キノコミラーは正式には「サイドアンダーミラー」と呼ばれ、日本の保安基準により設置が義務付けられている重要な安全装備です。この基準では、運転席から「直前」「直左」にある「直径0.3m、高さ1mの円柱」を確認できることが求められており、これは約4歳の男の子の平均身長に相当します。
SUVやミニバン、トラックなど助手席側に死角ができやすい大型車両には必ず装着されており、この法的要件を満たさない場合は車検に通りません。愛知県の車検場では実際に確認する施設も設置されており、ハイリフト法とも呼ばれるこの基準は現在の新車すべてに適用されています。
輸出用車両との違いでもあるキノコミラーは、日本独自の安全基準を反映した装備として位置づけられています。
キノコミラーの撤去は比較的簡単なDIY作業として行うことができます。作業難易度は初級レベルで、必要な作業時間は30分以内とされています。
撤去作業の基本手順。
ただし、撤去後は必ず代替手段を講じる必要があります。単純に取り外すだけでは保安基準違反となり、車検に通らなくなってしまいます。
長期使用によりキノコミラーの根元ラバー部分が劣化することがあります。特に新車購入から12年近く経過した車両では、この部分の交換が必要になることが多く見られます。
交換作業のポイント。
トヨタ車の場合、品番87907-28030などの純正補助ミラーが中古市場でも入手可能です。フェンダーミラーを取り除く際の代替品としても活用されています。
最新の技術により、キノコミラーをカメラシステムで代替することが可能になっています。ただし、この代替には厳格な要件があり、保安基準に適合しているかどうかの確認が必要です。
代替システムの要件。
実際の事例では、フロントカメラとサイドカメラを取り付けても陸運局で「アウト」判定を受けるケースもあり、事前の十分な確認が重要です。成功事例としては、ジムニーJB23でリフトアップ後にドライブレコーダー画面で前方確認できるシステムを導入した例があります。
キノコミラーには一般的に知られていない興味深い活用法があります。オフロード走行時には左右の車幅感覚を把握するための目安として機能し、昔のコーナーポールの代わりとしても活用されています。
歴史的な背景として、旧ランドクルーザー70の愛好者がフェンダーミラーを好んだ理由の一つに、オフロードでの走行時に左右の目安ができて運転しやすかったことが挙げられます。これは見た目だけでなく、実用性を重視した選択でした。
車種による呼び名の違いも興味深く。
現代のSUVでは、デザイン性を重視してカメラシステムを採用する車種も増えており、キノコミラーが付いていない新型車も存在します。しかし、その安全性能は変わらず重要な役割を果たしています。
復刻版ランドクルーザー70では、オーナーの中には納車と同時にボディ同色でペイントする方も多く、デザイン面での配慮も見られます。一方で、その機能を理解し重要視するオーナーも多く、安全装備としての価値が再認識されています。