三菱自動車は2019年に国内販売を終了したパジェロの復活を2026年に実現する計画を進めています。この復活計画は、三菱の新中期経営計画「Challenge 2025」の一環として位置づけられ、今後5年間で全16車種(うち電動車9車種)を投入する戦略の中核を担います。
復活の背景には、現在のSUVブームとトヨタ・ランドクルーザーシリーズの市場独占状態があります。三菱は自社の象徴的なモデルであるパジェロを復活させることで、本格クロカンSUV市場への再参入を図ります。
特に注目すべきは、2023年に日本再導入されたトライトンの成功です。トライトンは発売開始から月販計画の6倍以上を達成する大ヒットとなり、この成功体験が次期パジェロ開発の追い風となっています。
次期パジェロは新型トライトンのプラットフォームを基盤として開発されます。この戦略により、開発コストの削減と時間短縮を実現しながら、高い走破性能を確保できます。
トライトンベースの採用により、以下の特徴が期待されます。
ただし、一部の情報では次期パジェロがより高級志向のSUVを目指すという報道もあり、トライトンの乗り心地では次世代パジェロの水準に達しないという開発陣の判断もあるようです。
次期パジェロには複数のパワートレインオプションが用意される予定です。メインとなるのは2.4Lクリーンディーゼルターボエンジンで、これはトライトンと同じ4N16型エンジンです。
さらに注目すべきは、PHEVシステムの搭載計画です。新型パジェロのPHEVモデルは、WLTCモードで約15.5km/Lの燃費性能を実現すると予想されています。これにより、環境性能と本格的なオフロード性能を高次元で両立させます。
パワートレインの詳細。
次期パジェロの予想価格は600万円〜700万円程度とされています。これは中古パジェロとの価格差が約200〜300万円となる水準で、プレミアムSUVとしての位置づけを明確にしています。
市場戦略としては、パジェロスポーツよりも高級感のある装備を備え、パジェロミニとは一線を画す本格的なオフロード性能を持つモデルとして展開されます。
生産については、トライトンと同様にタイ王国の三菱工場で行われる予定で、日本だけでなく海外市場でも販売される計画です。これにより、スケールメリットを活かしたコスト競争力の確保を図ります。
価格帯別の競合車種。
次期パジェロの開発において最も重要な課題は、「三菱らしさ」の再定義です。単なるトライトンの派生モデルではなく、パジェロブランドに相応しい独自性の確立が求められています。
開発陣が目指すのは「和製ランドローバー」とも言える存在で、オンロードを高級車のように走れて、それでいて悪路走破性も世界トップレベルを確保するSUVです。この両立は技術的に非常に困難な挑戦となります。
独自性を生み出すポイント。
さらに、次期パジェロは単なる復刻版ではなく、現代のユーザーニーズに応える先進的な装備も重要です。安全運転支援システムやコネクティビティ機能など、最新技術の搭載が期待されています。
また、環境規制の厳格化に対応するため、将来的な電動化への対応も設計段階から考慮されています。ラダーフレームでありながら電動化に対応できる構造は、次期パジェロの大きな技術的アドバンテージとなるでしょう。
三菱自動車の技術力と伝統を結集した次期パジェロは、単なる復活モデルを超えて、新時代の本格SUVの基準を示すモデルとなることが期待されています。