2022年3月、ホンダの北米向け高級ブランド「アキュラ」から新型インテグラが16年ぶりに復活しました。この新型インテグラは、2023年に「北米カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、市場で高い評価を獲得しています。
新型インテグラの特徴は以下の通りです。
このモデルは、FL1型シビックをベースにアキュラブランドらしい高級感を付与したプレミアムスポーツコンパクトとして位置づけられています。外観では、アキュラ特有のダイヤモンドペンタゴングリルとL字型ヘッドライトが印象的で、シビックタイプRのような派手さを抑えた上品なデザインが特徴です。
2023年6月には、さらに高性能な「タイプS」が発売されました。このモデルは、シビックタイプRと兄弟車でありながら、アキュラブランドらしい上質さを追求した仕様となっています。
タイプSの主要スペック。
タイプSの内装には、ウルトラスエード素材のドライバーズシート(12ウェイパワーシート)、16スピーカーのプレミアムオーディオシステム、5.3インチヘッドアップディスプレイなど、シビックタイプRにはない豪華装備が満載です。
外観面では、シビックタイプRの巨大なリアウイングに代わって、控えめなリアスポイラーとリアディフューザーを採用し、高級ブランドらしい上品な空力処理が施されています。
多くの日本のファンが期待する新型インテグラの日本発売について、ホンダは明確な否定的見解を示しています。2023年6月にホンダウエルカムプラザ青山で実車展示が行われた際、ホンダは「残念ながら国内における発売の予定はありません」と公式に発表しました。
この展示は「2023 北米カー・オブ・ザ・イヤー」受賞記念として実施されたもので、日本発売への布石ではないことが明確にされています。展示期間は2023年6月20日から7月3日までの短期間で、来場者は実際に車内に座ることも可能でした。
現在までの状況を整理すると。
新型インテグラが日本で発売されない背景には、複数の要因が考えられます。まず、市場ポジショニングの問題があります。日本市場では、アキュラブランドが展開されておらず、ホンダブランドでの販売となった場合、価格設定が困難になります。
北米での価格を日本円に換算すると、標準モデルで約350万円、タイプSで約680万円となりますが、これは日本市場では相当な高級車価格帯です。過去のレジェンドの販売実績を考慮すると、この価格帯でのスポーツモデルの需要は限定的と判断されている可能性があります。
技術的な課題としては、日本の法規制への適合があります。北米仕様のインテグラを日本で販売するには、以下の対応が必要です。
これらの対応には相当な開発費用が必要で、限定的な販売台数では採算が取れない可能性があります。
2025年1月には、新型インテグラのマイナーチェンジモデルが発表される予定です。このタイミングで日本導入の可能性が再検討される可能性もありますが、現時点では楽観的な見通しは立っていません。
しかし、日本の自動車ファンにとって希望となる要素もあります。
現在、日本のインテグラファンができることは、中古車市場での歴代モデルの価値維持や、ホンダへの継続的な要望表明です。特に、DC2型やDC5型のタイプRは、現在でも高値で取引されており、ブランドの価値は健在です。
また、新型インテグラの技術的な要素は、将来の日本向けホンダ車に反映される可能性があります。1.5リッターVTECターボエンジンや先進的なインテリアデザインなど、魅力的な要素が日本市場の他のモデルに採用されることで、間接的にインテグラの恩恵を受けることができるかもしれません。
新型インテグラの日本発売は現時点では実現していませんが、ホンダの世界戦略の変化や市場環境の変化により、将来的に状況が変わる可能性は完全には否定できません。日本のファンとしては、継続的な関心と要望の表明を続けることが重要でしょう。