WLTCモードJC08モードの違いと実燃費

車を選ぶときの燃費表示、WLTCモードとJC08モードの違いをご存知ですか?測定方法や表示内容が大きく異なり、実際の燃費にも影響します。あなたの車選びに本当に役立つのはどちらの数値でしょうか?

WLTCモードとJC08モードの違い

この記事でわかること
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測定方法の違い

国際基準と国内基準の測定条件を比較

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実燃費との差

カタログ値と実際の燃費の乖離を解説

💡
車選びのポイント

燃費表示を活用した賢い車の選び方

WLTCモードとJC08モードの測定条件の比較

WLTCモードとJC08モードは、燃費を測定する際の基準が大きく異なります。JC08モードは日本独自の測定方法で、最高速度81.6km/h、平均速度24.4km/h、走行距離8.172km、測定時間約20分という条件で計測されます。一方、WLTCモードは国際的な試験方法で、最高速度97.4km/h、平均速度36.4~36.6km/h、走行距離約15km、測定時間約25分と、より高速かつ長時間の測定が行われます。
参考)WLTCモードとJC08モードの違いとは?|新車のカーリース…

測定時のエンジン状態にも違いがあります。JC08モードでは、エンジンが冷えた状態(コールドスタート)と温まった状態(ホットスタート)を25%対75%の比率で測定していましたが、WLTCモードではすべてエンジンが冷えた状態で測定されるため、より実際の使用状況に近い条件となっています。さらに、WLTCモードでは試験時の車両重量が増加するなど、直近の使用実態を反映した測定が行われています。
参考)WLTCモードとは?実燃費との違い・測定方法・JC08モード…

WLTCモードの市街地・郊外・高速道路モード

WLTCモードの最大の特徴は、走行環境ごとに燃費が表示される点です。市街地モード(Low)は0~40km/hの低速域で、信号や渋滞の影響を受ける比較的低速な走行を想定しています。郊外モード(Medium)は40~60km/hの中速域で、信号や渋滞の影響をあまり受けない走行を想定。高速道路モード(High)は60km/h以上の高速域で、高速道路等での走行を想定した測定です。
参考)https://www.zurich.co.jp/carlife/wltc-mode/

これら3つのモードに加えて、総合的な燃費値も表示されるため、合計4つの数値で燃費性能が示されます。例えば、市街地走行が多いユーザーは市街地モードの数値を、高速道路利用が多いユーザーは高速道路モードの数値を重視することで、自分の使用環境に合った車を選びやすくなります。この多角的な表示方法により、ユーザーは車の使用状況に応じてより適切な燃費性能の車を選択できるようになりました。
参考)測定モード

JC08モードからWLTCモードへの数値換算

JC08モードとWLTCモードでは、同じ車種でも燃費の数値が異なります。一般的に、WLTCモードの方がJC08モードよりも低い数値になる傾向があります。国土交通省によると、ハイブリッド車アイドリングストップ搭載車の方が、両モード間での燃費差が大きくなるとされています。​
具体的な換算の目安として、ハイブリッド車ではWLTCモードの数値がJC08モードの約80~85%、純ガソリン車では約85~90%程度になります。例えば、スズキ・ハスラー(マイルドハイブリッド)では、JC08モードが30.4km/Lに対してWLTCモードは25.0km/Lで約82.2%、スズキ・ジムニー(純ガソリン)では、JC08モードが16.4km/Lに対してWLTCモードは14.3km/Lで約87.2%となっています。ただし、この換算率は車種によって異なるため、あくまで目安として考える必要があります。​

実燃費とカタログ燃費の乖離とその理由

カタログ燃費と実燃費には差があり、実燃費の方が低くなるのが一般的です。JC08モードの場合、実燃費は全車平均で2~3割低下すると言われており、特にハイブリッド車などカタログ燃費の良い車種は実燃費との差が大きい傾向があります。WLTCモードでも、実燃費は10~30%ほど下がることが多いですが、JC08モードと比較すると実燃費との乖離は小さくなっています。
参考)WLTCモードの燃費と実燃費の差はどれくらい?実例から違いを…

この乖離が生じる主な理由は、測定環境と実際の走行環境の違いです。燃費測定は「シャシーダイナモメーター」という室内の試験機を使って行われ、実際の道路を走るわけではありません。さらに、測定を担当するドライバーは「神の足」と呼ばれる燃費計測スペシャリストで、一般ドライバーには真似できない絶妙なアクセルワークで低燃費を実現しています。また、測定時にはエアコンや電装品が使用されないため、実際の走行で電装品を使用すると燃費が悪化します。加えて、運転者の運転技術や走行環境、渋滞の有無なども実燃費に大きく影響します。
参考)スタッフブログ

燃費を向上させるための実践的な方法

日常の運転方法を見直すことで、燃費を大幅に改善できます。急発進や急加速を避けるだけで、燃費が10%向上するとも言われています。アクセルワークに気を付けて、ゆっくりとアクセルを踏み込み、エンジン回転が上がりすぎないようにすることが重要です。また、加減速の少ない運転を意識して一定の速度を保つことも、燃費向上のコツです。
参考)燃費を良くする方法とは?すぐに実践できるエコドライブのポイン…

減速時にはエンジンブレーキを活用することで、フットブレーキのみを使う場合と比べて燃料消費を抑えられます。エアコンの使用はエンジンに負担をかけるため、設定温度や風量を調整するなどの工夫が効果的です。さらに、アイドリングを極力抑えることや、車内の余計な荷物を降ろして車体を軽くすることも燃費改善につながります。走行計画の最適化として、ナビゲーションシステムを活用して渋滞を回避し最適なルートを選択することで、不要な走行距離を削減できます。定期的なタイヤ空気圧のチェックやエンジンオイルの適切な管理などのメンテナンスも、燃費向上に大きく貢献します。
参考)燃費とは?燃費のよい車はどのモデル?燃費をよくするためのコツ…

WLTCモード導入による車選びへの影響

WLTCモードの導入により、車選びの際により実用的な判断ができるようになりました。従来のJC08モードでは単一の燃費値しか表示されませんでしたが、WLTCモードでは市街地・郊外・高速道路の3つのモードと総合値の計4つの数値が表示されます。これにより、自分の主な使用環境に合わせて車を選択できるようになりました。
参考)技術解説−中・軽量車の燃費試験法と燃費基準(7)

例えば、主に市街地で車を使用する人は市街地モードの燃費が優れた車を、高速道路での長距離移動が多い人は高速道路モードの燃費が良い車を選ぶことができます。ハイブリッド車は市街地走行で特に高い燃費性能を発揮する傾向があり、電気自動車は短距離・都市部での走行に適しています。一方、ディーゼル車は長距離・高速道路での走行で高燃費を実現します。WLTCモードは国際的な試験方法であるため、輸入車との比較もしやすくなり、より公平な車選びが可能になりました。2018年10月以降に発売された新型車にはWLTCモード表示が義務付けられており、今後は全ての車でこの基準による燃費表示が標準となっていきます。
参考)WLTCモードを徹底解説!!リアルな車の燃費ってどのくらい?…