飛行日誌を付けずにドローンを飛ばすと、前科がついて車の購入審査に落ちる場合があります。
ドローンの飛行日誌とは、1つの書類ではありません。「飛行記録」「日常点検記録」「点検整備記録」の3種類をまとめた総称です。
2022年12月5日に施行された改正航空法によって、特定飛行を行う場合にはこれらすべての記録を作成・携行・保管することが法的に義務付けられました。国土交通省の「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に基づき、記載内容や方法が細かく規定されています。
3種類の記録の役割の違いを整理しておきましょう。
つまり3種類すべてが揃って初めて法的に有効です。
特定飛行とは、DID(人口集中地区)の上空、夜間飛行、目視外飛行、高度150m以上の空域での飛行、人または物件から30m未満での飛行などを指します。住宅街や繁華街の上空はほぼDIDに該当するため、車の助手席から愛車を撮影する目的でドローンを飛ばしている方でも、特定飛行に該当していることが少なくありません。
飛行日誌はドローン1機につき1組作成が必要です。複数台所持している場合はそれぞれに用意しなければなりません。
参考:国土交通省による飛行日誌の公式様式とガイドラインが確認できます。
国土交通省 無人航空機の飛行計画の通報・飛行日誌の作成(公式)
点検整備記録は、日常点検記録よりも詳細なメンテナンスを実施したときに作成する記録です。これが必要です。
記録を行うタイミングはメーカーが推奨点検時間を定めている場合はそれに従い、特に指定がない場合は「20時間の飛行ごと」が基準となります。20時間というと、週1回・30分フライトを続ければ約40週(約10ヶ月)で到達する計算です。意外と早く来る節目ですね。
点検整備記録に記載すべき主な項目は以下の通りです。
空撮用カメラやジンバルを取り付けたり取り外したりした場合も、その記録を残す必要があります。また、前回の点検整備記録との区切りをわかりやすくするため、上下各1行を空けて「〆」を記載するというルールもあります。細かいですが、これが原則です。
記録はドローン1機につき紙または電磁的記録(電子データ)のどちらでも保管可能です。紙の場合は青または黒のボールペンで記載します。電子データで管理する場合は、必要なときに即座に表示・出力できる状態にしておく必要があります。
自作のExcelで記録を作っている方もいますが、国土交通省の公式様式を使うことが最も確実です。国交省の公式ページから無料でExcel・Wordの様式がダウンロードできます。
「どうせ罰則なんてないだろう」と思っている方は注意してください。厳しいところですね。
飛行日誌(飛行記録・日常点検記録・点検整備記録)を特定飛行で備えていない場合、記載すべき事項を記載しない場合、または虚偽の記載をした場合は、航空法第157条の11によって10万円以下の罰金が科されます。重要なのは、罰金刑は「前科」にあたるという点です。
10万円という金額だけ見れば「大したことない」と感じるかもしれません。しかし前科がつくと、転職審査や一部のローン審査、車の購入時の信販審査などに影響を及ぼす場合があります。
さらに、機体登録義務違反などほかの違反と重なると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金という、より重い罰則の対象になることもあります。飛行計画の通報義務違反では30万円以下の罰金が別途課されます。つまり複数違反が重なると、合算で相当な金額になります。
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 飛行日誌の不備・未記載・虚偽記載 | 10万円以下の罰金(前科あり) |
| 飛行計画の通報義務違反 | 30万円以下の罰金 |
| 機体登録義務違反 | 1年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
罰則を避けるために意識すべきは、「特定飛行をするかどうか」の事前確認です。飛行前にDIPSの地図機能でDID地区かどうかを確認する習慣をつけましょう。確認さえできれば問題ありません。
参考:航空法の条文そのものを確認できます。
飛行のたびに紙に書く作業は、現場ではかなりの手間になります。これは使えそうです。
スマートフォンアプリを活用することで、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録のすべてをスマホ1台で完結させることができます。国交省が公式に認めた電子記録の方式に対応したアプリを選ぶことが重要です。
現在利用されている主なアプリを紹介します。
アプリを選ぶ際は次のポイントを確認しましょう。国交省の様式要件を満たしているか、オフライン環境でも入力できるか、PDF出力に対応しているかの3点です。PDF出力ができると、機体認証の申請や発注者への提出物として使えて非常に便利です。
デジタル化を行うことで、記録の検索や複数機体の一元管理が大幅にラクになります。特に複数台のドローンを所持している車好きの方には、アプリ管理が圧倒的にオススメです。
ここはあまり知られていない視点ですが、車の整備記録簿と同じ発想でドローンの点検整備記録を捉えると、その価値がよくわかります。意外ですね。
中古車市場では、整備記録簿(点検整備記録簿)の有無が査定額に直接影響することはよく知られています。整備記録がある車は「安心できる一台」として、そうでない車より数万円〜十数万円高く評価されることがあります。これと全く同じことがドローンの世界でも起きています。
点検整備記録が揃っている中古ドローンは、機体の飛行履歴・メンテナンス状況・不具合の有無が明確に把握できます。逆に記録がないドローンは、バッテリーの劣化具合やモーターの消耗状態が不透明なため、購入候補から外されやすいです。
特にDJI Phantom 4やDJI Mavic 3などの中高価格帯の機体では、飛行日誌が揃っているかどうかで数千円〜1万円以上の差がつくケースも報告されています。
また、万が一飛行中に機体が落下して第三者の財物を損壊した場合、飛行日誌が残っていれば「適切に整備していた機体での不可抗力の事故」を証明する根拠となり得ます。記録がない場合、整備義務を果たしていないとみなされて、損害賠償リスクが高まります。結論は「記録が資産になる」ということです。
点検整備記録の管理が、ドローンの安全飛行だけでなく資産価値の維持にまで影響している——これは車好きの感覚と全く同じ発想で理解できる話ですね。日々の小まめな記録がいざというときの「証拠」として機能します。
参考:飛行日誌の詳細な義務化背景と書き方が確認できます。
ドローンの点検整備記録とは?飛行日誌が義務化された背景や目的(旭テクノロジー)