmを超えると眠気が生じ始め、2,000ppmを超えると頭痛やめまい、さらには吐き気までもが報告されています。密閉された車内で内気循環を使用し続けた場合、1時間程度でCO₂濃度がこの危険ゾーンに達することが知られています。特に高速運転や長時間ドライブでは、この影響が顕著になり、運転者の集中力や判断力が著しく低下する可能性があります。

 

実際のドライバーへの推奨としては、内気循環で車内が十分に涼しくなった後(通常15~30分後)は、定期的に外気導入に切り替えて換気することが重要です。完全に外気導入に戻す必要はなく、内気循環と外気導入を数分単位で交互に切り替えることでも、CO₂蓄積を防ぎながら快適な温度を維持できます。眠気や倦怠感を感じた場合は、迷わず外気導入モードに切り替え、新鮮な空気を車内に導入するべきです。

 

車のエアコン外気導入が活躍する場面と特性

内気循環が冷却効率に優れている一方で、外気導入には独自の重要な役割があります。まず最も重要な場面は、フロントガラスが曇った状況です。夏場のエアコン使用時、車内と外気の大きな温度差により、ガラス表面に結露が発生します。この曇りを解消するには、外気導入とデフロスター機能の組み合わせが必須です。外気を取り入れることで車内外の温度差を縮小し、ガラス表面の結露を蒸発させる効果があります。

 

次に、車内の空気質を保つ観点から、外気導入は欠かせません。長時間乗員が乗車している環境では、単なるCO₂だけでなく、VOC(揮発性有機化合物)や車内の異臭も蓄積します。動物を連れての移動やタバコの臭いがある場合、外気導入に切り替えることでこれらの不快な臭いを排出できます。さらに、アレルギー症状を持つ乗員がいない環境下では、外気導入のデメリットは限定的です。

 

また、トンネル内や渋滞時など、外気が排気ガスで汚れている特定の場面では、この限りではありません。その場合は内気循環に素早く切り替え、汚れた空気の吸入を防ぐ機能を活用すべきです。燃費の観点からも、外気導入は内気循環より若干劣りますが、定期的な換気のための必要な設定として機能し、長距離運転での快適性と安全性を確保するうえで不可欠な選択肢です。

 

車のエアコン燃費への影響と賢い使い分け戦略

エアコンの使用方法は、単なる快適性だけでなく、燃費にも直結します。内気循環を使用することで、外気導入時よりもエアコンコンプレッサーの負荷が低減され、結果として燃費が向上する傾向が見られます。特に車内外の温度差が激しい真夏や真冬の季節では、この効果がより顕著です。気温が40℃を超える炎天下では、内気循環により冷房効率が向上することで、コンプレッサーの稼働時間が短縮され、エンジンへの負荷が軽減されます。

 

研究によれば、内気循環と外気導入の並行運用では、エアコン関連の燃費悪化を最小限に抑えることが可能です。例えば、乗車直後は内気循環で効率的に車内を冷却し、15分後に外気導入に数分切り替えてCO₂を排出し、再び内気循環に戻すというサイクルが理想的です。このアプローチにより、冷房効率と健康、さらには燃費のバランスが取れます。

 

加えて、エアコン設定温度も重要です。24℃と28℃の設定では、わずかな温度差でも大きな燃費差が生じます。車内が快適と感じる多くの場合、25℃設定が最適とされており、この温度にすることで、さらに燃費を改善できます。走行中は、定期的に内気循環と外気導入を切り替えながら、車内温度を適切に維持する戦略が、総合的な車の効率性を最大化するカギとなります。

 

<参考リンク>
外気循環と内気循環の詳細な仕組みと、CAFの実験データによる冷却速度の比較。

 

https://kuruma-news.jp/post/539882
内気循環使用時のCO2濃度上昇と健康への影響に関する詳細。

 

https://www.macnica.co.jp/business/semiconductor/articles/infineon/147322/
CAFによる「最速冷却方法」の実験結果と詳細な手順。

 

https://kuruma-news.jp/post/663768
内気循環と外気導入の燃費への影響と使い分けガイド。

 

https://financial-field.com/living/entry-258415
長時間運転時の内気循環使用における最適な切り替え戦略。

 

https://bestcarweb.jp/news/1293086

 

 


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