東京オートサロン2025で大きな注目を集めたのが、スタンスマジックブースに展示された「COPERCHE 887GT-K」です。この車両は初代L880K型コペンをベースに、ポルシェ997 GT3風に大胆にリメイクした作品で、会場では多くの来場者が足を止めて撮影するほどの反響を呼びました。
製作者のスタンスマジック代表・高松憲次さんは、会社で所有していたコペンを眺めながらひらめいたアイデアを約9カ月かけて実現。完成したのは東京オートサロンの搬入日という、まさにギリギリのタイミングでした。
この車両の最大の特徴は、完全なクローズドボディクーペ化とワイドフェンダーによるグラマラスなフォルムです。外装はすべてFRPで作り直され、遠目から見るとコペンだとわからないほどの完成度を誇ります。
エンジンは中古購入時にすでにダイハツ「テリオス」用K3-VE型1300ccエンジンに載せ換えられており、これが白ナンバー登録を可能にし、寸法面でも好都合となりました。
コペンポルシェ改造で最も重要なのは、灯火装置の問題解決です。ポルシェ純正パーツをそのまま使用することは寸法的に困難なため、創意工夫が必要となります。
リアテールランプについては、偶然見つけたポルシェ用パーツがサイズ的に適合し、違和感なく装着できることが判明しました。一方、ヘッドライト選びは非常に困難で、最終的にダイハツ「キャスト」用ヘッドライトを採用し、ポルシェ風にマウントすることで解決しています。
ボディワークでは、完全なクローズドボディ化とワイドフェンダーの製作が最大の難関です。すべてが手探りの作業となり、デザインと寸法出しには相当な時間と労力が必要となります。
エアロパーツとしては、巨大なリアウィングとルーフのシャークフィンが採用され、レーシーな印象を演出しながら空力性能の向上も図られています。
コペンポルシェ改造の費用は、改造の程度によって大きく異なります。過去の事例では、ポルシェ935風のMARTINIカラー仕様が112万円で販売されていた記録があります。
製作期間については、東京オートサロン2025の実車例では約9カ月を要しており、これは外装の完全作り直しと各種パーツの適合作業に時間がかかるためです。特に以下の作業が時間を要します。
費用の内訳としては、FRP加工費、塗装費、パーツ代、工賃が主要な項目となります。DIYで挑戦する場合でも、専門的な技術と設備が必要な部分は外注する必要があり、総額で数百万円規模の投資が必要となることが多いです。
コペンポルシェの魅力は見た目だけではありません。東京オートサロン2025の実車例では、2025年中にサーキット走行を予定しており、実際の走行性能も重視されています。
エンジンスワップにより、標準の659ccから1300ccへの排気量アップが行われることで、パワーアップが実現されます。ただし、製作者自身も「きっと速く走れないと思うけど、なんだか面白いでしょ!」と語っているように、純粋な速さよりも楽しさを重視したコンセプトです。
サーキット走行時の注目点は以下の通りです。
公道走行についても、ナンバー取得を前提とした設計により、日常使用も可能です。ただし、ワイドボディ化により最小回転半径の増加や駐車場での取り回しの困難さなど、実用面での制約もあります。
コペンポルシェは単なる改造車を超えて、独自のカスタム文化を形成しています。「コポルシェ」という愛称で親しまれ、オーナー同士のコミュニティも存在します。
この文化の特徴は、高級スーパーカーへの憧れを手の届く範囲で実現するという点にあります。本物のポルシェを購入することは困難でも、コペンベースなら比較的手軽に「ポルシェ風」の体験ができるのです。
近年の傾向として、以下のような進化が見られます。
将来的には、電動化の波に乗って電気自動車ベースのコペンポルシェも登場する可能性があります。また、VRやARを活用した設計シミュレーションにより、より効率的な改造プロセスの確立も期待されます。
名古屋オートフェスティバル2025でも新たな「COPERCHE 811 GT-K」が展示されるなど、この文化は確実に広がりを見せています。今後も自動車愛好家たちの創造性と技術力により、さらに驚くべき作品が生まれることでしょう。
コペンポルシェは、限られた予算でも夢を実現できる素晴らしい文化です。あなたも挑戦してみてはいかがでしょうか。