道路交通法第50条では「交差点等進入禁止違反」として、交差点内で立ち往生する可能性が予見されているにもかかわらず進入した場合を違反と定めています。この違反は単に交差点内で停止することではなく、停止することが分かっているのに交差点に入り、立ち往生した場合に適用されます。
具体的な違反条件は以下の通りです。
違反が成立すると、普通車で反則金6,000円、違反点数1点が科せられます。大型車では7,000円、二輪車も6,000円と、決して軽い処罰ではありません。
内閣府の統計によると、死亡事故のうち交差点やその付近の事故は約半数を占めており、特に交差点内の事故は34.3%と最も多い割合を示しています。事故類型別では、出会い頭衝突が24.8%、右左折時衝突が12.6%となっており、これらを合計すると37.4%と追突事故を上回る結果となっています。
交差点内での停止が引き起こす具体的なリスクは以下の通りです。
歩行者への影響
他車両への影響
特に最近では、新型コロナウイルスの影響でデリバリー用自転車の利用が増加しており、自転車事故が10%近く増加している状況です。自転車は一時停止を行わないケースが多く、交差点内での停止車両との接触リスクが高まっています。
一時停止は交差点事故を防ぐ最も基本的で効果的な方法です。警察庁によると、令和元年中の取締り件数で最多となったのが一時停止違反でした。しかし、停止線の直前で完全停止するドライバーは少ないのが現状です。
正しい一時停止の方法
一時停止は「停止線上に車体が掛る前に一旦停止し、安全確認をしながら徐行(人が歩くほどのスピード)し交差点内に入る」ことです。交差点内に入ってから停止したのでは遅すぎます。
効果的な停止方法として「二回停止」の考え方があります。
この方法により、隠れた危険を発見する時間的余裕が生まれ、事故リスクを大幅に軽減できます。
交差点進入後に予期せず信号が赤になってしまった場合の対処法について、警察の交通課は「交差点内では駐停車が禁止されているため、他のクルマの邪魔にならないよう、そのまま進んで交差点を抜けてください」と回答しています。
違反にならないケース
道路交通法施行令第二条では、右折のために交差点に進入し、対向車線を待つ間に赤信号になった場合は「そのまま進行することができる」と明記されています。ただし、青信号で進行している車両の妨害をしてはいけません。
適切な対処手順
交差点内での停止を防ぐためには、予測運転と適切な判断が不可欠です。ラリードライバーの視点を参考にした「リエゾン区間」の考え方が効果的です。
リエゾン区間の概念
停止線から優先道路までの数十センチメートルを、ラリーでいうリエゾン区間(一般道路を法規に従って走行する区間)と捉えます。この区間では。
予測運転のポイント
技術的な対策
最新の安全運転支援ツール「AI-Contact」などを活用することで、一時停止の有無を客観的に確認できます。このようなツールは、無意識の違反を防ぎ、安全運転意識の向上に役立ちます。
また、教習所で学んだ基本的なルールの再確認も重要です。
これらの基本を徹底することで、交差点内での停止リスクを大幅に軽減できます。運転技術や経験は人それぞれ異なりますが、最低限のルールを守ることで、すべてのドライバーが安全に道路を共有できる環境を作ることができます。