LFAスパイダー実車公開で話題の希少オープンカー

レクサスLFAスパイダーが2025年に実車公開され、自動車ファンの注目を集めています。世界に2台しか存在しない究極のオープンスーパーカーの魅力とは?

LFAスパイダー実車公開の全貌

LFAスパイダーの基本情報
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世界限定2台の希少性

パールイエローとホワイテストホワイトの2台のみ製作された究極のワンオフモデル

V10エンジンの圧倒的パワー

4.8L V10エンジンで560馬力を発揮、天使の咆哮と呼ばれる官能的サウンド

🏎️
カーボンモノコック構造

追加補強なしでも十分な剛性を確保したオープンカー仕様

LFAスパイダー実車公開イベントの詳細

2025年4月20日に開催される「第35回 トヨタ博物館 クラシックカー・フェスティバル」において、極めて希少なレクサスLFAスパイダーが実車公開されました。このイベントでは単なる展示にとどまらず、実際の走行披露も行われ、来場者が乗車して撮影することも可能という特別な企画となっています。

 

LFAスパイダーは、レクサスLFAをベースとしてオープンカーに作り変えた特別仕様車で、あくまでもデモンストレーション用として製作されたため市販化はされていません。世界に2台しか存在しないこの車両は、パールイエローとホワイテストホワイトの2色が確認されており、今回公開されたのはホワイテストホワイト仕様です。

 

過去にも2019年2月にレクサスインターナショナルギャラリー青山で展示されたことがありますが、このような走行披露を含む本格的な公開イベントは非常に珍しく、自動車愛好家にとって貴重な機会となっています。

 

LFAスパイダーのベース車両LFAの開発秘話

LFAスパイダーのベースとなったレクサスLFAは、2000年冬に北海道でのテスト中、棚橋晴彦が夜の飲み屋でセンター長の服部哲夫にスポーツカー開発を直訴したことから始まりました。当初はV8エンジンを想定していましたが、技術担当副社長の加藤伸一が「2年経ったらF1に出るんだぞ。V8じゃ寂しいからV10にしろ」と煽ったことで、V10エンジンの開発が決定されました。

 

開発プロジェクトの根底には「Fシリーズのシンボルとして世界に通用するスーパーカーを作る」という強い決意があり、フェラーリやランボルギーニと肩を並べるクルマを造るという、一般量産車メーカーにとって極めて大胆なチャレンジでした。

 

2003年6月に最初の試作車が完成し、「世界一過酷なサーキット」として知られるドイツのニュルブルクリンクで初回走行テストが実施されました。この時点で既に「フロント・ミッドシップエンジン+後輪駆動+トランスアクスル+V10エンジン」という基本パッケージングは市販車と同様の構成が固められていました。

 

LFAスパイダーの技術的特徴と性能

LFAスパイダーは、ベース車両であるLFAの技術的特徴をそのまま継承しています。最も注目すべきは、ヤマハと共同開発した4.8リッターV型10気筒エンジン「1LR-GUE」です。このエンジンは極少量生産モデルゆえにエキスパートが手組みで組み立てており、その証として各エンジンには担当した職人の名前が刻まれたアルミ製プレートが装着されています。

 

性能面では、最高出力560馬力・最大トルク480Nmを発揮し、最高速度325km/h、0-100km/h加速は3.7秒という驚異的なスペックを誇ります。これに6速ASG(Automated Sequential Gearbox)を組み合わせることで、レーシングカー並みの加速性能を実現しています。

 

シャシーには軽量化と高剛性の両立を追求したカーボンモノコック構造を採用。ボディ構造全体の65%に自社開発のCFRP(炭素繊維強化樹脂)を、残りの35%にアルミニウムを使用したハイブリッド構成により、車両重量1,480kgという軽量化を実現しています。

 

特筆すべきは、LFAの高いボディ剛性により、オープンカー化に際して追加の補強が不要だったという点です。これは設計段階からの徹底した剛性確保の成果といえるでしょう。

 

LFAスパイダーの希少性と市場価値

LFAスパイダーの希少性は、その製作台数の少なさに起因します。世界に2台しか存在しないワンオフモデルであり、市販化は一切されていません。これは、ベース車両のLFAが500台限定生産だったことを考えると、さらに桁違いの希少性を持つことになります。

 

ベース車両のLFAは、2010年から2012年まで愛知県のトヨタ自動車元町工場「LFA工房」で、ほぼ全てを職人によるハンドメイドにより1日1台のペースで製作されました。当時の新車価格は3,750万円という超高額設定でしたが、莫大な開発費のため赤字だったとされています。

 

現在、中古車市場でのLFAの価格は新車価格を大きく上回る状況が続いており、状態の良い個体では1億円を超える取引も珍しくありません。LFAスパイダーに至っては、仮に売買されるとすれば数億円規模の価値を持つと推測されます。

 

この希少性は、単なる台数の少なさだけでなく、レクサスブランドの技術的頂点を示すシンボルとしての価値も含んでいます。LFAの開発で培われた技術やノウハウは、その後のレクサス車に大きな影響を与えており、ブランドの歴史において重要な位置を占めています。

 

LFAスパイダーが自動車業界に与えた影響と未来展望

LFAスパイダーは、日本の自動車メーカーがオープンスーパーカーの分野でも世界最高峰の技術力を持つことを証明した象徴的な存在です。従来、オープンスーパーカーといえばヨーロッパ系メーカーの独壇場でしたが、LFAスパイダーの登場により、日本メーカーもこの分野で十分に競争力を持つことが実証されました。

 

特に注目すべきは、カーボンモノコック構造の採用により、追加補強なしでオープン化を実現した技術力です。これは設計段階からの徹底した剛性設計の成果であり、現在のレクサスLCコンバーチブルなどの開発にも活かされています。

 

また、「天使の咆哮」と呼ばれる官能的なエキゾーストサウンドは、電動化が進む現代において、内燃機関の魅力を最大限に表現した最後の傑作の一つとも評価されています。このサウンドは、単なる騒音ではなく、人の五感を刺激する芸術的な音響として設計されており、現在でも多くの自動車愛好家の心を捉えて離しません。

 

LFAプロジェクトで培われた技術は、現在のレクサスFシリーズ全体に継承されており、IS F、RC F、GS Fなどの開発にも大きな影響を与えています。また、カーボンファイバー技術や軽量化技術は、レクサスの次世代電動車開発にも応用されることが期待されています。

 

将来的には、LFAの後継モデルとして電動スーパーカーの開発も噂されており、その際にはLFAスパイダーで実証されたオープンカー技術も活用される可能性があります。自動車業界が電動化に向かう中で、LFAスパイダーは内燃機関時代の技術的到達点を示す貴重な遺産として、その価値はますます高まっていくでしょう。

 

レクサスLFAの詳細な開発秘話について
https://gazoo.com/column/article/23/11/30/rarecar/
トヨタ博物館での展示イベント情報
https://kuruma-news.jp/post/892316