トヨタX-VANは、2023年のジャパンモビリティショーで「X-VAN GEAR CONCEPT」として初披露されたコンセプトカーです。現在のところ正式な発売日は発表されていませんが、2024年3月に特許庁への意匠登録が確認されており、市販化に向けた準備が着実に進んでいることが伺えます。
業界関係者の間では、2025年後半から2026年前半の発売が有力視されています。トヨタ車体が開発を担当しており、同社のミニバン開発ノウハウを活かした製品として期待が高まっています。
市販化にあたっては、コンセプトモデルから一部変更される可能性があります。特に前後スライドドアの仕様については、コストや実用性の観点から、フロントは一般的なスイングドアに変更される見込みです。
発売時期の決定要因として以下が挙げられます。
X-VANの価格設定は、ベースとなるノア・ヴォクシーよりも高めになると予想されます。SUV要素の追加や専用装備により、約20-30万円のプレミアムが上乗せされる可能性が高いです。
予想価格帯は以下の通りです。
ガソリンモデル
ハイブリッドモデル
競合となる三菱デリカD:5(393万円~458万円)と比較すると、同等かやや安価な価格設定になる見込みです。トヨタブランドの信頼性と最新技術を考慮すると、コストパフォーマンスに優れた選択肢となるでしょう。
グレード展開については、「GEAR」「CORE」「TOOL」の3タイプが設定される予定で、それぞれ異なるユーザー層をターゲットにした装備内容となります。
X-VANのボディサイズは、全長4695mm×全幅1820mm×全高1855mmと発表されています。これはノア・ヴォクシーとほぼ同等のサイズ感で、日本の道路事情に適したコンパクトな設計となっています。
主要スペック
搭載予定パワートレイン
特筆すべきは、SUVテイストを活かした4WDシステムの充実です。ハイブリッド車には電気式4WD「E-Four」が採用され、悪路走破性と燃費性能を両立します。
X-VANの内装は「リビングのような快適空間」をコンセプトに設計されています。ソファーのようなシートと開放的な天井により、家族でのドライブを快適に過ごせる空間を実現しています。
内装の特徴
シートレイアウトは6人乗りの2-2-2配列を採用し、2列目シートには独立したキャプテンシートを設定。3列目への移動も容易で、大人数での移動時も快適性を保ちます。
運転席周りは、SUVらしい高いアイポイントを確保しながら、操作性を重視したレイアウトを採用。最新のインフォテインメントシステムや安全装備も充実する予定です。
荷室容量についても、ミニバンとしての実用性を重視した設計となっており、アウトドア用品や大型の荷物も余裕で積載可能です。
X-VANには、トヨタが培ってきた独自技術が数多く投入される予定です。特に注目すべきは、TNGAプラットフォームをベースとした高剛性ボディと、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の搭載です。
独自技術のポイント
将来的には、完全電動化モデルの投入も視野に入れています。トヨタの電動化戦略の一環として、X-VANのBEV(バッテリー電気自動車)版の開発も検討されており、2030年頃の市場投入が期待されています。
また、商用車バリエーションの展開も計画されており、「X-VAN TOOL」として工具や機材を効率的に運搬できる仕様も準備中です。これにより、プライベートからビジネスまで幅広い用途に対応する車種ラインナップが実現します。
モビリティサービスへの対応も重要な要素で、カーシェアリングやライドシェアでの活用を想定した装備や機能の搭載も検討されています。多様化するモビリティニーズに対応する次世代ミニバンとして、X-VANは重要な役割を担うことになるでしょう。
SUVミニバンという新ジャンルの開拓により、トヨタは再びミニバン市場でのリーダーシップを確立し、ファミリーカーの新たな選択肢を提供することが期待されています。