逆あおり運転とは、従来のあおり運転とは逆に、前方車両が後続車に対して行う危険運転行為のことです。具体的には、走行する車の前方に割り込んで、わざとノロノロ運転したり、急ブレーキをかけたりする行為を指します。
この行為の特徴として以下のような点が挙げられます。
逆あおり運転は、被害者に対してストレスや不安を与えるだけでなく、交通事故の原因にもなる極めて危険な行為です。後ろからあおるのではなく、前でノロノロ運転して道をふさぎ、追い越されると後方から「あおり運転」をするという悪質なケースも報告されています。
逆あおり運転における法的な問題点を理解するためには、まず最低速度規制について知る必要があります。実は、一般道では基本的に最低速度の制限は設定されていません。
一般道の最低速度規制の現状
しかし、道路交通法第27条では「追い付かれた車両の義務」が定められており、後続車に追い付かれた場合は加速せず左によって進路を譲ることが義務付けられています。したがって、後続車の進行を妨害するのは程度に関係なく交通違反となります。
逆あおり運転が違反となるケース
これらの行為は「追い付かれた車両の義務違反」として検挙される可能性があります。
実際の被害事例を見ると、逆あおり運転の深刻さがよく分かります。ある被害者は、スイミングのお迎え時に逆あおり運転に遭遇し、相手の急ブレーキの影響で左首と左頭の頭痛が治まらず、長期間にわたって痛みに苦しんでいます。
被害者が直面する問題
特に妊娠中の被害者の場合、レントゲン撮影ができないため治療が制限され、より深刻な問題となります。保険会社との交渉も複雑で、人身傷害特約が使えないケースもあり、被害者は二重三重の苦痛を強いられることになります。
「10km/hおじさん」事例
神奈川県清川村周辺では、10年間にわたって5km/hから10km/hという極端な低速で走行する男性が問題となっています。この事例では。
本人は安全運転のつもりでも、結果的に交通の流れを阻害し、他のドライバーに迷惑をかけている典型例です。
逆あおり運転に遭遇した場合の対処法は、冷静さを保つことが最も重要です。感情的になって報復行為に出ることは、自分も加害者になるリスクを高めます。
immediate対応策
証拠保全の重要性
ドライブレコーダーは前方だけでなく、後方も記録できるタイプが理想的です。最近では360度カメラ搭載モデルも普及しており、全方位の状況を記録できます。
警察への通報タイミング
警察への通報は躊躇せず、早めに行うことが重要です。証拠があれば、危険運転として処罰される可能性が高まります。
逆あおり運転の被害を未然に防ぐためには、日頃からの心構えと準備が重要です。特に、自分自身が逆あおり運転の加害者にならないよう注意することも大切です。
運転時の心構え
正義感の強い人ほど、相手の違法行為に対して報復的な行動を取りがちですが、どんなに相手が悪くても、逆あおり運転やあおり運転をしていい理由にはなりません。
車両装備の充実
特に弁護士特約は、相手との交渉が難航した場合に専門家のサポートを受けられる重要な保険です。年間数千円の保険料で、数十万円の弁護士費用をカバーできます。
コミュニティでの情報共有
地域のドライバー同士で情報を共有することも効果的です。
SNSやコミュニティアプリを活用して、リアルタイムで危険情報を共有する取り組みも広がっています。ただし、個人を特定できる情報の拡散は名誉毀損にあたる可能性があるため、注意が必要です。
運転技術の向上
防御運転とは、自分だけでなく他の道路利用者の安全も考慮した運転技術です。相手の行動を予測し、危険を事前に回避する能力を身につけることで、逆あおり運転の被害を最小限に抑えることができます。
逆あおり運転は、従来のあおり運転とは異なる新しい形の危険運転として社会問題化しています。被害に遭わないためには、日頃からの準備と冷静な対応が不可欠です。また、自分自身が加害者にならないよう、常に他者への配慮を忘れずに運転することが重要です。道路は皆で共有する公共空間であり、お互いの安全と快適性を尊重する姿勢が求められています。