2025年3月13日に発売された新型クラウンエステートは、全長4,930mm、全幅1,880mm、全高1,625mmという堂々としたボディサイズを誇るSUVです。このサイズであれば7人乗り仕様の設定も十分可能と考えられますが、現時点では2列シートの5人乗り仕様のみがラインナップされています。
トヨタが7人乗り仕様を採用しなかった理由として、以下の点が挙げられます。
新型クラウンエステートは「大人のアクティブキャビン」をコンセプトとしており、7人乗りよりも荷室の使い勝手と居住性のバランスを重視した設計となっています。
一方、中国市場では「クラウンクルーガー」として7人乗りのクラウンSUVが既に展開されています。このモデルは2021年に中国市場向けに投入されたフラッグシップSUVで、現地生産・現地専売モデルとして位置づけられています。
クラウンクルーガーの特徴。
このクルーガーは日本で販売される16代目クラウンシリーズとは直接的な関連がないため、技術的な共通点は限定的です。中国市場特有のニーズに合わせて独自開発された側面が強く、日本仕様への技術転用は現時点では検討されていません。
新型クラウンエステートのGA-Kプラットフォームとボディサイズを考慮すると、技術的には7人乗り仕様の設定は十分可能です。実際、同じプラットフォームを使用する他のトヨタ車では7人乗り仕様が存在します。
7人乗り化の技術的検討点。
しかし、7人乗り化には以下の課題があります。
構造的課題
商品性の課題
クラウンエステートの歴史を振り返ると、7人乗り設定に関して興味深い変遷があります。初代クラウンエステート(1999-2007年)は5人乗り仕様のみでしたが、それ以前のクラウンワゴンには特徴的な7人乗り仕様が存在していました。
歴代クラウンワゴンの7人乗り仕様
この後ろ向き3列目シートは、同時期のセドリック/グロリアワゴンやセプターワゴンにも採用されていた特徴的な装備でした。長時間の乗車には向かないものの、緊急時の人員輸送には重宝されていました。
初代クラウンエステートでの変更
1999年に登場した初代クラウンエステートでは、この後ろ向き3列目シートは廃止され、5人乗り仕様のみとなりました。これは安全性の向上と荷室使い勝手の改善を重視した結果でした。
新型クラウンエステートの7人乗り仕様について、将来的な展開の可能性を検討すると、いくつかの要因が影響します。
市場ニーズの分析
国内SUV市場では7人乗り仕様への需要が一定程度存在します。
競合他社の動向
プレミアムSUV市場では以下の7人乗りモデルが競合します。
トヨタの戦略的判断
現時点でトヨタが7人乗り仕様を設定しない理由。
将来的な可能性
ただし、以下の条件が整えば7人乗り仕様の追加も考えられます。
新型クラウンエステートは発売直後から高い注目を集めており、今後のユーザーフィードバックによっては、マイナーチェンジや次期モデルでの7人乗り仕様追加も検討される可能性があります。
現在のクラウンエステートは「大人のアクティブライフ」をコンセプトとした5人乗りSUVとして完成度の高い仕上がりを見せていますが、7人乗りへの潜在的ニーズは確実に存在しており、トヨタの今後の判断が注目されます。