2024年にホンダフィットに実施されたのは「フルモデルチェンジ」ではなく「一部改良」でした。多くの自動車ファンがフルモデルチェンジを期待していましたが、実際には9月に行われた変更は限定的なものに留まりました。
この一部改良では以下の点が変更されました。
しかし、エクステリアデザインの大幅変更やパワートレインの刷新といった、フルモデルチェンジに期待される要素は含まれていませんでした。現行の4代目フィットは2020年2月に登場しており、通常のモデルサイクルから考えると、まだフルモデルチェンジの時期ではないのが実情です。
業界関係者の間では、フィットの次期フルモデルチェンジは2026年が最有力とされています。この予想には明確な根拠があります。
モデルサイクルからの予想
具体的なスケジュール予想
ホンダのコンパクトカー戦略において、フィットは重要な位置を占めています。しかし、現行モデルの販売台数は競合他車と比較して苦戦しており、2023年度の販売台数は約5万6千台に留まりました3。一方、トヨタヤリスは18万台以上、日産ノートシリーズは10万台近くを販売しており、フィットの市場での立ち位置は厳しい状況にあります。
次期フィットのデザインについては、現行モデルで賛否が分かれたフロントマスクの大幅変更が予想されています。現行の4代目は初代フィットの現代風解釈を取り入れ、可愛らしいフロントフェースを採用しましたが、市場の反応は必ずしも良好ではありませんでした。
予想される外観変更
内装の進化予想
ボディサイズの拡大により、後席の居住性や荷室スペースの向上が期待されています。特に、競合他車との差別化を図るため、クラストップレベルの室内空間を実現する可能性が高いとされています。
次期フィットの最大の注目点は、新世代e:HEVシステムの搭載です3。現行モデルでも好評を得ているe:HEVシステムですが、さらなる進化が予想されています。
新世代e:HEVの特徴予想
現行モデルのe:HEVシステムは、市街地走行での優れた燃費性能と、モーター駆動による滑らかな加速感で高い評価を得ています。次期モデルでは、このシステムをベースにさらなる効率化と性能向上が図られる見込みです。
環境性能への取り組み
ホンダの2050年カーボンニュートラル宣言に沿って、フィットも環境性能の向上が重要な開発テーマとなっています。
現在のBセグメント市場では、軽自動車の人気上昇とコンパクトSUVの台頭により、従来のコンパクトカーは厳しい状況に置かれています。フィットが市場での競争力を回復するためには、独自の戦略が必要です。
差別化戦略の予想
ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」は、燃料タンクを前席下に配置することで、コンパクトなボディサイズでありながら広い室内空間と多彩なシートアレンジを実現する技術です。この技術をさらに進化させることで、競合他車との明確な差別化を図る可能性があります。
価格戦略の重要性
現行モデルの価格帯は約160万円からとなっていますが、次期モデルでは装備充実による価格上昇が予想されます。しかし、軽自動車との価格差を考慮した戦略的な価格設定が成功の鍵となるでしょう。
また、あまり知られていない事実として、フィットの開発チームは「MM思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)」という独自の設計思想を貫いています。これは人のためのスペースを最大化し、機械のためのスペースを最小化するという考え方で、次期モデルでもこの思想がさらに進化することが期待されています。
次期フィットの成功は、ホンダのコンパクトカー戦略全体に大きな影響を与えるため、同社としても総力を挙げて開発に取り組んでいると業界関係者は分析しています。2026年の正式発表まで、さらなる情報の公開が待たれるところです。