導流帯は道路交通法第17条第6項で「安全地帯」や「立入禁止場所」として指定されていない区画線です。そのため、導流帯の上を走行したとしても、道路交通法上の違反行為にはあたりません。ただし、自動車教習所や警察では「安全で円滑な走行を誘導するための区画」として、みだりに進入しないよう指導するのが一般的です。実務的には、導流帯を走行することで事故のリスクが高まるため、教育的な観点から避けるべきとされています。また、各都道府県の公安委員会が独自に定めた規則によっては例外があり、宮城県では独自の道路交通規則で導流帯の上をむやみに運転することを禁じています。
安全地帯は路面電車の停留所付近や横断歩道の中央などに設置される、歩行者の安全を確保するための場所です。道路交通法第17条第6項により、自動車が進入することは明確に禁止されており、違反した場合には罰則があります。安全地帯内に歩行者がいる場合、または路面電車のドア付近で乗降している状況では、車両は必ず徐行しなければなりません。安全地帯は黄色い実線で四角く囲んだ表示が一般的で、導流帯のようなゼブラ縞模様があっても黄色い縁線で囲まれていることが識別ポイントです。
導流帯を走行すること自体は法律違反ではありませんが、事故が発生した際には過失割合に影響を与えます。特に交差点での右折時、導流帯に沿って右折レーンに進入する車と、導流帯の上を直進する車が接触する事故が多発します。通常の進路変更事故では後方からの直進車が30％、進路変更車が70％の過失割合ですが、導流帯上にいた直進車は10～20％の過失が上乗せされ、30～50％となることがあります。これは「導流帯はむやみに走行すべきではない」という法解釈が反映された結果です。
導流帯は車両の安全かつ円滑な走行を誘導する必要がある場所に設置されます。第一に、交差点が広すぎるため車両の走行位置が不安定になり、交差点の処理能力が低下する道路です。第二に、交差点が変形または複雑で、車両の交錯が多く交通事故が発生しやすい道路です。第三に、車線数が減少する場所や、道路の形状と交通状況から安全かつ円滑な走行を誘導する必要があると認められる道路です。右折レーンや左折レーンへの進入地点の手前に設置されるケースが最も一般的で、これらの場所では複数の車両が異なる方向に進路変更するため、導流帯による誘導が重要な役割を果たしています。
導流帯と見た目が似ている道路標示が複数存在するため、正確に識別することが重要です。最も誤認しやすいのが「立入禁止部分」で、これは白の斜線ゼブラ表示を黄色の縁線で囲んだもので、導流帯と異なり進入が厳しく禁止されており罰則もあります。「停止禁止部分」は縞模様の実線が四角く枠囲みされたもので、通行は許可されますが停止が禁止されています。「路上障害物接近」を示す道路標示は高速道路やインターチェンジの合流場所で見られ、前方の障害物を知らせています。また、安全地帯も一見ゼブラ縞に見えることがありますが、黄色い実線で囲まれており、より明確に区別できます。これらの違いを正確に理解することで、より安全で適切な運転判断が可能になります。
Wikipedia「導流帯」：導流帯の法的定義、設置基準、事故時の過失割合について詳細に説明されています。
チューリッヒ保険「ゼブラゾーン（導流帯）の意味とは。走行・駐停車は可能？」：導流帯と安全地帯の違い、事故時の過失割合変更についての具体例が示されています。
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