高速道路で目的の出口を通り過ぎてしまった経験は、多くのドライバーが持っているでしょう。そんな時に役立つのが「特別転回」という制度です。この制度は高速道路各社が正式に設けているサービスで、追加料金なしで目的の出口に戻ることができます。
特別転回制度の最大のメリットは、本来なら発生する初乗り料金(150円+消費税)が免除される点です。通常、高速道路を一度降りて再度入り直すと、この初乗り料金が追加で発生しますが、特別転回を利用すれば元々の目的地までの料金のみで済みます。
ただし、この制度はすべての料金所で利用できるわけではありません。一部の料金所では対応していない場合があるため、事前に確認が必要です。また、ETC専用レーンでは処理できないため、必ず有人の一般レーンを利用する必要があります。
2017年から始まった「賢い料金」制度は、高速道路の休憩施設不足を解消するための画期的なシステムです。この制度を利用すれば、指定された道の駅に立ち寄るために高速道路を一時退出しても、追加料金が発生しません。
現在、全国28カ所の道の駅がこの制度の対象となっており、高速道路の休憩施設同士の間隔が25km以上離れている空白区間の解消を目指しています。利用条件として、ETC2.0車載器の搭載が必須で、指定されたICからの入退出、対象の道の駅への立ち寄り、2時間以内の再進入が求められます。
この制度の特徴は、長距離割引や夜間割引などのETC割引も継続して適用される点です。つまり、道の駅で休憩を取っても、高速道路を降りずに利用した場合と全く同じ料金で済むのです。
対象となる道の駅には、群馬県の「道の駅玉村宿」、愛知県の「道の駅もっくる新城」、山口県の「道の駅ソレーネ周南」などがあり、今後さらに6カ所が追加される予定です。
特別転回を利用する際の具体的な手順は以下の通りです。まず、目的の出口を通り過ぎてしまったら、慌てずに次のICまで進みます。絶対に高速道路上でのUターンや逆走は行わないでください。
次のICに到着したら、ETC利用者はカードを事前に抜いておき、「一般」と表示された緑色の有人ゲートに向かいます。料金所のスタッフに「降りるべき出口を通り過ぎてしまい、特別転回をしたい」と伝えてください。
スタッフは通行券に「特別転回承認」の印を押してくれます。ETC利用時は、通行券の代わりにETCカードを提示します。その後、一般道に出て反対車線へUターンし、再び料金所に戻ります。
この手続きにより、本来の目的地までの料金のみで済み、追加料金は一切発生しません。ただし、料金所によっては本線に戻るための方法が異なる場合があるため、スタッフの指示に従うことが重要です。
ETC2.0車載器を搭載している車両には、特別な一時退出の特典があります。この技術を活用すれば、高速道路の旅をより快適で経済的にすることができます。
ETC2.0の最大の特徴は、ITSスポットとの双方向通信により、車両の位置情報や走行履歴を正確に把握できる点です。これにより、指定された道の駅への立ち寄りが確実に記録され、適切な料金調整が行われます。
首都高速道路では、Y線(高速八重洲線)の八重洲乗客降り口で、高速道路を降りずに同乗者を降車させることができる特殊なサービスもあります。この場合、高速道路を降りていない判定となるため、料金は発生しません。
また、KK線(東京高速道路)では、10分以内に通過して首都高に戻ることで無料で通行できるシステムがあります。これらの技術的な仕組みを理解することで、高速道路をより効率的に利用できます。
高速道路を一周して出発地点に戻る場合の料金システムについて、多くのドライバーが疑問を持っています。例えば、米原から北陸自動車道で長岡まで行き、関越自動車道、上信越自動車道、長野自動車道、中央自動車道、名神高速道路を経由して米原に戻る場合の料金はどうなるのでしょうか。
基本的に、高速道路の料金は走行距離に基づいて計算されるため、一周した場合でも実際に走行した距離分の料金が発生します。つまり、「タダで遠方のSAやPAで遊んで帰ってこれる」ということはありません。
ただし、特別転回制度や一時退出システムを適切に利用すれば、本来の目的地までの最短距離での料金で済む場合があります。これらの制度は、あくまで「間違って通り過ぎた場合」や「休憩のための一時退出」を想定したものであり、観光目的での周回走行には適用されません。
高速道路上での逆走やUターンは重大事故の原因となるため、絶対に行ってはいけません。安全運転を心がけ、適切な制度を利用することが重要です。
高速道路の料金システムを理解し、特別転回制度や一時退出システムを適切に活用することで、より安全で経済的なドライブが可能になります。これらの知識を身につけて、快適な高速道路ライフを送りましょう。