jc08モード10・15モード違い測定方法比較

車のカタログ燃費の測定基準として使われてきた10・15モードとJC08モードですが、この2つの燃費測定方法には一体どのような違いがあるのでしょうか?

jc08モード10・15モード違い

この記事でわかること
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測定方法の進化

1991年の10・15モードから2011年のJC08モードへ、実際の走行環境に近づいた測定基準の変化がわかります

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具体的な測定条件の差

最高速度、平均速度、エンジン温度など、両モードの測定条件の違いを詳しく解説します

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燃費値の違いと実燃費

JC08モードが10・15モードより約10%低くなる理由と、実燃費との関係を説明します

jc08モードの測定時間と走行パターン

JC08モードは2011年4月以降に型式指定を受ける車から採用された燃費測定方法で、10・15モードに比べて測定時間が約2倍の約20分(1204秒)に延長されました。 測定は試験室内に設置されたシャシダイナモメータと呼ばれるローラー上で行われ、実際の道路を模した細かい速度変化パターンに従って車両を走行させます。
参考)【豆知識】カタログに記載される「JC08モード」とは?

測定開始から1204秒まで、非常に細かな走行パターンが定められており、例えば測定開始から27秒後には時速4.9km(1速)、28秒後には時速9.8km(1速)といった具合に、速度とギアポジションまで厳密に規定されています。 速度の逸脱可能範囲は時速±2km、かつ±1秒以内までとされており、測定に臨むドライバーは集中力を絶やさずに操作を継続する必要があります。
参考)https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1608/22/news014_3.html

走行距離は8.172kmで、平均速度は24.4km/hと設定されており、発進・停止が多い都心エリアにおける走り方をしっかりと研究した結果となっています。 また、加速や減速、信号待ちなどの停車(アイドリング)を多く取り入れて、実際の運転に近い走行パターンを再現している点が特徴です。​

10・15モードのエンジン温度条件

10・15モードは1991年に国土交通省が定めた燃費測定方法で、それまで使われてきた「10モード」に当時の自動車使用環境をもとに15項目の走行パターンを追加したものです。 この測定方法の大きな特徴は、エンジンが十分に温まった状態(ホットスタート)からのみ測定を行っていた点にあります。​
具体的には、暖機運転を済ませてエンジンの性能を十分に発揮できる状態で測定するため、実際の使用状況とは異なる条件での測定となっていました。 最高速度は70km/hに設定され、緩やかな減加速で測定が行われていたため、現実の走行環境とは乖離がありました。
参考)WLTCモード、JC08モード、10・15モードとは? / …

10モードでは「アイドリング状態で20秒」「20km/hまで7秒かけて加速」「20km/hを15秒キープ」「20km/hから7秒かけて減速して停止」といった10のパターンが決められており、このパターンに則ってシャシダイナモ上で走行し、排ガスや燃費を測定していました。 しかし、時代とともに交通状況が変化したことや、モード燃費と実際の走行燃費の差が大きいという問題が露わになったことから、新たな測定基準が必要となりました。​

jc08モードのコールドスタート測定割合

JC08モードが10・15モードと大きく異なる点の一つが、コールドスタート(冷機状態)での測定を取り入れたことです。 実際の使用状況では、エンジンが完全に冷えている状態から走行を開始するシチュエーションが非常に多いことから、この測定条件が採用されました。​
JC08モードでは、エンジンが冷えた状態(コールドスタート)と温まった状態(ホットスタート)の両方で燃費を測定し、その結果をコールドスタート25%、ホットスタート75%の割合で平均して燃費値を算出します。 これは、10・15モードがホットスタート100%だったことと比較すると、より実際の使用状況に近づいた測定方法と言えます。​
また、エンジン水温も測定に大きく影響するため、仮に測定を失敗すれば条件に合致した水温に低下するまで再測定を待つことになるなど、測定条件はより厳格になっています。 暖気前のコールドスタート時の測定が全体の25%程度加えられる分、燃費値は厳しいものとなり、車によって異なりますが、一般的にJC08モードの方が10・15モードよりおおむね1割ほど低くなる傾向がありました。​

jc08モードと10・15モードの最高速度差

両モードの最高速度には明確な違いがあります。10・15モードでは最高速度が70km/hに設定されていたのに対し、JC08モードでは81.6km/hまで引き上げられました。 この10km以上の速度差は、より実際の走行環境に近い測定を実現するための重要な変更点でした。​
平均速度についても、JC08モードでは24.4km/hと設定されており、発進・停止が多い都心エリアにおける実際の走り方をしっかりと研究した結果となっています。 一方、10・15モードは当時の交通状況に合わせて考案された走行パターンを用いていましたが、時代とともに交通状況が変化したことで、実情とのズレが生じていました。​
また、JC08モードでは速度変化(加減速)をより細かく規定したことで、より現実的な走行に近づけるための走行パターンが考案されました。 測定時間も10・15モードに比べて倍近く長くし、平均時速も高められるなど、より実際の走行パターンに近い測定法を実施するための改善が行われました。​
測定中はエアコンやカーナビなどの電装品は使用しない点は両モードとも共通していますが、JC08モードの方がより実走行に近い条件設定となっています。​

jc08モードのカタログ燃費と実燃費の差

JC08モードで表示されるカタログ燃費は、実際の燃費よりも20%〜30%高めに出る傾向があります。 これは、測定が試験室内の理想的な環境で行われることや、エアコンなどの電装品を使用しない条件での測定となるためです。​
10・15モードから JC08モードへの移行期には、両方の数値を併記することがありましたが、その場合JC08モードの方が数値は10%ほど悪くなっていました。 例えば、ある車種では10・15モードで19.5km/Lだった燃費が、JC08モードでは17.5km/Lと表示されるケースがありました。 これは実際の走行パターンに近づいた結果であり、より正確な燃費情報を提供するための進化と言えます。​
カタログ燃費と実燃費に差が出る大きな要因は、測定条件と実際の使用環境の違いにあります。 実際の運転では、エアコンの使用、渋滞による停車時間の増加、急発進・急加速などの運転方法、気象条件などがすべて燃費に影響します。 そのため、カタログ燃費はあくまで車種間の比較や目安として活用することが推奨されます。
参考)カタログ燃費と実燃費に差が出てしまうのはなぜか? - web…

<参考リンク>
燃費測定方法の詳細について、国土交通省が定めた測定基準を確認できます。

 

JAF - 燃費表示が10・15モード、JC08モード、WLTCモードと変化した理由
JC08モードの具体的な測定手順について詳しく解説されています。

 

ITmedia - JC08モード燃費ってどうやって測定するの?
燃費モードの変遷と現在のWLTCモードまでの流れがわかります。

 

チューリッヒ保険会社 - WLTCモードとは。JC08モードからの移行とカタログ燃費