高速自動車国道では、普通乗用車の場合、法定最高速度が100km/hと定められています。ただし、この速度はあくまで「指定速度のない区間」に限定されます。山岳区間では80km/hに制限されることが多く、東名高速道路や名神高速道路でも曲がりくねった高低差の大きな区間では80km/h制限となっています。一方、新東名高速道路や東北自動車道の一部区間では、120km/hに指定されているため、法定速度を上回ります。
最低速度についても重要な規定があります。高速自動車国道では、車両種別にかかわらず法定最低速度が50km/hと決められており、この速度を下回る走行は速度超過と同じく違反対象となります。対面通行(往復の方向別に分離されていない区間)では、この最高速度は60km/hまで低下します。登坂車線も同様に60km/h制限となっており、本線車道とは異なる規定があります。
一方、自動車専用道路には最低速度の規定がありません。そのため、故障車の牽引や農耕作業車など、50km/h以上の速度が出ない車両でも通行が可能です。ただし、標識で最低速度が指定されている区間では、その速度に達しない速度での走行は違反となります。
高速自動車国道における制限速度は、車種によって異なる規定があります。普通乗用車(三輪のものを除く)と中型自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車の法定最高速度は100km/h、最低速度は50km/hです。一方、大型貨物自動車、三輪の普通自動車、大型特殊自動車、他の車を牽引している自動車(トレーラーなど)の法定最高速度は80km/hとなっています。
2024年4月1日から新しい規定が施行され、総重量8t以上の中型・大型トラックの法定最高速度が従来の80km/hから90km/hに引き上げられました。これは、物流停滞が懸念される「2024年問題」への対策として実施されたもので、物流業界の効率化を促進しています。一方、トレーラーや牽引している車などの法定速度は80km/hのままです。
自動車専用道路では、指定速度がない区間の法定最高速度が全車種共通で60km/hとなっており、一般道路と同じ扱いです。ただし、都市高速道路など一部の区間では70km/hや80km/hに引き上げられていることがあるため、必ず標識を確認する必要があります。
多くのドライバーが見落としがちなポイントが、指定速度と法定速度の優先順位です。道路交通法第22条により、道路標識や道路標示で指定された最高速度がある場合、その指定速度が法定速度に優先されます。つまり、高速自動車国道であっても「100km/h」と指定されている区間なら100km/h走行が正解ですが、「80km/h」と指定されていれば80km/h走行が義務となります。
高速自動車国道と自動車専用道路を区別できないドライバーが、自動車専用道路で高速自動車国道と同じ速度で走行してしまうケースが問題になっています。自動車専用道路の指定速度がない区間は60km/hなのに対して、高速自動車国道は100km/hですから、誤った理解で走行すると最大40km/hのスピード違反になる危険性があります。走行中は常に速度標識に注意を払い、指定速度を厳密に守ることが安全運転の第一歩です。
一般的にはあまり知られていませんが、高速自動車国道であっても対面通行(往復の方向別に分離帯がない区間)では、法定最高速度が100km/hから60km/hに低下します。これは、中央分離帯がないことで、対向車線との衝突リスクが大幅に増加するためです。対面通行区間は主に、道路工事期間中や新規開通直後の暫定開通時に見られます。
中央分離帯がある区間が一般的な高速自動車国道ですが、建設段階では対面通行で暫定的に供用を開始することがあります。例えば、新規開通区間の初期段階や、改築工事中の迂回路などがこれに該当します。運転者は、道路の構造的な違いを認識し、それに応じた速度管理を行う必要があります。高速走行に慣れたドライバーでも、このような構造の違いを見落とすと、予期しない制限速度の低下に対応できず、危険な運転状況を招く可能性があります。
対面通行区間では、対向車線との距離が極めて限定されるため、不用意なレーン変更や走行位置の誤りが正面衝突につながるリスクが高まります。標識を確認し、60km/h制限区間では厳密にその速度を守ることが重要です。
自動車専用道路の制限速度は、地域や道路の特性に応じて、複数のパターンで指定されています。都市部の自動車専用道路では、交通量の多さから指定速度が60km/hに設定されることが多いです。一方、地方部の自動車専用道路では、渋滞が少ないため70km/hや80km/hに引き上げられている区間が数多く存在します。
高規格幹線道路に指定されている自動車道(例:北関東自動車道、圏央自動車道など)では、指定速度が100km/h近くに設定されている区間もあります。しかし、これらは例外的なケースで、大多数の自動車道は60km/hか70km/h、80km/h程度の指定になっています。走行前に必ずナビゲーションシステムや標識で速度情報を確認することで、違反を防ぐことができます。
自動車専用道路は高速自動車国道と異なり、最低速度の規定がないため、柔軟な走行速度が可能です。ただし、制限速度の厳密な遵守は安全運転の基本であり、カーブの多い山岳路線や悪天候時には、さらに速度を落とすことが推奨されます。
参考リンク:高速自動車国道と自動車専用道路の制限速度の詳細について、JAF(日本自動車連盟)の公式サイトで、車種別の法定速度や指定速度の優先ルール、料金体系の違いなどが詳しく解説されています。
JAF「高速自動車国道と自動車専用道路の違いとは」
参考リンク:NEXCO西日本の公式サイトでは、高速道路と自動車道が同じ「高規格幹線道路」であること、法定路線名の正式な定義、そして「高速道路」という呼び名が採用された歴史的背景について、一般向けのわかりやすい説明が提供されています。