クローバーマーク車の意味と表示義務基準

街中で時々見かけるクローバーマークが付いた車。その本当の意味や、なぜ表示されているのか、また他のマークとの違いについて詳しく解説します。このマークの背景にある法律知識と、運転者への正しい接し方を知っていますか?
クローバーマーク車の基礎知識
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クローバーマークとは

正式名称は「身体障害者標識」で、肢体不自由な運転者が自ら操舵・操作するために表示します

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法的位置づけ

表示は努力義務となっており、義務ではないため見かけない場合もあります

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周囲の運転者への注意

クローバーマーク車への幅寄せや割り込みは道路交通法違反となります

クローバーマーク車の意味と法的義務

クローバーマークの正式名称と対象運転者

 

街中で見かけるクローバー型のマークは、正式には「身体障害者標識」(しんたいしょうがいしゃひょうしき)と呼びます。このマークが貼られた車を運転しているのは、肢体不自由であることを理由に運転免許に条件が付されている人です。言い換えると、身体に何らかの障害があっても、本人の努力と適切な装置を使用することで、安全に自動車を操作できる能力を有していると認められた人たちです。

 

運転免許試験時に、申請者の身体能力と運転適性について厳密な審査が行われ、条件付きで免許が交付されます。例えば、下肢が不自由な方であれば「手動式アクセル・ブレーキ装置の装着が必須」といった条件が免許に記載されます。つまり、クローバーマークを表示している車は、その運転者が障害を持ちながらも社会的自立と社会参加を実現している、ということを示しているのです。

 

クローバーマークと他のマークとの違い

自動車に貼られるマークには複数の種類があり、それぞれ異なる目的を持っています。混同しやすい似たマークとしては、高齢運転者標識(いわゆる「もみじマーク」の後継)や初心者マークの若葉マークなどがあります。

 

高齢運転者標識は70歳以上で身体機能の低下が運転に影響を及ぼす可能性がある人が表示する努力義務のマークです。一方、初心者マークは普通自動車免許取得後1年未満のドライバーに表示が義務付けられており、表示義務を怠ると違反点1点と反則金4000円が課されます。聴覚障害者標識(蝶々マーク)は、聴覚に障害がある運転者が表示するもので、こちらは表示が義務づけられています。

 

クローバーマークの大きな特徴は、表示が努力義務であって義務ではないという点です。この仕組みは、障害を持つ運転者のプライバシーや個人の選択を尊重する考え方に基づいており、多くの場合は個人の判断で表示を決定できるようになっています。一方で、聴覚障害者標識はワイドミラーの装着と共に義務づけられており、より強制的な性質を持っています。

 

参考:各自動車標識の法的位置づけについては、警察庁の道路交通法に関する公式情報を参照
https://www.npa.go.jp/

クローバーマークの表示位置と基準

クローバーマークを含むすべての自動車標識は、表示位置について細かい規定があります。正式には、車体の前面と後面の両方に表示することとされており、地上0.4m以上1.2m以下の見やすい位置に取り付けることが求められています。

 

多くのドライバーがリアウインドウの上部(天井部分)に表示しているのを見かけることがありますが、これは厳密に言えば規定を満たしていません。正しくは、リアバンパー周辺やドア部分など、0.4m以上1.2m以下の高さに設置する必要があります。前面についても同様で、フロントグリルやドア部分など、適切な位置に取り付けることが重要です。

 

デザインとしては、白い線で丸く外周を縁取った青い背景に、白いクローバーがデザインされています。このシンプルで視認性の高いデザインは、国際的な障害者マークの表示方法に準拠しており、運転者の国籍に関係なく理解しやすい構成になっています。

 

クローバーマークが示す福祉車両の工夫

クローバーマークが貼られた車のほとんどは、「自操式福祉車両」に分類されます。これは、障害者本人が自ら操舵・操作して運転する車両という意味です。福祉車両には複数のタイプがあり、自操式はそのなかでも特に本人の運転能力を前提とした設計になっています。

 

例えば、下肢に障害がある人向けには、手でアクセルとブレーキを操作する「ハンドコントロール装置」が装着されます。この装置は、レバーを右に倒すと加速し、手前に引くとブレーキが作動する仕組みになっています。また、上肢に障害がある場合は、足で操作する「フットコントロール装置」が用いられることもあります。

 

さらに進んだ設計として、段差のない乗降口、自動スライドドア、移動式座席など、乗り降りの負担を軽減する機能が組み込まれています。これらすべての工夫は、障害者が可能な限り自立して運転し、通勤や買い物、レジャーなど日常の移動手段として自動車を活用できるようにするための配慮です。

 

参考:自操式福祉車両の仕様と工夫について
https://nikodrive.jp/

クローバーマーク車への正しい接し方と法的罰則

道路交通法では、身体障害者標識(クローバーマーク)を表示した車に対して、他のドライバーが特別な配慮をすることを求めています。具体的には、クローバーマーク車に「側方からの幅寄せ」や「割り込み」をしてはいけないという規定があります。

 

これらの行為を行った場合、道路交通法における「初心運転者等保護義務違反」に該当し、反則金6000円(普通自動車・二輪車の場合)と累積1点の違反点数が加算されます。さらに悪質と判断された場合や、より重大な違反として認定された場合には、刑事処分となり5万円以下の罰金が課される可能性もあります。

 

多くのドライバーがこの法律を十分に認識していないのが現状です。街中でクローバーマーク車を見かけた際は、その運転者が運転免許の条件をクリアした能力を持つ人であると同時に、予測不可能な運転行動をする可能性も念頭に置いて、「もしかしたら手動装置で操作しているのかもしれない」という思いやりの心を持つことが大切です。

 

参考:道路交通法における標識の表示と保護義務について
https://www.mlit.go.jp/

 

 


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