ディーラーより整備工場のほうが、同じ交換でも費用が3割以上安くなるケースがあります。
エンジンマウントとは、エンジンを車体フレームに固定するためのゴム製パーツです。エンジンが動くときに発生する振動や衝撃を吸収し、車内への騒音・振動を抑える重要な役割を担っています。素材はゴムと金属の組み合わせが主流で、ゴム部分が経年劣化によって硬化・亀裂・変形を起こします。
一般的に走行距離7〜10万km、または使用年数7〜10年が交換の目安とされています。これはタイヤやブレーキパッドに比べると意識されにくい部品です。
劣化が始まると以下のようなサインが現れます。
これらのサインが重なれば、交換時期が近いということですね。特に異音と振動が同時に現れているケースは、マウントのゴム部分がほぼ機能を失っている状態であることが多いです。早めに整備士に診てもらうのが得策です。
なお、エンジンマウントは1台の車に通常2〜4個取り付けられています。すべてが同時に劣化する傾向があるため、1個が劣化していれば他も確認することが原則です。
エンジンマウント交換にかかる費用は、大きく「部品代」と「工賃(技術料)」の2つで構成されます。それぞれの目安を整理します。
部品代の目安:
| 車種区分 | 純正部品代(1個あたり) | 社外品(1個あたり) |
|---|---|---|
| 軽自動車・コンパクトカー | 3,000〜8,000円 | 1,500〜4,000円 |
| 普通車(セダン・ミニバン) | 5,000〜15,000円 | 2,500〜8,000円 |
| 輸入車・高級車 | 15,000〜50,000円以上 | 8,000〜25,000円 |
工賃の目安:
| 業者の種類 | 工賃(1個あたり) |
|---|---|
| ディーラー | 10,000〜25,000円 |
| 整備工場・車検専門店 | 5,000〜15,000円 |
| カー用品店(オートバックス等) | 5,000〜12,000円 |
つまり、軽自動車で純正品をディーラーに依頼した場合、1個あたりの合計は13,000〜33,000円程度になります。2〜3個同時交換となると、総額3〜8万円台になるケースが珍しくありません。
工賃が高くなる理由は単純です。エンジンルーム内の作業スペースは非常に狭く、マウントの位置によってはエンジンを少し持ち上げて固定してから交換する必要があります。これは専用のエンジンサポート治具が必要な作業であり、素人が安易に手を出せる領域ではありません。
輸入車はパーツが高い。これはよく知られた事実ですが、工賃も国産車の1.5〜2倍になるケースがあります。例えばBMWやメルセデス・ベンツのエンジンマウント交換は、部品代と工賃の合計で1個あたり3〜6万円を超えることも珍しくありません。
同じ車種でも、見積もり金額が業者によって大きく異なります。その理由を理解しておくと、「なぜこの金額なのか」を自分で判断できるようになります。
① 使用する部品の種類(純正 vs 社外品)
純正部品はメーカーが品質を保証しており、耐久性や適合性が高い反面、割高です。社外品(アフターパーツ)は価格が純正の30〜60%程度になることが多く、コスト削減に有効です。ただし、品質にばらつきがあるメーカーも存在するため、信頼性の高いブランドを選ぶことが条件です。国産車向けには「アイシン精機(AISIN)」「NTN」などの国内OEMメーカーが比較的信頼できる選択肢とされています。
② 交換する個数
1個だけ交換するか、全数(2〜4個)まとめて交換するかで総額が大きく変わります。1個の劣化が確認されたときに全数交換すると、工賃の重複を防げるため「1個ずつ交換するより総額が安くなる」ケースが多いです。これは使えそうです。
③ 業者の種類と地域差
前述の通り、ディーラーと地域の整備工場では工賃に大きな差があります。また、都市部は工賃相場が高く、地方では低い傾向があります。同じ内容でも東京都内と地方都市では20〜30%程度の差が出ることがあります。
④ 同時に行う関連作業の有無
エンジンマウント交換と同じタイミングで、ミッションマウント(トランスミッションマウント)の交換を勧められることがあります。場所が近接しているため、同時作業にすると工賃が効率化できます。ただし、不必要な追加作業を勧める業者もゼロではないため、事前に「今回はエンジンマウントのみ交換」と明確に伝えることが大切です。
費用を抑えるための具体的な方法があります。実践しているかどうかで、数万円の差が出ることもあります。
複数業者への見積もり依頼が基本
1社だけの見積もりで決断するのは早計です。最低でも2〜3社に見積もりを取ることで、相場観を把握できます。特に「ディーラー見積もり + 地元の整備工場見積もり」の組み合わせは、価格差を体感する上で非常に効果的です。
整備工場への見積もりを効率化したい場合、「楽天Car車検」や「ミニッツ(minit)」などの整備・修理予約サービスを使うと、複数店舗の概算料金をまとめて確認しやすくなります。確認するだけでも損はありません。
社外品の選択は慎重に
社外品を選ぶ場合は、業者に「どのメーカーの部品を使用するか」を必ず確認してください。安価な中国製部品は耐久性が純正品の半分程度になるケースも報告されており、短期間で再交換になれば結果的にコストが上がります。つまり「安いから社外品」ではなく「信頼できるメーカーの社外品か」を確認することが条件です。
車検と同時に依頼する
車検のタイミングでエンジンマウントの劣化が指摘された場合、そのまま車検整備と同時に交換を依頼すると工賃の一部が節約できることがあります。エンジンルームを開けて点検している状態での作業追加は、別日程で依頼するより効率が良いため、業者によっては工賃を割引してくれるケースがあります。
ディーラーでも値引き交渉は可能
ディーラーは工賃の値引きが難しいと思われがちですが、部品代については「顧客ランク」や「他の整備作業との組み合わせ」によって5〜10%程度の値引きが認められることがあります。遠慮せずに相談してみることが大切です。
「工賃を節約するためにDIYで交換できないか」と考える方もいます。結論から言えば、DIYは非常に難易度が高く、一般の方には推奨されません。
エンジンマウントの交換には、エンジン本体を一時的に支持する「エンジンサポートバー(エンジンスタンド)」という専用工具が必要です。この工具自体が1〜3万円程度するため、工賃節約効果が薄れます。
また、作業中にエンジンの支持が不安定になると、エンジン本体やエンジンルーム内の補器類(ホース・ハーネス等)が破損するリスクがあります。最悪の場合、修理費が数十万円規模に膨らむこともあります。痛いですね。
ただし、車種によっては比較的アクセスしやすい位置にマウントがある場合もあり、整備経験が豊富な方であれば不可能ではありません。しかし「整備経験なし・初めてのDIY」という状況での挑戦は、コスト面でも安全面でも大きなリスクを伴います。
DIYを検討するなら、まず整備系のYouTubeチャンネルや「みんカラ」などのカーライフ情報サイトで、同一車種の作業実績を確認するのが最初の一歩です。それでも不安を感じるなら、プロに任せるのが安全面・コスト面ともに現実的な判断です。
なお、DIYで交換した場合でも車検は通ります。ただし交換後の作業品質に起因するトラブルは自己責任となるため、リスク管理が重要です。
エンジンマウントを交換したのに「まだ振動がある」「まだ異音がする」という状況は、実は珍しくありません。これは交換したマウント以外の箇所に問題が残っている場合がほとんどです。
最もよくあるのが「ミッションマウント(トランスミッションマウント)」の劣化です。エンジンマウントと同様に振動・異音を引き起こすパーツであり、エンジンマウントと同時期に劣化するケースが多いです。交換後も症状が残る場合は、まずミッションマウントを疑ってみてください。
次に確認すべきは「デフマウント(FR・4WD車の場合)」や「エンジンロールストッパー(一部車種)」です。これらはエンジンや駆動系の揺れを制御する部品であり、これらが劣化していると交換後も振動が継続します。
また、交換直後は「馴染み」の時間が必要な場合があります。新品のゴムが車両の重量や振動に馴染むまでの数百kmは、若干の振動を感じることがあります。これは正常な範囲内のケースが多いです。
もし交換後1,000km以上走行しても症状が改善されない場合は、交換を依頼した業者に相談することが原則です。交換作業に起因するボルトの締め付け不足や部品の組み付けミスが原因となっているケースも、ごく稀に報告されています。
整備後の「動作確認」を怠らないことが大切です。試乗して振動・異音を確認し、不明点はその場で整備士に質問する習慣をつけましょう。費用を支払って終わりではなく、「症状が改善されたかどうか」を自分で確認するのが賢い依頼者の姿勢です。これが条件です。
エンジンマウントの交換費用は、車種・業者・部品の選び方によって大きく変わります。軽自動車なら2〜5万円台、普通車は3〜8万円台、輸入車では10万円を超えるケースもあります。見積もりを複数社に依頼し、信頼できる整備工場を選ぶことが、費用を抑えながら安全に交換するための最善策です。劣化サインを早めにキャッチして、余計な出費とリスクを回避してください。

エンジンマウント タント L375S ムーヴ L175S ミラ L275S ソニカ L415S L405S用 ダイハツ車用 ラバーマウント左側 助手席側 純正参考番号:12306-B2035