ETC2.0車載器の価格は2万円以上が一般的で、従来ETC車載器のセットアップ込み1万円程度と比較すると、明らかに高額です。この価格差を回収できるメリットがあるかが重要な判断基準となります。
従来ETC車載器でも新セキュリティに対応していれば、高速道路利用における料金割引は十分に享受できます。深夜割引や休日割引といった基本的な割引制度は従来ETCでも変わらず適用されるため、通勤や通学、たまのレジャー利用程度であれば従来ETCで十分な機能を果たします。
実際に、多くの専門家が「金額面のみを考えるならETC1.0で十分」と結論づけており、費用対効果を重視するユーザーには従来ETCが推奨されています。特に中古車での利用や、高速道路の利用頻度が低いユーザーにとって、ETC2.0の高額な初期投資は必要性が低いと言えるでしょう。
ETC2.0の主要メリットである道の駅利用時の一次退出サービスは、対象となるICと道の駅の組み合わせが非常に限定的です。近畿圏では滋賀県の栗東IC(アグリの郷栗東)と兵庫県の春日IC(丹波おばあちゃんの里)の2箇所のみという現状があります。
このサービスを活用できるのは、300km以上の長距離旅行を頻繁に行い、かつ対象の道の駅を利用するという非常に限定的な条件を満たすユーザーのみです。一般的な高速道路利用者にとって、このメリットを享受する機会は極めて少ないのが実情です。
また、1000km先の渋滞情報取得機能についても、日常的な通勤や近距離の移動では過剰な機能と言えます。カーナビとの連携による迂回ルート提案も、従来のVICSサービスで十分対応可能な範囲が多く、ETC2.0特有の高度な情報サービスが必要となるシーンは限られています。
ETC2.0が不要と判断できるユーザーの特徴を具体的に整理すると、以下のような条件に該当する場合です。まず、年間の高速道路利用距離が300km未満の短距離利用者や、通勤・通学での定期的な短距離利用が中心のユーザーです。
次に、家族旅行などの長距離移動を年に数回程度しか行わないユーザーや、対象となる道の駅を利用する予定がないユーザーも、ETC2.0のメリットを享受する機会が少ないため不要と言えます。
さらに、車両の買い替え予定が数年以内にあるユーザーや、中古車での短期間利用を予定しているユーザーにとって、ETC2.0の高額な初期投資は回収困難です。これらの条件に該当する場合、新セキュリティ対応の従来ETC車載器で十分な機能を得られるため、ETC2.0は不要な選択肢となります。
一方で、ETC2.0が必要となるユーザーも存在します。運送業などで日常的に300km以上の長距離走行を行うユーザーや、東京方面の圏央道を頻繁に通過するユーザーは、長期的に見て金銭的メリットが生まれる可能性があります。
また、「確実に多人数長距離乗車を行うミニバンユーザー」や「ETC2.0割引のある高速道路や有料道路をよく使うユーザー」に限定して必要性が認められています。新車購入で今後10年程度の長期利用を予定している場合も、将来的なサービス拡充を考慮してETC2.0を選択する価値があります。
しかし、これらの特殊な条件に該当しない一般的なユーザーにとって、従来ETCで十分な理由は明確です。新セキュリティ対応の従来ETC車載器なら、基本的な料金割引サービスを同等に受けられ、初期投資を大幅に抑えることができます。パナソニック製CY-ET926Dのような新セキュリティ対応の従来ETC車載器なら、今後も安心して使い続けられる実用性を備えています。
ETC2.0の導入を検討する際は、現在の利用状況だけでなく将来的な変化も考慮する必要があります。現時点では「多くの方にとっては、費用に見合うメリットが薄く、従来のETCで十分」という評価が一般的です。
ただし、今後のサービス拡充や対象エリアの拡大により、ETC2.0のメリットが増加する可能性もあります。そのため、現在従来ETCを選択したユーザーも、数年後の車載器更新時期にETC2.0の普及状況やサービス内容を再評価することが賢明です。
重要なのは、現在の自分の利用パターンと予算に最適な選択をすることです。無理にETC2.0を導入するよりも、従来ETCで基本機能を確保し、浮いた費用を他の車両装備や維持費に充てる方が、多くのユーザーにとって合理的な判断と言えるでしょう。将来的にETC2.0が本当に必要になった時点で、改めて導入を検討するという段階的なアプローチが最も現実的な選択肢です。