エニカ ウルトラソニックは、1950年代から1960年代にかけて日本中で大流行したスイス製の手巻き腕時計です。エニカというブランド名は、創業者のAriste Racine(アリオスト・ラシーヌ)のRACINEを逆さ読みにして名付けられました。文字盤には特徴的な土星マークが配置されており、エニカのトレードマークとして多くの時計愛好家に親しまれています。
参考)ENICAR ULTRASONIC : 腕時計とぼくの生活
ウルトラソニックという名称は「超音波」を意味しており、非常にハイテクな響きを持っています。この名前は1953年にエニカ工場で採用された製造技術に由来しており、当時としては画期的な命名でした。手巻き式ムーブメントを採用しているため、ケースは非常にスリムな設計となっており、エレガントな着用感が楽しめます。
参考)https://vintagewatchlife.com/blogs/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9/%E3%82%A8%E3%83%8B%E3%82%AB%E3%81%AE%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B8%E6%99%82%E8%A8%88-%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%A8%E8%B1%A1%E5%BE%B4%E7%9A%84%E3%81%AA%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
ムーブメントには「AR」のホールマークと「1010」などの刻印が刻まれており、AR1010やAR1012といったキャリバーが搭載されています。17石(17JEWELS)を使用した高精度なムーブメントは、約50年以上経過した現在でも美しい姿を保っている個体が多く見られます。
参考)ENICAR ultrasonic 17JEWELS …
エニカ ウルトラソニックの価格は状態や希少性によって大きく異なります。Chrono24などの時計専門サイトでは、28,491円から403,501円までの幅広い価格帯で販売されています。コンディションの良いものや珍しい文字盤を持つモデルは高値で取引される傾向にあり、NOS(新古品)のクロノグラフモデルは40万円を超えることもあります。
参考)https://www.chrono24.jp/enicar/ultrasonic--mod2068.htm
一般的な17石の手巻きモデルであれば、3,000円から10,000円程度でジャンク品として入手可能です。ただし、ジャンク品の場合は動作不良や部品の欠損がある可能性が高いため、時計修理の知識や技術が必要になります。メルカリやヤフオクなどのフリマアプリでも頻繁に出品されており、相場よりも安く購入できるチャンスがあります。
参考)メルカリ
カスタム仕様のモデルも存在しており、裏スケルトン加工やカーボンファイバーベルトを装着したスペシャルバージョンは、通常品よりも高価格で取引されています。文字盤のコンディションが良好で、シャンパンゴールドに経年変化したものは特に人気があります。
参考)『エニカとは』・・・店長平野のブログ : スタッフブログ【ス…
エニカは現在、日本国内に正規輸入販売元が存在しないため、正規サービスが利用できません。そのため、メンテナンスやオーバーホールは、直輸入腕時計専門店が独自に業者依頼を行うか、一般的な時計修理店に依頼する形になります。機械式ムーブメントの場合は最低でも3〜5年ごとのオーバーホールが推奨されています。
参考)エニカの腕時計をオーバーホールするには正規サービスと時計修理…
個人でのメンテナンスも可能で、実際に多くの時計愛好家がゼンマイ交換や分解洗浄を自分で行っています。超音波洗浄器とVELVOメタルクリーナー、ベンジンなどを使用した洗浄方法が一般的です。部品取り用の不動品を複数持っておくことで、故障時にパーツを移植して修理することも可能です。
再メッキ修理も人気のあるサービスで、本体・裏蓋・バンドの研磨および18金再メッキは38,500円(税込)程度で依頼できます。竜頭の差しメッキなども対応可能で、アンティークウォッチを新品同様の輝きに蘇らせることができます。どうしてもエニカの正規サービスへ依頼したい場合は、エニカ海外公式Webサイトの問い合わせフォームから直接問い合わせる必要があります。
参考)アンティークが蘇る黄金の輝き|時計修理|メッキ|カイドージュ…
エニカ ウルトラソニックは、時計愛好家の間で非常に高く評価されています。1960年代の製造でありながら、ムーブメントの美しさが保たれている個体が多く、機械式時計の魅力を存分に味わえる時計として人気があります。文字盤のコンディションに関しては個体差が大きく、経年劣化による剥がれやヒビが見られるものもありますが、それもヴィンテージウォッチの味わいとして受け入れられています。
実際の使用者からは「かなりの本数が流通したようで、綺麗な固体を探すことができる」という声があり、比較的入手しやすいヴィンテージウォッチとして評価されています。また、手巻き式でスリムなデザインのため、日常使いにも適しており、クラシックな装いに合わせやすいという意見も多く見られます。
修理やレストアの観点からも、エニカ ウルトラソニックは人気があります。YouTubeなどでは「動かなかった手巻き時計が見事に復活」という修理動画が公開されており、時計修理の入門機としても適していることが分かります。部品の入手性や修理のしやすさから、時計いじりの趣味を始める方にもおすすめのモデルとなっています。youtube
エニカ ウルトラソニックを所有する魅力は、単なる時計としての機能だけではありません。1950〜60年代のスイス時計製造技術の結晶として、歴史的な価値を持つコレクターズアイテムでもあります。シェルパシリーズと並んで、エニカの代表的なモデルとして多くのエピソードを持っており、時計の歴史を学ぶ上でも興味深い存在です。
カスタマイズの楽しみ方も多様で、ベルト交換による雰囲気の変化や、裏スケルトン加工によるムーブメントの鑑賞など、自分好みにアレンジできます。剣のような長短針や意匠を凝らした秒針など、個性的なデザインを持つモデルも存在し、コレクションの幅を広げる楽しさがあります。
参考)『エニカ ウルトラソニック・シーバール600』バックスケルト…
また、エニカ ウルトラソニックは、同じ時計愛好家との交流のきっかけにもなります。オンラインコミュニティやSNSでは、多くのオーナーが修理やメンテナンスの情報を共有しており、時計を通じた人とのつながりを楽しむことができます。ヴィンテージウォッチ特有の経年変化を楽しみながら、長く愛用できる相棒として、エニカ ウルトラソニックは多くの人々に選ばれ続けています。
エニカ ウルトラソニックの歴史と特徴について詳しく解説されています
エニカのヴィンテージ時計の歴史と代表的なモデルについて紹介しています
エニカのオーバーホールと修理について専門的な情報が記載されています