次期キックスの外観は「高級スニーカーのような洗練されたデザイン」をコンセプトに大幅な変更が施されています。フロントデザインでは、水平基調のLEDライトがグリルを囲むように配置され、従来のVモーショングリルから脱却した新しいデザイン言語を採用しています。
特に注目すべきは、ボディ上部のスッキリとしたラインと、ワイドでスクエアな形状のフェンダーとの対比です。この組み合わせにより、堅牢でタフな印象を生み出しながらも、都市的な洗練さを兼ね備えています。
ボディサイドには、高級スニーカーのソールからインスパイアされた立体的な造形がアクセントとして配置され、スポーティな雰囲気を演出しています。リアデザインでは、フェンダーに沿って配置されたフルLEDテールライトが、まるでテールゲートを分割しているかのような印象的なデザインとなっています。
北米仕様の次期キックスには、直列4気筒2.0リッターエンジンが搭載されています。これは現行の日本仕様キックスが採用するe-POWERシステムとは異なるパワートレインです。
現行の日本仕様キックスは、2022年のマイナーチェンジで第2世代e-POWERを採用し、最高出力136ps、最大トルク280Nmを発生するE47型モーターをフロントに搭載しています。さらに4WDモデルでは、リアに最高出力68ps、最大トルク100Nmの高出力モーターを追加し、e-POWER 4WDシステムを実現しています。
日本市場向けの次期キックスでも、このe-POWERシステムが継続される可能性が高く、さらなる進化が期待されています。燃費性能はWLTCモードで19.2~23.0km/Lを実現しており、環境性能と走行性能の両立を図っています。
次期キックスの日本発売時期については、2025年中の導入が予想されています。しかし、現在の日本市場では2024年6月に仕様向上を受けた現行モデル(P15型)が販売継続されており、フルモデルチェンジの実施時期は2026年度以降になる可能性も指摘されています。
価格については、現行モデルが約280万円からの設定となっており、新型では装備の充実化により319万円からの価格設定が予想されています。この価格帯は、トヨタ ヤリスクロスやホンダ ヴェゼルといった競合車種と比較して、やや高めの設定となる見込みです。
日産としては、次期キックスの価格設定が成功の鍵を握ると考えられており、充実した装備内容とのバランスを取りながら、コストパフォーマンスの良さをアピールする戦略が重要になります。
現行キックスは、コンパクトSUV市場において独自のポジションを確立しようと努力していますが、セールス面では苦戦を強いられています。主な競合車種であるトヨタ ヤリスクロス、ホンダ ヴェゼル、マツダ CX-3、スズキ エスクードと比較して、価格の高さや4WD設定の遅れが課題となっていました。
2022年のマイナーチェンジで4WDモデルが追加されたことにより、この弱点は解消されましたが、今後の次期キックスでは、さらなる差別化が求められています。e-POWERシステムの独自性や、プロパイロットなどの運転支援技術の充実により、他社との違いを明確にする必要があります。
特に降雪地域のユーザーからの需要が高い4WDシステムについては、モーター駆動による滑らかな制御と燃費性能の両立が、ガソリンエンジンベースの競合車種に対する大きなアドバンテージとなる可能性があります。
次期キックスの隠れた魅力として、日産の新しいデザイン言語の先駆けとなる可能性があります。中国で発表された新型パスファインダーも同様のグリルデザインを採用しており、今後の日産車全体のデザイン統一性を示唆しています。
また、e-Pedal Stepの操作性向上により、アクセル操作だけで加減速をコントロールできる独特の運転感覚は、他メーカーでは体験できない魅力となっています。SPORTやECOモード選択時にもBレンジへの切り替えが可能となり、下り坂での強い減速が必要な場面でのコントロール性も向上しています。
さらに、現行モデルで好評だったリアコンビランプ一体型バックドアフィニッシャーが全車に採用されるなど、スタイリッシュなエクステリアデザインの統一性も図られています。ステアリングには上質なスムースレザーが採用され、内装の質感向上も実現されています。
これらの細かな改良点は、日常の使用において大きな満足度の向上をもたらし、長期間の所有においてもその価値を実感できる要素となっています。次期キックスでは、これらの魅力がさらに磨き上げられ、コンパクトSUV市場での競争力強化が期待されています。