ダイハツの新型ハイゼットカーゴは、軽バン市場において圧倒的な存在感を示しています。最大の特徴は、軽バンクラスでNo.1の積載量を実現していることです。荷室の長さ、幅、高さすべてにおいて軽バン最大級のサイズを誇り、商用利用からアウトドア用途まで幅広いニーズに対応できます。
水平格納式リヤシートの採用により、完全にフラットな荷室空間を作り出すことが可能です。さらに助手席も前倒しすることで、最長2,650mmという驚異的な長尺物の積載が実現できます。この柔軟なシートアレンジは、建築資材の運搬から釣り竿やサーフボードなどのレジャー用品まで、あらゆる荷物に対応できる実用性を提供しています。
バックドアの開口部も大型化され、低い床面地上高と相まって荷物の積み下ろし作業が格段に楽になりました。後席スライドドアの開口部も広く設計されており、作業効率の向上に大きく貢献しています。
新型ハイゼットカーゴの燃費性能は、実用燃費で16.6km/Lを記録し、JC08モード燃費17.8km/Lに対して93%という高い再現率を実現しています。この優秀な燃費性能は、アイドリングストップ機構「eco IDLE」の搭載、電動パワーステアリング化、新開発のエコタイヤ採用など、多岐にわたる改良によって達成されました。
特に商用利用では、頻繁な停止・発進を繰り返すシーンが多いため、アイドリングストップ機構の効果は絶大です。実際のテストでは、市街地走行で14.5km/L、郊外路で18.0km/L、高速道路で18.1km/Lという結果を記録しており、どのような走行環境でも安定した燃費性能を発揮します。
維持費の面でも軽自動車の恩恵を最大限に受けることができ、自動車税、重量税、保険料すべてが普通車と比較して大幅に安く抑えられます。年間の維持費を考慮すると、事業用途での経済メリットは計り知れません。
新型ハイゼットカーゴには、ダイハツの予防安全機能「スマートアシスト」が全車標準装備されています。最新のステレオカメラシステムにより、昼間は車両・歩行者・二輪車・自転車を、夜間は歩行者の検知が可能となり、商用車としては異例の高い安全性能を実現しています。
特に注目すべきは、夜間の歩行者検知機能です。配送業務や早朝・深夜の作業が多い商用車にとって、この機能は事故リスクを大幅に軽減します。ADB(アダプティブドライビングビーム)やサイドビューランプなど、視認性を向上させる機能も充実しており、安全運転をサポートします。
ブレーキ制御付誤発進抑制機能は、前方・後方の両方に対応しており、荷物の積み下ろし時の操作ミスによる事故を防ぎます。車線逸脱警報機能や車線逸脱抑制制御機能は、長距離運転時の疲労による事故リスクを軽減し、プロドライバーの安全運転を強力にサポートします。
ダイハツ新型アトレーは、軽バン市場において独特のポジションを占めています。特にターボエンジン搭載モデルは、キャンピングカーのベース車両として高い評価を受けており、JP STARが開発した「Happy 1 Turbo」のような本格的なキャンピングカーのベースとして採用されています。
アトレーターボの最大の魅力は、軽自動車でありながら十分なパワーを持つターボエンジンです。キャンピングカーとして架装した場合でも、高速道路での合流や山道での走行において、ストレスのない走行性能を発揮します。また、アダプティブクルーズコントロール(ACC)の搭載により、長距離移動が多いキャンピングカーでの運転負荷を大幅に軽減できます。
全長3880mm×全幅1690mm×全高2510mmというコンパクトなボディサイズながら、4名の就寝定員を確保できる設計は、軽自動車の枠を超えた実用性を提供します。小型キャンピングカー登録となりますが、軽自動車ベースの経済性と取り回しの良さを維持しながら、本格的なキャンピング体験を可能にします。
2023年度の軽商用車販売実績において、ダイハツ・アトレー/ハイゼットカーゴは70,934台を販売し、軽バン部門で首位を獲得しました。この数字は、スズキ・エブリイの62,441台を大きく上回り、ダイハツの軽バン市場における圧倒的な競争力を示しています。
市場での成功要因は、単なる商用車としての機能だけでなく、趣味やレジャー用途での活用可能性にあります。釣りやキャンプなどのアウトドア活動の人気が高まる中、軽バンの「プロ仕様」としての堅牢性と使い勝手の良さが、一般ユーザーにも高く評価されています。
将来的には、電動化の波も軽商用車市場に及ぶことが予想されます。三菱のミニキャブEVが既に市場に投入されており、ダイハツも電動化技術の開発を進めています。しかし、現時点では航続距離や充電インフラの制約から、ガソリンエンジン車の需要は依然として高く、ダイハツの技術力と市場理解力が今後も競争優位性を維持する鍵となるでしょう。
新型コンパクト商用バンの開発も進んでおり、約207万円という価格設定で1.5リッター直列4気筒エンジンを搭載したモデルも発表されています。これにより、軽バンと普通車バンの中間的なニーズにも対応し、ダイハツの商用車ラインナップはさらに充実することになります。