眠気を感じていなくても、マツダのカメラはすでに「レベル4」を検知して警告を出しています。
マツダのドライバーモニタリングは、運転席の前方に設置された赤外線カメラと赤外線LEDによって、ドライバーの顔を常時モニタリングするシステムです。この赤外線LEDは波長940nmという人間の目では感知できない帯域で照射しているため、ドライバーが光を感じることはありません。昼夜を問わず安定した認識が可能なのは、この仕組みがあるからです。
検知するパラメーターは大きく3つです。まず「運転操作」として、日ごろの操作パターンから逸脱していないかを判定します。次に「頭部挙動」として、顔の上下・傾きをチェックします。そして「視線挙動」として、視線の向きが一点に偏っていないかを監視します。これら3つを組み合わせて、総合的にドライバーの状態を判断する仕組みです。
特に注目したいのが、眠気を5段階に数値化している点です。各レベルの特徴を整理すると以下の通りです。
つまり、レベル4の段階が重要です。自分では「まだいける」と感じていても、システムは科学的に「いけない」と判断して警報を出します。この乖離こそが居眠り事故を未然に防ぐ核心部分です。
警報が出た際の表示は2段階あります。レベル4の「注意」ではメーター内に白文字で「休憩をおすすめします」と表示されます。レベル5の「警告」では表示がオレンジに変わり、警報音も強くなります。自分で気づくよりも先にシステムが教えてくれる、これが最大のメリットです。
なお、居眠り運転による死亡事故は、日本自動車研究所の調査によると全死亡事故の約3.9%を占めます。件数にすると約96件(2021年データ)です。高速道路よりも一般道での発生が約90%以上と多い事実は、多くの人が見落としています。高速だけ気をつければいいわけではないということです。
マツダのドライバーモニタリングは、2019年発売のMAZDA3が搭載の始まりです。ここから徐々に他の車種へと横展開されてきました。現在は以下の車種に展開されています。
グレードの差が重要です。同じ車種でもすべてのグレードに標準搭載されているわけではありません。MAZDA3の場合、ドライバーモニタリングは「360°セーフティパッケージ」というメーカーオプションセットに含まれており、価格は約8万6,880円でした。このパッケージには360°ビューモニターも含まれているため、ドライバーモニタリング単体での選択は難しい構造になっています。
CX-60とCX-80の「ラージ商品群」では、検知の精度と機能が大きく異なります。従来のスモール商品群では脇見と眠気の2種類の検知でしたが、ラージ商品群では「閉眼」「姿勢崩れ」もシステムが見ています。それだけ緻密に状態を把握しているということです。
マツダの公式サイトには「i-ACTIVSENSE 車種別適用表」が公開されており、どの車種のどのグレードに何が付くかを一覧で確認できます。購入前にこの表を見ておくと、予算との折り合いが付けやすくなります。
マツダ公式:i-ACTIVSENSE 車種別適用表PDF(ドライバーモニタリング搭載グレードの確認に便利)
DEAはドライバーモニタリングの「次のステップ」に位置する技術です。眠気を警告するだけでなく、ドライバーが完全に応答不能になった場合に、車両側が自律的に安全停車まで行います。正式名称は「Driver Emergency Assist」で、CX-60に2022年9月、CX-80に2024年10月と、2024年時点でこの2車種にのみ搭載されています。
作動の流れを順に説明します。まずドライバーモニタリングカメラが「居眠り」または「急病による異常姿勢(姿勢崩れ)」を検知します。次に、ディスプレイ表示と警告音でドライバーに応答を促します。この警告から少なくとも5秒間の猶予があります。応答がない場合は、DEAが自動作動を開始します。
DEA作動後の流れも覚えておくと安心です。ハザードランプが点滅し、ホーンが鳴りながら周囲に緊急停車を知らせます。その後、一般道・高速道路を問わず速度を落として停車します。停車後はドアが解錠され、ヘルプネット(緊急通報システム)に自動で接続されます。救急や警察への通報まで車がサポートしてくれる仕組みです。
作動条件は「車速5km/h以上で一定時間走行を継続している場合」です。停車中は作動しません。体調急変による事故の約95.8%が時速60km以下で発生しているというデータもあり、DEAは現実的な事故シナリオに対応した設計といえます。
ただし、DEAにも限界があります。
過信は禁物です。DEAはあくまで緊急時の「最後の砦」として位置づけるべき技術です。2022年には「カー・テクノジー・オブ・ザ・イヤー」と「第55回市村賞 市村産業賞 功績賞」を受賞するなど、外部からの評価も高い技術ですが、日常の安全運転を代替するものではありません。
マツダ公式CX-60取扱説明書:DEA(ドライバー異常時対応システム)の詳細な作動条件と手順
2025年8月に施行された欧州の新たな道路安全規制「GSR2(General Safety Regulation 2)」では、ドライバーモニタリングシステムの搭載が新型車に義務化されました。この規制対応を機に、英国の自動車メディア「WHAT CAR?」がドライバーモニタリングシステムの比較テストを実施しています。
テストは幹線道路や郊外路を模した約16kmのコースで実施されました。集中状態での走行、脇見、下向き視線、前方以外への頭部の動きなど、実際の危険運転に近い状況を再現して各メーカーのシステムを評価しています。その結果がこちらです。
マツダが最高評価を得た理由の一つが「カメラの位置」です。他社の多くがステアリングコラムの上部にカメラを配置しているのに対し、マツダCX-80はワイドなセンターディスプレイのフレーム(右上隅)にカメラを配置しています。これは身長差のあるドライバーを問わず安定して顔を認識できるという利点があります。身長が異なる家族が同じ車を使うようなシーンでも、認識精度が保たれる設計です。
また、テストでは「集中して運転しているのに誤って警告が出ない」という点も高く評価されました。誤報が多いシステムは運転者にとってストレスになり、最終的には機能をオフにしてしまう原因になります。使われなければ意味がない安全技術のため、誤作動の少なさは重要な評価基準です。
これは使えそうです。ただ1点、2025年末に欧州でワールドプレミアされた新型CX-5ではカメラがステアリングコラム上部に移動した模様で、今後の展開が注目されています。安全技術においてもマツダが試行錯誤を続けている証拠といえるでしょう。
マツダ情報ブログ:英国WHAT CAR?のドライバーモニタリングテスト結果とCX-80評価の詳細
ドライバーモニタリングは設定でON/OFFできます。マツダコネクトのホーム画面から「設定」を開き、ドライバーモニタリングの項目をOFFに変更する操作です。マツダ販売店でも設定変更が可能です。
しかし、オフにすることには慎重であってほしいポイントがあります。ドライバーモニタリングをOFFにすると、DEA搭載車ではDEAの連携機能も一部制限されます。眠気が気にならないからとオフにしてしまうと、急病時の自動停車支援も働かなくなる可能性があるためです。
カメラが正しく機能しないケースも知っておく必要があります。以下のような状況では、認識精度が落ちます。
これらの状況を知っておくことで、警告が出なかった=安全というわけではないことが理解できます。システムを過信しすぎると、かえって危険な判断をしてしまうリスクがあります。
システムを生かした賢い使い方としては、長距離ドライブ前に「ドライバーモニタリングがONになっているか」をひと目確認することです。マツダコネクトの設定は前回状態を記憶しているため、一度オフにした場合は次回も同様にオフのままになっています。また、DEA搭載車(CX-60・CX-80)を所有・購入予定の方は、販売店でDEAの作動デモを実際に確認しておくことを強くすすめます。見ておくのと知識だけでは、いざという時の対応が大きく変わるからです。
マツダ公式:ドライバーモニタリングの使用上の注意・警告(カメラが機能しないケースの公式記載)

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