特典を全部受け取れると思っていたら、65歳未満だと1円も割引されない場合があります。
免許返納の手続きそのものは、運転免許センターや警察署の窓口で現在有効な免許証を提出するだけです。早ければ20〜30分ほどで完了します。
しかし、ここで多くの人が見落としがちなのが「運転経歴証明書」の申請です。この証明書がなければ、各種特典を受けることはほぼ不可能です。つまり特典は全部が自動でもらえるわけではありません。
運転経歴証明書は、運転免許証と同じサイズの顔写真付き公的身分証明書で、一度取得すれば有効期限なしで生涯使えます。マイナンバーカードに経歴情報を記録する「マイナ経歴証明書」の導入も一部自治体で進んでいます。
手数料は1,100円程度かかりますが、運転免許センターで申請すれば即日交付が可能です(警察署の場合は後日交付となり、2週間程度かかるケースもあります)。
【注意点】申請できるのは返納後5年以内
警察庁の公式サイトによると、自主返納後5年以上が経過した場合や、免許失効後5年以上が経過した場合は、運転経歴証明書の交付を受けることができません。また、交通違反などによる行政処分で免許取り消しとなった方も対象外です。
返納を決めたら、同日に運転経歴証明書の申請もセットで行うのが原則です。
申請時に必要なもの(一般的な例)
参考:運転経歴証明書の手続きや注意点について(警察庁公式)
運転免許証の自主返納について|警察庁Webサイト
特典の種類は大きく4つに分類できます。自治体や協賛事業者によって異なりますが、以下が主な内容です。
① 公共交通機関の割引
最も多いのがバス・タクシーの割引です。東京都では、東京都個人タクシー協会に加盟するタクシーの乗車料金が10%割引になります。都道府県によっては路線バスが半額になるケースや、タクシー利用補助券(1枚500円×24枚など)が交付されるケースもあります。
② 商業施設・生活用品の割引
協賛スーパーで5%引きになったり、宿泊施設・温泉施設の割引が受けられたりします。地域によっては電動自転車の購入が10%引きになる事業者や、飲食チェーン(一部マクドナルドなど)でドリンクを100円で提供するサービスも存在します。
③ 自治体による奨励金・支援金
東大阪市では、75歳以上の市民が令和7年度中に免許を返納した場合、奨励金が給付されます。群馬県川場村では65歳以上を対象に5,000円分の返納支援金が交付されます。ただし、現金給付を行っているのはあくまで一部の自治体に限られます。
④ その他のユニーク特典
自治体によっては、カーシェアリング利用料の助成、フードデリバリー割引、理容・美容室での割引サービスなど多彩なラインナップがあります。
これが基本です。ただし、どの特典も「運転経歴証明書を提示するタイミング」が重要で、会計後に提示しても割引が受けられないケースがほとんどです。店舗に入る前、または注文・会計の前に必ず提示する習慣をつけておくと安心です。
参考:東京都の協賛企業・団体の特典一覧(最新情報)
高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧|警視庁
免許返納の特典には年齢制限が存在します。これは意外と知られていないポイントです。
自主返納制度自体には年齢制限がなく、20代でも30代でも返納できます。しかし、各自治体や協賛事業者が設定する特典のほとんどは「65歳以上」を対象条件としています。警視庁の加盟協賛店でも「原則として65歳以上の高齢者が対象」と明記されており、65歳未満で返納した場合は特典を一切受けられないケースが少なくありません。
65歳以上が条件、というのが原則です。
さらに深刻なのが、地域格差の問題です。都市部ではバス・地下鉄・タクシー割引に加え、百貨店・スーパーの割引まで充実した特典を受けられる一方、公共交通機関が限られる地方では提供できる特典そのものが少なく、「バス割引」と書かれていても対象路線が1〜2路線だけ、というケースもあります。
ニッセイ基礎研究所の調査によれば、75歳以上の免許返納率は東京都が8.0%である一方、最低は茨城県の3.7%と約2倍以上の開きがあります。地方で特典が少ないことが、返納を躊躇わせる一因になっているとも言われています。
厳しいところですね。
まず住んでいる都道府県の警察公式サイトか、市区町村の交通安全担当課に問い合わせて「何歳以上が対象か」「どんな特典があるか」を事前に確認することが最優先です。自治体の窓口では、地域独自の協賛店リストを入手できる場合もあります。
参考:地域別の免許返納特典の違いについて詳しくまとめられているページ
免許返納の特典について自治体ごとの違いについて解説(2025年版)|ELEMOs
車好きや長年ドライバーとして活躍してきた方にとって、「免許をすべて手放す」という決断は心理的な抵抗が大きいものです。しかし実は、すべてを一度に返納しなくても良いという選択肢があります。
これが「一部取消(一部返納)」という制度です。
たとえば、普通自動車免許と原動機付自転車(原付)免許を両方持っている場合、普通車の免許だけを返納して原付免許は残すことができます。原付があれば、近所への移動手段を完全に失わずに済みます。また、大型免許を持つ方が普通免許だけ返納するパターンも可能です。
ただし、注意点が一つあります。多くの自治体や協賛事業者は、「全ての免許を返納した方」を特典対象にしています。一部返納の場合は、特典を受けられない、あるいは対象範囲が狭くなるケースが多いため、返納前に各自治体の要綱を確認することが必須です。
つまり「一部か全部か」で受けられる特典が変わります。
電動アシスト自転車や電動スクーター(特定小型原動機付自転車)の普及が進んでいる昨今、「原付免許を残しつつ普通車免許を返納する」という選択は、移動の自由を確保しながら交通事故リスクを下げる現実的な方法として注目されています。家族が近くに住んでいる場合や、送迎サービスが利用できる場合は全部返納でも十分ですが、郊外・地方在住の場合は一部返納を視野に入れた検討が合理的です。
車好きにとって、免許返納と同時に愛車をどうするかは非常に重要なテーマです。ここでは、特典活用と組み合わせて、最もお金の面で損しない手順を整理します。
売却は「3月末まで」が鉄則
日本の自動車税(種別割)は、毎年4月1日時点の車の所有者に対して1年分が課税されます。たとえば3月31日までに売却・抹消登録が完了すれば、その年度の自動車税を一切払わずに済みます。一方、4月2日以降に売却すると1年分の自動車税が課税されたうえで、廃車手続き後に月割で還付が受けられるものの、その手続きや待機期間(通常1〜2ヵ月)が発生します。
自動車税は排気量によって異なりますが、2,000cc以下のクラスで年額約3〜4万円台が目安です。3月末までに動けば、この金額をまるごと節約できます。これは使えそうです。
保険の解約・駐車場の解約もセットで
愛車を手放す際は、任意保険の解約または中断手続きも必要です。中断証明書を発行しておくと、将来的に再び車に乗る可能性が生じた際に等級を引き継げます(ただし10年以内に限る)。駐車場の解約も忘れず行いましょう。
査定は複数社で比較する
買取業者によって査定額は大きく異なります。1社だけで決めると数万円単位で損するケースも珍しくありません。特に「免許返納に伴う売却」と伝えると、出張査定に対応してもらいやすくなる業者もあります。
返納後に車の「名義だけ残す」は問題あり
免許を返納したあとも、車の名義変更は義務ではありません。ただし、所有し続ける限り自動車税・保険料・車検費用が発生し続けます。乗らない車にコストを払い続けることは大きな出費です。名義を残すなら、家族が乗り継ぐ形や短期間のみにとどめるのが賢明です。
売却のベストな手順(簡易まとめ)
返納日と売却完了日の順番に迷う場合は、先に買取成立(名義変更完了)を確認してから、その後に免許返納の手続きへ進むのが一般的です。名義変更は自分で運転していなくても対応できるためです。
参考:免許返納と車の処分に関する詳細手順
免許返納で車はどうする?損しない処分方法と移動手段を徹底解説|カーモくん
特典情報は「自分から調べに行く」姿勢が欠かせません。なぜなら、協賛店の特典内容は予告なく変更・終了されることがあるからです。
特典を調べる3つの方法
ロゴマークは青山学院女子短期大学の田島俊雄教授がデザインしたもので、全国共通のシンボルです。店頭でこのステッカーを見かけたら、サービス内容を確認する価値があります。
特典利用の3つの注意点
特典に期限があるということですね。
また、各都道府県の特典一覧は「高齢者連合会(全国老人クラブ連合会)」のWebサイトでも都道府県別リンクとしてまとめられており、一括して比較しやすくなっています。免許返納を親御さんに勧めたい方の参考先としても有用です。
安全運転相談ダイヤル「#8080」では、電話一本で免許返納の手続きや地域の相談窓口を案内してもらえます。手続きに不安がある場合の最初の一歩として活用できます。
参考:都道府県別の特典一覧と返納サポート情報
運転免許証の自主返納をお考えの方へ 〜各種特典のご案内〜|全国老人クラブ連合会