マツダCX-90の最も印象的な特徴は、その圧倒的な全長5100mmです。これは日本で販売されているCX-60の全長4780mmと比較すると、実に320mmも長い設計となっています。この全長の延長は単純にボディを引き延ばしたものではなく、3列シートを快適に配置するための戦略的な設計変更の結果です。
北米市場では全長5mを超える大型SUVが一般的で、CX-90はこの市場要求に応えるために開発されました。従来のCX-9と比較しても、CX-90は全長で35mm、ホイールベースで190mmも拡大されており、より余裕のある室内空間を実現しています。
この全長の拡大により、特に3列目シートの居住性が大幅に向上しています。後輪駆動レイアウトを採用したことで、エンジンルームが長くなった分、キャビン部分も延長され、各席の乗員に十分なスペースが確保されています。
CX-90の全幅1994mmは、日本仕様のCX-60の1890mmと比較して104mmも広く設計されています。この全幅の拡大は北米市場の道路事情と駐車場環境に最適化されたもので、日本の道路環境では取り回しが困難になる可能性があります。
ワイドボディ化により、フェンダーの張り出しが増し、より力強く立体感のあるデザインが実現されています。側面の造形がダイナミックになり、表情豊かなフォルムを作り出しているのは、この全幅拡大の恩恵です。
また、全幅の拡大に伴いトレッドも広がっており、走行安定性の向上にも寄与しています。特に高速道路での直進安定性や、コーナリング時の安定感が向上していると考えられます。
CX-90のホイールベース3120mmは、同じラージ商品群のCX-60の2870mmと比較して250mmも長く設定されています。このホイールベースの延長は、3列シートSUVとして必要不可欠な室内空間を確保するための重要な設計変更です。
ホイールベースの延長により、特に2列目と3列目シートの足元空間が大幅に改善されています。従来のCX-8のホイールベース2930mmと比較しても、CX-90は190mm長く、より快適な乗車環境を提供しています。
この長いホイールベースは、後輪駆動レイアウトを採用したことによる必然的な結果でもあります。エンジンを縦置きに配置することで、ボンネットが長くなり、全体的なプロポーションが伸びやかになっています。
CX-90のサイズを他の競合車種と比較すると、その位置づけが明確になります。北米で人気のフルサイズSUVであるキャデラック・エスカレード(全長5382mm)やジープ・ワゴニア(全長5453mm)と比較すると、CX-90は全長で200-350mm短く、ミドルサイズSUVのカテゴリーに位置しています。
マツダの既存車種との比較では、CX-90は明らかに最大サイズです。CX-9と比較して全長35mm、全幅24mm、ホイールベース190mmの拡大を実現しており、室内空間の向上に大きく貢献しています。
日本向けに予定されているCX-80は、CX-90をベースに全幅を1890mmに縮小した仕様になると予想されています。全長は4950mm程度に抑えられる可能性が高く、日本の道路事情により適した設計になると考えられます。
CX-90の大型サイズは、運転特性に様々な影響を与えます。全長5100mmという長大なボディは、駐車場での取り回しや狭い道路での運転に注意が必要です。特に日本の立体駐車場の多くは全長5m以下の制限があるため、CX-90は利用できない施設が多くなります。
一方で、高速道路での走行安定性は大幅に向上しています。長いホイールベースと広いトレッドにより、直進安定性が高く、横風の影響も受けにくい設計となっています。また、重心の低い設計により、コーナリング時の安定感も優れています。
車重についても、PHEV仕様では2トン中盤に達すると推測されており、これは燃費性能に影響を与える可能性があります。しかし、マツダのラージ商品群は大排気量エンジンの余裕を燃費向上に活用する設計思想を採用しており、実用燃費では優秀な数値を記録しています。
燃料タンク容量もCX-60より20リットル大きく設定されており、長距離ドライブでの利便性が向上しています。これは北米の広大な国土を走行することを前提とした設計変更です。
CX-90のサイズは北米市場に最適化されたものですが、その設計思想は今後日本に導入されるCX-80にも活かされることが期待されます。日本の道路事情に合わせてサイズを調整しながらも、CX-90で培った室内空間の快適性や走行性能の向上技術が導入されれば、国内の3列シートSUV市場に大きなインパクトを与えることになるでしょう。