2025年2月7日に発表されたトヨタ ハイエース バンの特別仕様車「スーパーGL"DARK PRIME S"」は、発表当日に全国の販売予定台数が完売という異例の事態となりました。東京都内のトヨタ系販売店によると、発表日に多数の問い合わせがあったものの、当日中に全国の販売予定台数が終了してしまい、お客様にお詫びする状況となったとのことです。
この特別仕様車は、そもそも販売台数自体が数百台という非常に少ない数で設定されており、全国のディーラーに1台ずつも割り当てられていない状況でした。ハイエース200系型誕生から20年の節目を記念した特別なモデルとして位置づけられているため、希少性が非常に高く設定されています。
興味深いことに、一部の購入者は「半年前には購入の打診があった」と証言しており、2月7日の発表前にはすでにかなりの台数の行き先が決まっていたと考えられます。これは、トヨタが事前に優良顧客や長期取引のあるユーザーに対して内々に案内を行っていた可能性を示唆しています。
ダークプライムSだけでなく、特別仕様車でない通常のスーパーGLグレードに関しても、現状では受注の案内ができない実情があります。これは、ハイエース全体の供給不足が深刻化していることを意味しています。
実際に、ハイエースの購入を希望するユーザーからは「今回のマイナーチェンジ時にワイドミドルルーフの購入を決意し予約したのに外れた。ダークプライムSじゃないのに」という声が上がっています。さらに「そもそも限定車でも何でもない車なのに、買う権利が抽選って本当におかしい」という不満も聞かれ、通常グレードでさえ抽選制になっている異常な状況が浮き彫りになっています。
現在、DX車両なら注文できるディーラーもありますが、人気の高いスーパーGLは非常に困難な状況が続いています。この状況は、ハイエースの商用車としての需要の高さと、趣味用途での人気の高まりが重なった結果と考えられます。
ハイエース ダークプライムsの購入には、多くのディーラーで抽選制度が導入されています。ある購入希望者は「販社から連絡があり、15日より受付可能と商談順番は15番目です。狙いはダークプライムSなのですが、買えるのか微妙です」と述べており、順番待ちの状況が深刻であることがわかります。
抽選に外れた場合、「次回の抽選時は、優先的になると言われ列に並んでる状態」となりますが、「落選から3カ月未だに何の連絡も無いから買う気も無くなってきました」という声もあり、長期間の待機を強いられる状況が続いています。
興味深いのは、地域によって対応が異なることです。ある地域では「販社で地域に割り当てが3台しかない」と言われる一方、別の地域では異なる台数が割り当てられている可能性があります。これは、トヨタの地域別販売戦略や、各販社の規模・実績に基づいた配分が行われているためと考えられます。
ダークプライムsが人気を集める理由の一つは、専用チューンが施された高性能ディーゼルエンジンの搭載です。通常の1GDエンジンと比較して、馬力で7馬力アップし、トルクは3.1kgf・m大きくなっています。
このエンジンは、ダークプライムⅡと異なり、ディーゼルエンジンのみの設定となっており、ナローボディーのみの展開となっています。専用チューンにより、商用車としての実用性を保ちながら、よりスポーティな走りを実現しているのが特徴です。
さらに、サスペンション・ダンパーもS専用チューンが施されており、ハンドリング性能の向上も図られています。これらの改良により、従来のハイエースとは一線を画す走行性能を実現しており、商用車でありながらスポーツカーのような楽しさを味わえる仕様となっています。
エンジンの高出力化とサスペンションの専用チューンにより、荷物を積載した状態でも安定した走行が可能となり、商用利用においても大きなメリットをもたらしています。
入手困難な状況を受けて、ダークプライムsには早くもプレミア価格が付く可能性が指摘されています。「ダークプライムSにはプレ値が付くのでは無いでしょうか。おそらく…」という予測もあり、中古車市場での価格高騰が懸念されています。
ハイエースは元々リセールバリューが高い車種として知られていますが、特別仕様車であるダークプライムsは、その希少性から更なる価格上昇が予想されます。実際に、過去のハイエース特別仕様車も中古車市場で新車価格を上回る価格で取引されるケースが多く見られました。
転売目的での購入を防ぐため、一部のディーラーでは購入者の審査を厳格化したり、短期間での転売を制限する契約を結ぶケースも出てきています。しかし、完全に転売を防ぐことは困難であり、本当に必要とするユーザーに行き渡らない状況が続いています。
この状況は、メーカーにとっても頭の痛い問題となっており、今後の特別仕様車の販売方法について見直しが検討される可能性もあります。適正な価格で本当に必要とするユーザーに届けるための仕組み作りが求められています。