マツダの主力SUV「CX-5」は2026年中のフルモデルチェンジが確定しました。2025年7月10日に欧州で正式発表された3代目CX-5は、現行型から約8年ぶりの全面刷新となります。日本市場での発売時期については、2026年1月登場が濃厚とされており、既に複数の業界誌が報道しています。マツダの公式発表では「2026年中」と記載されていますが、最新の情報では2026年7月から11月ごろの登場予想も浮上しており、正式な日本発売日の発表が待たれる状況です。
2025年10月30日開催の「ジャパンモビリティショー2025」では、新型CX-5が日本で初めて実車公開され、来場者の注目を集めました。現行モデルの購入を検討している場合、2026年4月以降になると新型発売を控えて現行モデルの受注停止が始まる可能性があるため、計画的な購入判断が重要です。
現行CX-5は発売から8年経過した現在も、マツダの最量販車種として月2400台を上回る販売実績を保持。グローバルでは累計550万台以上が販売された実績があり、3代目への期待値は非常に高いものとなっています。
新型CX-5は現行型と比べて大きく進化したデザインが特徴です。全長が4575mmから4690mmへと115mm拡大し、全幅は1845mmから1860mmへ15mm拡幅されました。一方で全高は1690mmから1695mmへとわずかな増加に留まっています。最も注目すべきは、拡大分のほぼ全てがホイールベースの拡張に充てられた点で、ホイールベースは2700mmから2815mmへと115mm延長されています。
フロントマスクは新世代を象徴する2段式のLEDヘッドライトが採用され、従来よりも立体感と洗練さが強調されました。メッキの使用を控えた新しいデザイン哲学により、「オヤジ臭さ」を払拭したシンプルで現代的なフェイスへと進化しています。ボンネットの傾斜角も前方への傾きが抑制され、ドライバーから見える範囲が広がり、視認性が大幅に向上しました。
サイドビューではシャープなキャラクターラインが追加され、より動きのある印象を与えます。リア側がクーペライクにより長く設計されたことで、のびやかでスタイリッシュなプロポーションを実現。ボディサイズの拡大にもかかわらず、現行型の「一目でCX-5とわかる」という特性は継承されており、ブランドアイデンティティが損なわれていません。
新型CX-5は居住性の大幅向上が最大の進化ポイントです。ホイールベース拡大による効果により、後席の足元空間は64mm拡大されます。身長170cmの大人4名乗車時に、後席乗員の膝先空間は現行型の握りこぶし2つ分から2つ半以上に広がり、頭上空間も29mm余裕が生まれます。後席ドアの開口幅も70mm広がり、乗り降りの利便性が大幅に改善されました。
運転席は着座位置が48mm低く設定され、より最適な運転姿勢が実現されています。現行型でユーザーから指摘されていたペダル位置の高さも改善され、長時間運転での疲労低減が期待できます。荷室長も現行型比で45mm延長され、ベビーカーを縦向きで収納できるようになり、日常使用での利便性が向上しました。
内装の質感も大幅に向上しており、上級モデルのCX-60を参考にした上質な素材選定と仕上げが施されています。水平基調を保ちながらも、より高級感のある空間づくりが実現。後席のドアスライドレール露出問題も対策され、サンダル履きの同乗者でも安心です。
新型CX-5の最大の変更点がパワートレインです。人気の高かったクリーンディーゼルターボが廃止され、ガソリンエンジンのハイブリッド化へ一本化されます。発売当初は「e-SKYACTIV G 2.5」と呼ばれるマイルドハイブリッド搭載エンジンが搭載予定で、最高出力141馬力、最大トルク238N・mの仕様が明かされています。6速ATと組み合わされ、0-100km/h加速は約10.5秒となる見込みです。
ディーゼル廃止の理由は排出ガス規制対応です。CX-5の世界販売の約70%が北米市場であり、北米ではディーゼル需要が限定的なため、多額の開発コストをかけたディーゼル刷新は経営判断として見送られました。一方、マツダのディーゼルエンジンは今後、CX-60とCX-80の直列6気筒3.3Lモデルのみとなります。
2027年中には次世代エンジン「SKYACTIV-Z」を新ハイブリッドシステムと組み合わせたストロングハイブリッドが追加される予定です。このSKYACTIV-Zは「理想の内燃機関」を目指して開発中で、SKYACTIV-Xで培われた希薄燃焼技術を進化させ、EGR機能を積極活用した設計となります。2.5ターボに迫る性能を発揮しながら、環境性能と経済性を両立させるマツダ独自の技術と位置づけられています。
新型CX-5の室内装備は大きく進化しました。最大の注目は、インパネ中央に装備される15.6インチの大型液晶タッチパネルで、ノートパソコンに近い画面サイズながら前方視界を妨げないように配慮されています。このディスプレイにはGoogleが統合され、常に最新のGoogleマップが使用可能で、音声指示によるGoogleアシスタント機能も装備されています。Google Playストアを通じた各種アプリケーション追加も可能となり、拡張性に優れたシステムです。
従来のダイヤル式マツダコネクトシステムから大幅にUIが変更され、物理ボタンの多くが廃止された現代的なインターフェイスとなります。先進運転支援システム(ADAS)も大幅に強化され、360度ビューモニターの機能も進化。死角補完画像の記憶機能によって、車両下側の路面状況を疑似的に表示する機能が追加されており、悪路や段差のある場所での安心感が向上します。
HMIの一新により、強化・拡充された通信機能やアプリケーションにより、利便性と安全性が大幅に向上。デジタルメーターの導入による視認性向上とカスタマイズ性の拡張も期待できます。走行安定性の向上に伴い、サスペンションの減衰力設定にゆとりが生まれ、乗り心地の改善もCX-60での「硬さ」指摘への回答となります。
新型CX-5の予想価格は、マイルドハイブリッド搭載エントリーグレードで310万円程度からのスタートと予測されています。これはライバルのハリアー2.0Lノーマルガソリン搭載「S」グレード(312万8000円)に近い設定です。現行CX-5との比較では、ディーゼル廃止に伴う価格体系の再構築により、ガソリンエンジン搭載車は若干の価格上昇が見込まれます。
中級グレードは350万円前後、上級グレードは420万円程度の設定が予想されており、現行CX-5(281万500円~422万5100円)と比較すると、全体的な価格帯が上がる見込みです。駆動方式別では、4WDモデルが2WDモデルより23~25万円高く設定される可能性があります。
2027年に追加予定のストロングハイブリッドモデルは、380万円以上からのスタートとなり、主力中級グレードは430万円程度に達するものと予想されています。一般的なハイブリッドシステムの価格差を考慮すると、マイルドハイブリッド版から50万円程度の価格上乗せが想定されます。最上級グレードは480万円程度に達する可能性があり、スバル フォレスターやホンダ ZR-Vといった競合SUVと価格面で競合することになるでしょう。
新型CX-5の登場を控えた現在、現行モデルの購入を検討するユーザーが最も悩む判断は「待つべきか、今買うべきか」という問題です。ディーゼルエンジンの廃止が決定した新型では、力強い走りと経済性を求めるドライバーにとって、現行型ディーゼル車の購入価値は依然として高いと評価されています。
現行CX-5のディーゼルモデルは、WLTCモード燃費17.4km/Lを実現し、軽油価格150円/L、ガソリン170円/Lで計算すると、1kmあたりの燃料コスト約8.6円はレギュラーガソリン車換算で19.8km/Lに相当する経済性を誇ります。新型CX-5のマイルドハイブリッド版で実現予定の15.0km/L前後では、この経済性に及びません。
販売店では「新型になると値引きはほぼ不可能だが、現行モデルなら対応可能」とのコメントもあり、ディーラーオプション装着を含めると30万円前後の値引きが十分に可能という情報があります。2025年10月には装備充実した「XDドライブエディション」が追加されており、ディーゼルモデルを希望するユーザーは早めの購入検討が賢明です。
一方で、新型CX-5は室内空間・快適性・先進装備の大幅な進化により、長期使用を考えるユーザーには新型待機もメリットが大きいです。運転姿勢の最適化による長距離運転での疲労低減、360度ビューモニターを含む強化された安全機能、Google統合による利便性向上など、日常使用における快適性は新型が大幅に勝ります。
新型CX-5の進化は2026年の発売後も継続します。2027年中の追加搭載が予定される「SKYACTIV-Z」フルハイブリッドシステムは、マツダが独自開発した次世代パワートレインです。このシステムは、トヨタのハイブリッド技術に依存する北米向けCX-50とは異なり、マツダの自社技術で構成されています。
SKYACTIV-Zは「理想の内燃機関」を実現する2.5L直4エンジンで、欧州ユーロ7や米国LEV4、Tier4といった厳しいエミッション規制に適合しながら、高い燃費性能と走行性能を両立させる設計です。希薄燃焼技術を進化させつつ、EGR機能を積極活用することで、従来よりもシンプルで効率的な燃焼メカニズムを実現します。
フルハイブリッド版の燃費は、ストロングハイブリッド搭載によりWLTCモード22.0km/L前後を目指すと予想されており、ハリアーハイブリッド(22.3km/L)との競争を意識した高い目標が設定されています。マイルドハイブリッド版では代替困難だった現行ディーゼルの経済性を、2027年のフルハイブリッド追加により達成し、ユーザーの選択肢を大幅に拡充する戦略となっています。
<参考> 新型CX-5の公式情報はマツダ公式ホームページで確認できます
https://www.mazda.co.jp/