電動格納が壊れたまま車検に出すと、修理費が5万円以上に膨らんで戻ってくることがあります。
「電動格納が壊れている=車検アウト」と思っている方は多いですが、これは正確ではありません。保安基準が実際に求めているのは、歩行者と接触した際に衝撃を緩和できる「可倒式構造」であることです。つまり、ドアミラーが内側に折りたためる構造であれば、それを電動で動かす機能が壊れていても、手動で格納できる状態なら車検上は問題ないとされています。
道路運送車両の保安基準第44条には「乗車人員、歩行者等に傷害を与えるおそれの少ないもの」と規定されています。この条件を満たしているかどうかが判断の軸です。
電動機能はあくまで利便性の話。それが基本です。
ただし誤解しないでほしいのは、「壊れていても何でもOK」という話ではない点です。手で押してもまったく動かない固着状態、あるいはぐらぐら揺れて走行中に脱落しそうな状態は、別の基準に引っかかります。
| 状態 | 車検の合否 |
|---|---|
| 電動で動かないが手動で格納できる | ✅ 合格の可能性が高い |
| 手動でも格納できない(固着) | ❌ 不合格 |
| ミラー面が割れている | ❌ 不合格 |
| 本体がぐらついている | ❌ 不合格 |
| ウィンカー内蔵で光が漏れている | ❌ 不合格 |
| カバーのみ割れ(後方視界に影響なし) | ✅ 合格の可能性が高い |
手で動かせるなら違反になりません。車検前に一度、素手でゆっくり押して確認しておきましょう。
参考:ドアミラーの保安基準(道路運送車両法 第44条)についての解説
ドアミラー「駐車時は絶対たたむべき」は本当に正解?|くるまのニュース
電動格納が突然動かなくなるとき、最も多い原因は内部のプラスチック製ギアの破損です。電動格納ミラーは、小さなモーターの力を「ウォームギア」という特殊な歯車機構で増幅させてミラーを動かす構造になっています。このギアがプラスチック製であるため、経年劣化や過大な負荷によって欠けたり割れたりすることがあります。
スイッチを押すと「ウィーン」という音だけして動かない場合、モーター本体は生きているのにギアが空回りしている状態です。これがまさにギア破損のサインです。意外ですね。
一方、まったく音がしない場合は電気系統のトラブルが疑われます。ヒューズ切れ、スイッチの接触不良、配線の断線などが原因となるケースです。片側だけ動かない場合は、その側のミラー内部に原因が限定されることが多く、診断がしやすくなります。
故障原因を症状別にまとめると下表の通りです。
| 症状 | 原因として考えられるもの |
|---|---|
| 「ウィーン」と音がするが動かない | 内部ギア(プラスチック)の破損・摩耗 |
| 音が全くしない | ヒューズ切れ・スイッチ故障・配線断線 |
| 「ガガガッ」と異音がして途中で止まる | ギアの部分欠け・異物の混入 |
| 片側だけ動かない | その側のモーター・ギア・個別配線の故障 |
| 左右同時に動かない | 操作スイッチ本体の故障・共通ヒューズ切れ |
なお、冬場に凍結したミラーを無理に動かすと、ギアに過大な負荷がかかり一発で破損することがあります。寒冷地では特に注意が条件です。凍結が疑われるときはぬるま湯で氷を溶かしてから動かしてください。ネッツトヨタ道都などのディーラーでも冬場の凍結トラブルについて注意を促しています。
格納機能が壊れたドアミラーの修理費用は、故障箇所によって大きく変わります。内部ギアやモーターユニットの交換であれば1万円〜3万円程度が一般的な相場ですが、ミラー本体(アッセンブリー)ごとの交換となると2万円〜5万円、輸入車や高機能ミラーでは10万円を超えることもあります。
修理費用の目安を整理すると以下の通りです。
| 修理内容 | 費用目安(部品代+工賃) |
|---|---|
| カバーのみ交換 | 5,000円〜15,000円程度 |
| ミラー面のみ交換 | 1,500円〜3,000円程度 |
| モーター・ギアユニット交換 | 10,000円〜30,000円程度 |
| 本体(アッセンブリー)丸ごと交換 | 20,000円〜50,000円以上(輸入車は10万円超も) |
格納ができない場合の修理費用は、1万円〜1万5千円程度というケースも多いです。ただし車種によって大幅に変わるため、複数業者から見積もりを取ることが重要です。
業者によって費用は変わります。ディーラーは純正部品・高品質な反面、費用が最も高くなりやすいです。また、ディーラー車検に出すと「良くも悪くも」電動格納機能の修理まで一緒にされてしまうケースがあります。電動故障のまま通したい場合はディーラー以外の車検を選ぶか、事前に「修理はしないでほしい」と明確に伝えることが必要です。
一方、地域の自動車整備工場では、純正品だけでなく社外品・リビルト品などを使って費用を抑えられる場合があります。ガソリンスタンドやカー用品店は簡易な作業に向いていますが、モーター・ギア交換のような分解修理には対応していない店舗も多いです。つまり工場が最もコスパが良い選択肢になりやすいです。
参考:サイドミラーの修理費用相場と業者比較
車検に通ったとしても、その後の走行中に問題が起きる場合があります。ドアミラーが固着して格納できない状態、あるいはぐらついた状態で走行すると、整備不良として道路交通法第62条に違反する可能性があります。
整備不良の罰則は、故意の場合は「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」、過失の場合でも「10万円以下の罰金」が科せられます。痛いですね。
さらに、整備不良で事故を起こした場合はより重大な責任を負います。誰かを巻き込んでしまった場合は「過失運転致死傷害」が成立する可能性があり、「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」という非常に重い刑罰の対象になります。
また、ドアミラーをたたんだまま走行した場合(格納故障とは逆のパターンですが)は安全運転義務違反として、違反点数2点・反則金9,000円(普通車)が課せられる可能性があることも知っておく必要があります。
整備不良で問われるリスクをまとめると次の通りです。
「車検に通ったから大丈夫」ではありません。車検はあくまでその瞬間の状態確認であり、その後の状態維持は運転者の責任です。手動でも格納できない状態を放置することで、思わぬ形で法的リスクが生じることを覚えておいてください。
参考:整備不良の罰則と道路交通法の解説
ここはあまり知られていない盲点です。ディーラー車検の場合、電動格納が壊れていると「フル整備」の一環として修理まで含めて対応されてしまうことが多く、費用が跳ね上がる場合があります。車検代だけのつもりが、気づいたら5万円以上の追加請求が来るケースも珍しくありません。
これは良い面でもあるのですが、費用を抑えたい方には大きなデメリットです。ディーラー車検の整備費用は全体で30万円を超えることも珍しくない、と言われているほど高額傾向にあります。
費用を抑えたい場合は、次の2つの方法が有効です。
また、ユーザー車検の場合、手動格納ができる状態であれば電動機能の故障で指摘されることはほとんどないという体験談も複数確認されています。ただし、ミラーの状態が明らかに保安基準に反する場合(固着・ぐらつき・割れ)は例外です。車検を費用的に最適化したい場合に、ユーザー車検は選択肢に入れておく価値があります。
修理を先延ばしにしたい場面で使えそうです。ただし安全性を考えると、早めの修理が長い目でみて得策であることも確かです。
参考:電動ミラー故障時の車検と費用感
ドアサイドミラーが動かないときの車検|クルマノート
車検や法的リスクだけでなく、電動格納が壊れたまま放置することで起きる「二次被害」も意識しておきたいところです。これは検索上位の記事があまり触れていないポイントです。
まず、電動格納故障のまま放置していると、ドアロック連動の自動格納が作動しなくなります。駐車時に自動でミラーが畳まれないため、狭い駐車場でのドアパンチ被害リスクが上がります。隣の車のドアがミラーに当たり、修理費が別途発生するという事態につながります。
次に、凍結リスクの増大です。寒冷地では、格納できないまま外気にさらされたミラーに雪や氷が積もり、その状態でドアロック連動の格納動作が無理やり走ろうとして内部ギアが一気に破損する、という連鎖があります。一度の凍結で修理費が3万円以上になることも珍しくありません。
さらに、駐車場の規約によっては「ミラーを格納していない車両は迷惑駐車」とみなされ、トラブルに発展することも。「駐車時にたたむべき」というルールは法律ではありませんが、マンションや商業施設の規則には定められていることがある、という点も頭に入れておきましょう。
これらをまとめると、電動格納の故障を放置することで発生しうる二次被害は次の通りです。
電動格納が壊れているだけなら車検は通る可能性が高い、というのが大前提ですが、放置するほどリスクと費用は積み上がっていきます。手動格納ができる状態を確認しつつ、早めの修理見積もりを取ることが一番の対策です。
修理の優先度を判断したい場合は、近くの整備工場に持ち込んで「症状確認だけ」を依頼してみるのが有効です。多くの工場では診断自体は無料か低額で対応してくれます。それが最初の一歩です。

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