新型デリカD6の登場は2027年が最有力とされており、複数の自動車メディアが報道しています。現行D:5は2007年の登場から20年が経過し、2019年の大規模マイナーチェンジから約8年目のタイミングです。三菱自動車は長年のロングセラーである現行モデルの設計限界を認識し、新世代プラットフォームの採用による抜本的な改革を計画しています。
デリカシリーズの特徴は「オールラウンダーミニバン」としての独自ポジション。ミニバンの実用性とSUVの走破性を融合させた唯一無二の存在として、アウトドア志向のファミリー層から絶大な支持を受けてきました。次期モデルはこの伝統を継承しつつ、電動化社会への適応と最新技術搭載により、さらに進化した姿で登場するのです。
新型デリカD6最大の進化は、ルノー・日産・三菱アライアンスが共同開発した「CMF-C/Dプラットフォーム」の採用です。現行モデルの基盤となっているGSプラットフォームは2000年代の設計であり、約20年の歴史を背負っています。新世代プラットフォームへの移行により、ボディ剛性が大幅に向上し、同時に電動化システムとの親和性も飛躍的に高まります。
この基本設計の刷新は、操縦安定性と乗り心地の同時改善を実現。悪路での突き上げ感が軽減される一方で、高速走行での安定性も向上します。さらに衝突安全性の基準も最新の国際規格に対応し、家族を乗せるファミリーカーとしての安全性が格段に向上。CMF-C/D採用によって、室内空間も現行比で拡大され、セカンドシートやサードシートの足元余裕が大幅に増します。
パワートレインの進化はデリカD6における最重要なテーマです。現行モデルの主力である2.2Lクリーンディーゼルエンジンは廃止される可能性が高く、代わりにプラグインハイブリッドシステムが標準搭載されます。採用エンジンは2.4L直列4気筒MIVECで、出力は133ps/20.3kgm。これにフロントモーター116ps、リアモーター136psを組み合わせたツインモーター4WDシステムにより、合計出力約385psを実現します。
バッテリー容量は20kWhで、EV走行のみでの航続距離は約80kmを想定。日常の通勤や買い物程度であれば、ほぼ電力のみで走行できる実用性があります。燃費性能は現行ディーゼル(13.6km/L)から大幅に向上し、PHEV走行で15.0km/L以上を目指すとともに、日常走行では給油頻度が激減するでしょう。また、エンジンとモーターの力強さが融合することで、従来比での走行フィーリングも洗練されます。
次期デリカD6の最大の目玉の一つが、完全電気自動車(BEV)仕様の設定です。これまでのPHEVモデルとは異なり、エンジンを搭載しない完全電動での展開となります。デュアルモーター方式による4WDシステムを採用し、前後のモーターが独立して駆動制御を行うため、滑りやすい路面や急勾配の悪路でも安定した走行性能が得られます。
最大航続距離は600kmを目指すという情報があり、これは多くのユーザーにとって「長距離ドライブでも安心できるEV」という判断材料になります。バッテリー容量は大容量化される見通しですが、近年急速に整備が進む急速充電インフラとの相性を考慮した設計になるでしょう。とくにファミリーユースでは、EV特有の静粛性と快適性、メンテナンス費用の安さというメリットが大きな魅力。アウトドア志向のユーザーにとっても、モーター特有の力強いトルクと4WD制御の組み合わせで、「電動でも走れるデリカ」が実現されます。
インテリア領域における進化も見逃せません。新型デリカD6では、これまでのアナログメーター表示から完全にデジタル化へシフトします。10インチ以上の液晶デジタルメーターが標準装備され、走行情報、ナビゲーション、電動システムの状況がひと目で把握できるようになります。
ダッシュボード中央には12インチ級のインフォテインメントディスプレイが搭載され、Apple CarPlayやAndroid Autoに完全対応。スマートフォンとのシームレス連携により、ナビや音楽再生の操作が直感的に行えます。さらに、フロントガラスへの画像投影型ヘッドアップディスプレイ(HUD)により、視線移動を最小限に抑えて走行情報を確認可能。高級感のある内装素材としては、合成レザーやスエード調のシート表皮、上級グレードではアルミやウッドパネルの採用が予想されます。
こうしたデジタル化の進化により、デリカD6は単なる移動手段から「移動するリビング」へと進化。家族との時間をより快適で充実したものに変えてくれるでしょう。
安全装備の面でも次期デリカD6は大幅な進化を遂行します。三菱の先進運転支援技術「MI-PILOT(マイ・パイロット)」が搭載され、高速道路や渋滞時の運転負担が劇的に軽減されます。アダプティブクルーズコントロール(ACC)により、前方車両との車間距離を自動調整しながらスムーズな加減速が行われ、長距離ドライブの疲労が大幅に軽減。
レーンキープアシスト(LKA)では車線の中央をキープするようにハンドルが自動制御され、ふらつきやはみ出しが防止されます。ナビ連携速度制御により、高速道路のカーブや分岐地点では自動で最適な速度に調整。さらに渋滞時のストップ&ゴー機能では、前車の停止に応じて自動で停止し、再発進時にはアクセル操作なしで追従を開始します。
衝突被害軽減ブレーキ(前方衝突警報+自動ブレーキ)に加え、後方誤発進抑制機能や死角検知機能なども搭載。360度カメラによる全周囲モニターと障害物センサー付きパーキングアシスト機能も充実するため、狭い駐車場や見通しの悪い交差点でも安心して運転できます。
新型デリカD6のボディサイズは、現行モデルより一回り拡大される予想です。全長約4900mm、全幅約1850mm、全高約1900mm、ホイールベース2900mmを想定。これらの数値により、室内空間の実用性が著しく向上します。セカンドシート、サードシートのスライド量が拡大し、リクライニング角度も細かく調整可能に。必要に応じてフルフラット化も実現し、車内をベッドのように使用できるシートアレンジが提供されます。
床下収納や天井収納スペースの充実により、キャンプ道具や大型荷物もすっきり収納可能。アウトドア志向のファミリーにとって、旅行やレジャーでの利便性が格段に向上。また、CMF-C/Dプラットフォーム採用による室内静粛性の向上も見逃せません。移動時間そのものが、より快適で充実したひとときへと変わるでしょう。
新型デリカD6の予想価格帯は、430万円台からスタートし、上級グレードやEV仕様では500万円台後半に達する可能性が高いとされています。電動パワートレインの採用、インテリアのデジタル化、安全装備の標準化といった要素がコスト増要因となります。PHEV仕様が450万~550万円、EV仕様が500万~650万円程度の設定が予想されます。
一方、補助金による経済的なメリットも大きく、国の「CEV補助金」ではPHEVで最大55万円前後、EVなら最大85万円前後の補助金が受けられる可能性があります。自動車税や重量税の優遇措置も受けられるため、初期費用が高くてもランニングコスト面では有利です。さらに地方自治体による独自の補助金や充電器設置支援制度も存在するため、事前に地元自治体の制度を調べておくことが重要です。
こうした補助金を活用すれば、実質的なコストパフォーマンスが大幅に改善されるため、予想価格の高さに躊躇していた層にとっても「狙い目」となる可能性があります。
新型デリカD6の外観は、2023年のジャパンモビリティショーで発表された「MITSUBISHI D:X Concept」の影響を大きく受けると予想されています。デザインの基本姿勢は、これまでのデリカの「無骨さ」や「タフさ」といったブランドイメージを受け継ぎながらも、最新のデザイン思想を取り入れるというもの。
フロントフェイスでは、進化版の「ダイナミックシールド」が採用される見込みです。中央に厚みのあるグリルを構え、左右に縦型のLEDヘッドライトを配置した立体感あるデザインで、見るからに力強さが伝わります。これらのランプシグネチャーも刷新されることで、街中でも一目で新型デリカと認識される設計になるでしょう。
エクステリア全体ではSUVテイストが強調され、フェンダーは従来よりもワイド形状になり、走破性の高さを視覚的にもアピール。バンパー下部やリア周辺にはスキッドプレート(アンダーガード)が装着される予定で、岩場や悪路での保護性能とタフな印象の両立を実現します。
ボディカラーではアウトドア志向のユーザーを意識した新展開が予想されており、カーキやサンドベージュ、深いグリーンといった「アースカラー」系の新色採用の可能性が高いとされています。加えて「マットブラック」や「グレイッシュ系のツートーンカラー」など、質感にこだわった塗装も用意されると考えられ、キャンプ場でも映える個性的な色選びが可能になるでしょう。
新型デリカD6のポジションは、一般的なミニバンとは一線を画します。7人乗りの快適性だけでなく、SUV並みの走破性や4WD性能を持ち合わせている点が決定的な違いです。そのため、ライバル車として比較すべきは、トヨタのアルファードやヴォクシーといった「高級ミニバン」よりも、むしろトヨタ・RAV4やハリアー、日産セレナといった「機能・走破性のバランス型モデル」と言えます。
対RAV4との比較では、デリカD6は7人乗り対5人乗りという圧倒的な実用性で優位性を持つほか、PHEV・EV化による環境性能とツインモーター4WDによる走破性で明確な差別化が成立。対セレナとの比較では、e-POWER搭載のセレナに対し、D6の完全電動EV仕様が600km航続距離で対抗する形となります。
アウトドア志向のファミリーにとって、「ミニバンの広さ&安全性」と「SUV並みの悪路走破性」を両立した唯一無二の存在が次期デリカD6なのです。
参考リンク:D:Xコンセプトのデザイン情報について
次期デリカD:6の開発状況とプラットフォーム採用についての詳細情報
参考リンク:PHEV・EVパワートレイン搭載の技術解説
デリカD6のフルモデルチェンジにおけるパワートレインとインテリア進化