250ccトゥクトゥクは、排気量246.2ccのエンジンを搭載し、最大馬力15.6ps/7000rpmを発揮します。最高速度は80km/hに達し、燃費は26km/Lという優秀な数値を記録しています。車両重量は350kgと軽量で、全長2485mm、全幅1290mm、全高1750mmというコンパクトなボディサイズが特徴です。
自動遠心クラッチを採用しているため、クラッチ操作は不要でAT限定免許でも運転可能です。また、三輪すべてにディスクブレーキを装備しており、これは世界的に見ても珍しい仕様となっています。
最大定員は3名で、無鉛レギュラーガソリンを使用します。12V 28Aのバッテリーを搭載し、電装系も充実しています。
日本製250ccトゥクトゥクの開発は、125ccモデルのパワー不足を解消するために始まりました。株式会社カーターが開発中の「APtrikes250」は、複数人での乗車時や重量物の積載、急な坂道での登坂力不足というユーザーの声から生まれました。
125ccモデルでは6.3kWの出力だったのに対し、250ccモデルでは11.5kW(15.6PS)まで向上し、最大トルクも19.5N・mに増強されています。これにより、より実用的な走行性能を実現しています。
新設計のサイドアルミフレームは、250ccエンジンの振動に耐えうる肉厚に変更され、強度を確保しています。また、従来のスイングアーム式から3リンク式リジッドアクスルサスペンションへ変更することで、操縦安定性も向上させています。
250ccトゥクトゥクは法的には「側車付軽二輪(126~250cc)」に分類されます。この区分により、以下のような維持費となります。
車検が不要なため、定期的な検査費用や手間がかからず、維持費を大幅に抑えることができます。また、車庫証明も不要なので、駐車場の確保も比較的容易です。
250ccトゥクトゥクは、その独特な形状から多様な用途に活用できます。3人乗りが可能で、後部座席には荷物を積載することもできるため、日常の買い物や短距離移動に適しています。
コインパーキングも利用可能で、都市部での駐車にも困りません。全高が1750mmと比較的低いため、一般的な立体駐車場も利用できる場合があります。
バーハンドルを採用しているため、運転操作はバイクに近い感覚です。しかし、三輪構造により安定性が高く、バイクよりも安心して運転できます。ただし、前輪が一輪のため、段差は直角に通る必要があるなど、運転時の注意点もあります。
トゥクトゥク市場では電動化の波も押し寄せています。EVベンチャー企業のeMoBiが開発した電動トゥクトゥク「KIRA」は、最高速度45km/h、航続距離80kmを実現しています。
充電時間は4時間で、価格は71万5000円からとなっています。電動モデルも250ccまでのトライクと同じ扱いのため、車検や車庫証明、ヘルメットは不要です。
電動トゥクトゥクは、アクセルを開けた瞬間から最大トルクが出るEVの特性により、平坦な道では2人乗りでも十分な加速性能を発揮します。ただし、回生制動がないため、ブレーキを使う頻度が多いという課題もあります。
今後は、ラストワンマイルモビリティとしての需要拡大や、観光地でのレンタル用途での活用が期待されています。MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の普及とともに、新しい移動手段として注目を集めています。