2024年春以降、北関東自動車道および東北自動車道の栃木県内に3か所の半固定式オービス拠点が新設されました。これらの拠点は以下の通りです。
栃木県内の新設拠点
さらに群馬県内でも新たな拠点が確認されており、太田強戸PAと太田藪塚ICの間(23キロポスト付近)に半固定式オービス拠点が設置されています。
これらの拠点では、2024年2月時点で基礎工事やケージの設置が進められており、一部の拠点では既にケージまで完成していますが、電力量計の設置やケーブル接続はまだ完了していない状況でした。
半固定式オービスは、従来の固定式オービスと移動式オービスの利点を組み合わせた革新的なシステムです。このシステムの特徴は以下の通りです。
システムの基本構造
運用の特徴
このシステムにより、ドライバーは複数の拠点すべてで速度に気を配る必要があり、より効果的な速度抑制効果が期待されています。
半固定式オービスは2021年4月に大阪府の阪神高速に初めて登場して以来、全国各地に展開されています。現在の設置状況は以下の通りです。
設置府県と拠点数
全国合計で27か所の拠点が存在し、今回の栃木県への新設により8府県での運用となりました。
地域別の展開傾向
各県への設置は交通量の多い主要高速道路を中心に行われており、特に事故多発区間や速度超過が問題となっている区間が選定される傾向があります。北関東自動車道への設置も、首都圏と東北地方を結ぶ重要な交通路線としての位置づけが影響していると考えられます。
半固定式オービスの大きな特徴の一つが、反応速度の柔軟な設定機能です。従来の固定式オービスとは異なる運用が可能となっています。
速度設定の特徴
設定変更の利点
この機能により、単純な速度超過だけでなく、危険運転や悪質な違反により効果的に対応できるシステムとなっています。特に高速道路での大幅な速度超過に対する抑制効果が期待されています。
半固定式オービスの設置は、単なる取締り強化を超えた交通安全への総合的な効果をもたらすと考えられます。
心理的抑制効果
従来の固定式オービスでは、設置場所を覚えてしまえばその地点のみで減速する「点の対策」でしたが、半固定式では複数拠点のどこに設置されているか分からないため、「線の対策」として機能します。これにより、ドライバーは広範囲にわたって適正速度を維持する必要があります。
事故減少への期待
北関東自動車道は首都圏と東北地方を結ぶ重要な物流ルートであり、大型車両の通行も多い路線です。速度超過による重大事故のリスクが高い区間での半固定式オービス導入により、事故件数の減少が期待されています。
経済効果の側面
適正な速度での走行は燃費向上にもつながり、物流コストの削減や環境負荷の軽減といった副次的効果も見込まれます。特に業務で頻繁に利用する運送業者にとっては、安全運転の徹底と経済性の両立が図れる可能性があります。
半固定式オービスの導入は、単なる取締り機器の設置を超えて、交通安全文化の向上と持続可能な交通システムの構築に寄与する重要な施策として位置づけられています。今後の運用状況と効果検証により、さらなる展開が検討される可能性も高いでしょう。