ダイハツが2022年の東京オートサロンで披露した「アトレー プレミアムVer.」は、軽商用バンでありながらアルファードを彷彿とさせる迫力あるフロントフェイスで大きな注目を集めました。このコンセプトカーは、2021年にフルモデルチェンジしたアトレーのRSグレードをベースに、高級感と独自性を追求して開発されました。
最大の特徴は、トヨタの高級ミニバン「アルファード」を思わせる巨大なフロントグリルです。バンパー一体型の大型グリルと縦型LEDデイライトを組み込んだヘッドライト周辺の造形は、軽自動車の域を超えた重厚さを放っています。この「ミニアルファード」とも呼ばれるデザインは、軽自動車でも高級感を求めるユーザーのニーズに応えたものです。
アトレー プレミアムVer.は参考出品車として展示されましたが、その反響の大きさから市販化への期待も高まっています。新開発のDNGAプラットフォームを採用し、CVTの搭載やスマートアシストの装備により基本性能も大幅に向上しており、実用性と高級感を両立した軽バンの新たな可能性を示しました。
スズキ「スペーシア カスタム」は、軽スーパーハイトワゴンでありながらアルファードに負けない迫力のフロントグリルを持つモデルとして人気を集めています。大型メッキフロントグリルと下部のアンダーグリル、LEDヘッドランプを組み合わせた"カスタム"仕様は、穏やかな表情のノーマルスペーシアとは一転、アルファードも驚くほどの迫力あるスタイルが特徴です。
スペーシア カスタムの魅力は、そのワイドなバリエーションにあります。ノーマルタイプに加え、SUV風の「スペーシア ギア」、そして迫力のフロントグリルが特徴の「スペーシア カスタム」の3タイプが用意されており、多様なニーズに対応しています。
軽スーパーハイトワゴン市場では、ホンダ「N-BOX」が人気No.1の座を占めていますが、スペーシアは安定して2位のポジションをキープしています。その理由の一つが、このカスタムグレードの存在感にあります。背が高く室内空間は余裕たっぷりで、後席左右にはスライドドアを備え乗降性も良く、ファミリー層を中心に支持を集めています。
アルファード風デザインの軽自動車に共通する最大の特徴は、メッキを施した大型フロントグリルです。この豪華な印象を与えるデザインは、見た目にこだわりたいユーザーに特に人気があります。スズキの「エブリイ」やダイハツの「ムーヴ」なども、そのデザインにおいてアルファードに似た特徴を持つことがあります。
メッキグリルの効果は単なる装飾にとどまりません。軽自動車という小さなボディサイズでも、フロントフェイスに迫力を持たせることで、存在感を大幅に向上させることができます。特に「スペーシア」や「タント」は、コンパクトでありながら高級感のあるデザインを取り入れており、アルファードに似た外観の軽自動車を求めている人々にとって魅力的な選択肢となっています。
これらの軽自動車は、アルファードと同様にフロントグリルがメッキ加工されており、高級感を出すデザインが特徴的です。軽自動車としては比較的大きなサイズ感で、豪華さをアピールしているのも共通点です。ただし、実際の高級感や質感については、本家アルファードとは明確な差があることも事実です。
中国では、アルファードの人気を受けて「未奥 BOMA」というミニアルファードとも言える軽自動車サイズのモデルが登場しています。このモデルは全長3.5mという軽自動車サイズでありながら、先代アルファードに似せたデザインを採用しており、中国独特の自動車市場の特徴を表しています。
中国でアルファードは輸入車として関税15%が課税されるため、日本円で約2000万円という高額な価格が付けられています。さらにディーラーが独自に優先納車のための上乗せ価格を設定していることで、実際には約2500万円で販売されているという状況です。
このような背景から、アルファードの人気故にデザインを真似た中国メーカーのミニバンが後発で登場しています。「未奥 BOMA」は、車格が軽自動車クラスながらデザインは先代アルファードに似せた個体として注目されており、中国市場における高級車への憧れと現実的な価格帯のギャップを埋める存在として位置づけられています。
興味深いことに、このモデルのリアデザインは日産「デイズ」に似ているという指摘もあり、複数の日本車のデザイン要素を組み合わせた独特な仕上がりとなっています。
アルファード風デザインの軽自動車を選ぶメリットは、まず維持費の安さが挙げられます。軽自動車税は年額10,800円(2015年4月以降登録車)と普通車に比べて大幅に安く、自動車保険料も一般的に安価です。また、車検費用や部品代も軽自動車規格により抑えられており、経済的な負担を軽減できます。
デザイン面では、アルファードのような迫力あるフロントフェイスを軽自動車で実現できることが大きな魅力です。特に都市部では駐車場の制約もあり、軽自動車サイズでありながら存在感のあるデザインを求めるユーザーにとって理想的な選択肢となります。
一方でデメリットとしては、実際の高級感や質感において本家アルファードとは大きな差があることが挙げられます。内装の素材や装備の充実度、乗り心地や静粛性などは、価格帯を考慮しても明確な違いがあります。また、エンジンパワーも軽自動車規格の制約により、アルファードのような力強い走りは期待できません。
さらに、アルファード風デザインの軽自動車は、一部で「見栄っ張り」や「背伸び」といった否定的な見方をされることもあります。しかし、個人の価値観や用途に応じて選択することが重要であり、実用性と満足度のバランスを考慮して判断することが大切です。
購入を検討する際は、実際に試乗して乗り心地や使い勝手を確認し、維持費を含めた総合的なコストパフォーマンスを評価することをお勧めします。