五日市街道ドライブ歴史と玉川上水景観

江戸時代に炭輸送の拠点となった五日市街道は、現在どのような特徴を持つドライブルートなのでしょうか。玉川上水と千川上水に沿う42kmの道が、多摩地域のドライバーにもたらす多彩な体験とは?

五日市街道ドライブの歴史と特徴

五日市街道ドライブの概要
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路線の基本情報

全長42km、杉並区から あきる野市まで、東京都道7号杉並あきる野線の本線

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江戸時代の起源

徳川家康の江戸入府後、五日市の木炭や檜原の木材運搬に活用された歴史的街道

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水路との共生

千川上水と玉川上水に沿う区間で自然景観を形成、武蔵野市内では中央分離帯を流れる

五日市街道の起源と江戸時代の役割

 

五日市街道は、徳川家康が江戸に入府した後、五日市(現在のあきる野市)や檜原村からの木材や炭を江戸に運搬するために整備された歴史的な街道です。初期段階では「伊奈道」と呼ばれており、伊奈地域の石材を扱う石工が江戸城修築のために江戸に向かう際の重要な通路でした。江戸城修築が完了した後は、主な用途が木炭輸送へと移行し、それに伴って伊奈と五日市の経済的重要性が逆転することになりました。

 

この街道の発展は武蔵野台地の新田開発と連動しており、多摩地域と江戸を結ぶ主要な流通ルートの一つとして機能していました。多くの区間が武蔵野台地上の平坦な地形を通過しているため、当時の旅人や物資運搬の車列にとって比較的走行しやすい道でした。現在この街道は都市化が進む東京の郊外を東西に横断する重要な幹線道路としての役割を担い、ドライバーにとっても多摩地域への主要なアクセスルートとなっています。

 

五日市街道の地理的特性と三つの主要区間

五日市街道は総延長42km に及ぶ長大な路線であり、その地理的特性から東側、中側、西側の三つの主要な区間に分類されます。東側区間は杉並区梅里の青梅街道との分岐点から、武蔵野市の井ノ頭通りとの合流地点までで、近接する井ノ頭通りが商業集積の多い沿道を形成しているのに対し、五日市街道は住宅系の用途地を抜ける特徴を持ちます。武蔵野大学付近からは中央分離帯の中を千川上水が流れる4車線道路へと変化します。

 

中側区間は武蔵野市から福生市の東京環状(国道16号)までで、JR中央線と青梅街道の間を抜ける東西方向の2車線の都道として機能しています。この区間では武蔵野市内から小平市にかけて玉川上水に沿った走行が可能で、特に自然景観を求めるドライバーに人気があります。沿道には小金井公園や一橋大学小平キャンパスなど、多くの公的施設が立地しています。

 

西側区間は福生市の第5ゲート前交差点から武蔵五日市駅前までで、多摩川を多摩橋で渡り、JR五日市線と概ね並行しながら走行します。この区間では睦橋通りとの合流地点まで2車線、その先は4車線の道路として整備されており、やがてあきる野市へと続く山間部へのアクセスルートとなります。

 

五日市街道を横断する横田基地と旧道の変遷

五日市街道の歴史において、1956年(昭和31年)の横田基地拡張は街道の経路を大きく変化させた重要な転機となりました。当時、立川市と福生市に跨る広大な土地が米軍に接収され、その結果、それまで直線的に進んでいた街道が分断されました。分断された区間を補うため、現在の五日市街道は西砂町宮沢付近から基地の南側を大きく迂回し、拝島駅付近の武蔵野橋北交差点で国道16号に合流する経路に変更されたのです。

 

この変更により、ドライバーが利用する現在の五日市街道は、当時の旧道とは異なる経路をたどっています。立川西砂町郵便局付近には、旧道と現道が分岐する交差点が今でも存在しており、直進する方向が歴史的な旧道です。旧道をそのまま進むと横田基地の敷地に突き当たるため、基地沿いを現道方向へ誘導される構造になっています。このような歴史的背景は、五日市街道を使用するドライバーにとって、単なるルート選択以上の歴史的文脈を提供するものです。

 

五日市街道沿いの自然景観:千川上水と玉川上水

五日市街道の最大の魅力の一つは、千川上水および玉川上水という二つの歴史的な農業用水路に沿って走行できることです。武蔵野市内の五日市街道では、広い中央分離帯の中を千川上水が流れるという独特の構造を持ち、ドライバーは都市環境の中でありながら水路による自然景観を体験できます。この光景は特に朝夕の時間帯に美しく、四季折々の水の流れと周辺の樹木が調和した風景を呈します。

 

中側区間では、武蔵野市から小平市にかけて玉川上水に沿った走行が続き、この区間ではかつて水路の両岸に異なる道が存在していたという歴史的な事実があります。小平十小北交差点では、現道が玉川上水から左に折れる一方、旧道は直進してからクランクを描いて合流するという、街道の変遷を物理的に観察できるポイントが残されています。喜平橋では、玉川上水の北側から来た街道が南側へ転換する様子が明確に視認でき、古人の土木技術と自然との関係性を感じることができます。

 

五日市街道沿線のドライブスポットと立ち寄り施設

五日市街道を利用するドライバーにとって、沿線には多くの立ち寄りスポットと公共施設が点在しています。杉並区から武蔵野市にかけて、成蹊学園(成蹊大学を含む)や武蔵野市民文化会館、武蔵野八幡宮など、歴史と文化が融合した施設が見られます。特に成蹊学園の広大なキャンパスは、五日市街道を走行する際の視覚的ランドマークとなり、大学施設ながら街道の景観構成要素として機能しています。

 

小金井市から小平市にかけては、小金井公園や一橋大学小平キャンパスなど、ドライバーが立ち寄り可能な公的施設が充実しています。昭和記念公園が近い立川市周辺では、四季折々の自然を楽しむドライブコースとして人気があり、特に春の桜や秋の紅葉の季節には多くのドライバーが訪れます。あきる野市側では都立秋留台公園が位置し、多摩川沿いの自然景観とともに、山間部へのアクセスゲートウェイとしての役割を果たしています。

 

これらのスポットは五日市街道を単なる通過ルートから、目的地を持つドライブコースへと昇華させています。ドライバーは自動車を運転しながら、江戸時代の物資輸送路としての歴史、横田基地による地政学的変更、玉川上水と千川上水が織りなす水と緑の景観、そして多摩地域の文化施設という、複層的な東京の魅力を一度に体験することができるのです。

 

東京都の道路に関する詳細情報。五日市街道の交差点一覧、区間詳細、路線図などの公的データが記載されている参考サイト
ウィキペディアの五日市街道ページ。街道の旧道、横田基地の影響、沿線施設、歴史的背景に関する包括的な情報源

 

 


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