CX-60の最高馬力を誇るのは2.5L PHEVモデルの323馬力です。このシステムは2.5Lガソリンエンジン(188馬力)と電気モーター(175馬力)を組み合わせたもので、システム全体で323馬力の最高出力を発揮します。
PHEVシステムの特徴は以下の通りです。
このPHEVシステムは17.8kWhの大容量バッテリーを搭載しており、日常の買い物や通勤などの近距離移動であれば、ほとんどガソリンを使わずに走行可能です。また、車両の重心が最も低く設定されているため、カーブでの安定性はCX-60シリーズ中で最も優れています。
CX-60のディーゼルエンジンは、マツダが新開発した3.3L直列6気筒ターボエンジンを採用しています。このエンジンには2つのバリエーションがあります。
ディーゼルマイルドハイブリッド(254馬力)
ディーゼルターボ(231馬力)
直列6気筒エンジンの最大の利点は、その滑らかな回転フィールです。従来の直列4気筒エンジンと比較して、振動が少なく、高回転域での吹き上がりもガソリンエンジン並みに活発です。特に中高回転域でのエンジンフィールが心地よく、走りのプレミアム感を大幅に向上させています。
CX-60のエントリーモデルに搭載される2.5Lガソリンエンジンは、188馬力の最高出力を発揮します。このエンジンの詳細スペックは以下の通りです。
このガソリンエンジンは、街中での日常使用には十分な力強さを持っていますが、CX-60の大型ボディや高速道路での走行を考慮すると、やや物足りなさを感じる場面もあります。しかし、新車価格が最も安価に設定されているため、初期費用を抑えたいユーザーには魅力的な選択肢となっています。
燃費性能は他のパワートレインと比較すると劣りますが、メンテナンス費用や燃料費を考慮すると、年間走行距離が少ないユーザーにとってはトータルコストが最も安くなる可能性があります。
各パワートレインの加速性能と実際の走行フィールには明確な違いがあります。
PHEV(323馬力)の加速性能
PHEVモデルは瞬間的なモータートルクにより、発進時の加速が最も鋭く感じられます。電気モーターの特性により、低回転域から最大トルクを発揮するため、信号待ちからの発進や追い越し時の加速感は4つのパワートレイン中で最も優秀です。
ディーゼルマイルドハイブリッド(254馬力)の走行フィール
550Nmという大トルクを1,500回転という低回転から発生させるため、実用域での力強さは圧倒的です。しかし、マイルドハイブリッドシステムの制御により、アクセル全開時にはエンジン始動のタイムラグが発生することがあります。
ディーゼルターボ(231馬力)の特性
最もナチュラルな加速フィールを持ち、駐車場などの低速走行から高速道路まで、まとまりの良い走りを提供します。CX-60の基準器的存在として、バランスの取れた性能を発揮します。
ガソリンエンジン(188馬力)の実力
街中では必要十分な性能を発揮しますが、高速道路での合流や山道での走行では、他のパワートレインと比較してパワー不足を感じる場面があります。
CX-60の各パワートレインには、一般的にはあまり知られていない技術的な優位性があります。
トルコンレス8速ATの恩恵
全グレードに採用されているトルコンレス8速ATは、従来のトルクコンバーター付きATと比較して、ダイレクトな加速感を提供します。この技術により、エンジンの馬力を効率的に路面に伝達し、燃費性能の向上にも貢献しています。
後輪駆動レイアウトの効果
CX-60は後輪駆動(FR)レイアウトを採用しており、これにより前輪駆動では実現できない理想的な前後重量配分を実現しています。この設計により、各パワートレインの馬力を効率的に路面に伝達し、優れたハンドリング性能を発揮します。
サスペンション設定の違い
実は、パワートレインによってサスペンション設定が異なります。ディーゼルターボモデルは後輪側のスタビライザーを意図的に装着せず、より柔軟な足回りを実現しています。これにより、マイルドハイブリッドやPHEVモデルよりも快適な乗り心地を提供します。
直列6気筒エンジンの振動特性
3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンは、理論上完全にバランスが取れた設計となっており、4気筒エンジンでは避けられない2次振動が発生しません。この特性により、アイドリング時から高回転域まで、極めて滑らかな運転感覚を実現しています。
これらの技術的優位性により、CX-60は単純な馬力数値以上の走行性能と快適性を提供しており、各パワートレインの特性を最大限に活かした設計となっています。選択する際は、馬力だけでなく、これらの隠れた技術的メリットも考慮することで、より満足度の高い車選びが可能になります。