車好きのあなたが愛車を手放すと、日本全体の保有台数が0.1%以下しか変わらない。
一般財団法人自動車検査登録情報協会(略称:自検協、英語名:AIRIA)は、国土交通省が行う自動車検査登録行政を円滑に進めるために設立された法人です。毎月、全国のナンバープレートが付いている車両の台数を集計・発行しており、「自動車保有車両数月報」として公開しています。
この「保有台数」とは、登録自動車+小型二輪自動車+検査対象軽自動車+検査対象外軽自動車のうち、現在ナンバープレートがついている自動車の台数のことを指します。つまり、ナンバーを付けていない廃車予定の車や、仮ナンバーの車は含まれません。
自検協が公表するデータは、車好きにとって「今の日本に何台の車があるか」を正確に把握できる、最も信頼性の高い公式統計です。これは原則として登録自動車と小型二輪自動車が集計対象で、一部の資料には軽自動車の台数も含まれています。
データは毎月末現在の数値として毎月更新されており、各年3月末現在のデータを基にした「わが国の自動車保有動向」では、車種別の平均車齢・平均使用年数・都道府県別普及状況・メーカー別保有台数など、多角的な分析が公開されています。これが車に関するあらゆる業界調査や行政施策の基礎データとして使われています。
車好きとして「自分が乗っている車種は今日本に何台あるのか」「どの地域に多く普及しているのか」を知りたいときは、まず自検協のデータを見るのが基本です。
参考:保有台数の定義や月次発行データの詳細はこちら
一般財団法人自動車検査登録情報協会|自動車保有台数(公式)
「若者の車離れ」「EV転換」などの話題が多いなか、実際のデータを見ると驚きの事実があります。令和7年(2025年)12月末現在の自動車保有台数(軽自動車を含む)は 83,184,146台 です。前年同月の83,093,587台と比べると0.11%増加しており、実は総台数は今も伸び続けています。
昭和41年(1966年)のデータと比較するとその伸びは圧倒的で、当時わずか約812万台だったものが、約60年で10倍超になりました。これはちょうど甲子園球場100個分のグラウンドに並べた車を想像するような、途方もない規模感です。
ただし、内訳は変化しています。乗用車(登録車)は令和7年3月末時点で約6,205万台前後とほぼ横ばい傾向にある一方、軽自動車は一貫して増加を続けています。1975年に全保有台数の約10%だった軽自動車の割合は、2025年には約37%に達しています。つまり今や3台に1台以上が軽自動車という計算です。
| 年 | 総保有台数(万台) | 乗用車(万台) |
|---|---|---|
| 2015年(平成27年) | 8,067 | 6,052 |
| 2019年(平成31年) | 8,179 | 6,177 |
| 2023年(令和5年) | 8,245 | 6,195 |
| 2025年(令和7年)3月末 | 8,270 | 6,206 |
つまり「日本全体で車は減っている」は誤解です。総台数は増えており、軽自動車が市場を大きく牽引している構図が見えてきます。
一方で世帯当たり普及台数(全国平均)は令和7年3月末時点で1.009台となり、12年連続で減少しています。これは「車の台数」ではなく「世帯数の増加ペースが車の増加を上回っている」ことが原因です。台数が増えているのに普及台数が下がるというのは、世帯の増加スピードが速いためということですね。
参考:昭和41年から令和7年までの詳細な推移データはこちら
自動車保有台数の推移(昭和41年〜)PDF|自動車検査登録情報協会
自動車検査登録情報協会が発表している「令和7年 自家用乗用車の世帯当たり普及台数」のデータを見ると、地域による保有台数の格差は相当なものです。普及台数が最も多い都道府県は福井県の1.670台で、最も少ない東京都の0.405台と比べると、実に4倍以上の開きがあります。
これは具体的にどういうことかというと、福井県では1世帯あたり1台以上の乗用車を保有しており、2人家族の家庭なら実質1台以上持っているイメージです。一方、東京都では約2〜3世帯に1台という計算になります。
上位は北陸・山陰・北関東など、鉄道網が少ない「車社会」の地方県が占めています。1世帯あたり1台以上普及しているのは47都道府県中39県で、車なしでは生活が成り立たない地域が日本の大半を占めていることがわかります。
この地域差は車好きにとって意外な示唆をもたらします。同じモデルの中古車でも、地方の車は走行距離が多くなりがちですが、それは「毎日の足として使われていた証拠」でもあります。購入時の走行距離チェックは大切が基本です。
なお、このデータは毎年更新されており、自検協の公式サイトからPDFで無料ダウンロードできます。地元の都道府県がどの順位にあるか確認してみるのも、車好きとしてなかなか面白い作業です。
参考:令和7年の都道府県別世帯普及台数の詳細データはこちら
令和7年 自家用乗用車の世帯当たり普及台数(PDF)|自動車検査登録情報協会
自動車検査登録情報協会が公表している平均車齢のデータは、車好きにとって非常に注目すべき数字です。令和7年(2025年)3月末現在、軽自動車を除く乗用車の平均車齢は9.44年となり、33年連続で高齢化が進んでいます。
1980年時点では平均車齢が4.25歳だったことを考えると、45年間でほぼ倍以上に延びたことになります。これはほぼ、自動車の耐久性向上・品質改善の歴史そのものといえます。
平均使用年数(廃車にするまでの期間)についても、乗用車は13.32年(令和6年時点)という長期に及んでいます。かつて「10年10万km」といえば買い替えの目安と言われていた時代がありましたが、今やその指標はとっくに過去のものです。10年10万kmは、もはや通過点に過ぎません。
なぜ車の高齢化が進んでいるのか、主な理由として以下が挙げられます。
これは車好きにとって有利な面もあります。旧車や年式の古いスポーツカーを大切に維持しているオーナーは、もはや「時代の先端」を行っているともいえるわけです。平均9.44年というデータは、愛車を長く乗り続けることが「スタンダード」になったことを示しています。
ただし、長期保有には車検・整備費用がかかる点は注意が必要です。特に10年超の車は消耗品の交換が重なりやすく、1回の車検で10万円以上の出費になるケースも珍しくありません。維持コストを抑えるには定期点検の徹底が条件です。
参考:平均車齢の詳細データ(自動車検査登録情報協会 公式PDF)はこちら
平均車齢データ(令和7年版)PDF|自動車検査登録情報協会
自動車検査登録情報協会が公表している「わが国の自動車保有動向」では、ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表も掲載されています。この数字から見えてくるのは、EVブームに対する「実像」です。
まず日本国内のEV(電気自動車・BEV)の保有台数は、着実に増えているものの、全体の保有台数8300万台超に対してまだ数十万台規模にとどまっています。2025年のEV新車販売台数は約101,863台(乗用車全体の約2.7%)で、2024年に続き2年連続の減少となりました。保有台数全体に占めるEVの割合は1%台です。意外ですね。
一方でハイブリッド車は伸びが顕著です。2025年の販売データでは国内の新車販売のうちHEV(ハイブリッド)を含む電動車比率は50%超に達しており、保有台数ベースでもハイブリッドが着実にシェアを拡大しています。
この状況は、車好きにとって「今すぐEVに乗り換えなくても焦る必要はない」ということを意味します。インフラ整備や価格帯、航続距離などの課題が解決されるまでは、ハイブリッド車が現実的な選択肢として主流であり続けるでしょう。
注目すべき独自の視点として、EV普及が遅れている地域は「車社会の地方」であることが多い点があります。充電インフラが整っていない福井県や山形県などの高普及率県では、長距離通勤に対応できるガソリン車・ハイブリッド車の需要が依然として圧倒的です。つまり「EV普及率が低い県=保有台数の多い地方県」という逆相関の構図が生まれています。
保有台数データを見ると、日本全体でEVへの完全移行にはまだ相当な時間がかかることが読み取れます。EVの動向を正確に知るには、自検協の「ハイブリッド車・電気自動車の保有台数推移表」を定期的にチェックするのが最も確実です。
参考:HEV・BEV等の保有台数推移はこちらでも確認できます
わが国の自動車保有動向(HEV・BEV含む)|自動車検査登録情報協会
自検協のデータは、行政や業界関係者だけのものだと思っている人が多いですが、実は車好きの個人にとっても非常に使えるデータです。ここでは、普段の「カーライフ」に活かせる具体的な活用方法を紹介します。
まず「自分の愛車が今日本に何台あるのか」を調べることができます。自検協の「わが国の自動車保有動向」に掲載されているメーカー別・通称名別の保有台数データを見れば、自分が乗っている車のレア度やシェアがわかります。マニアックな輸入車に乗っている人であれば「日本に何台しかいない」という希少性を確認できますし、人気車種に乗っている人なら「これだけ部品や整備の情報が豊富なのか」という安心感にもつながります。
次に、中古車購入時の判断材料にもなります。自検協のデータには「初度登録年(新車として最初に登録された年)ごとのメーカー別・車名別保有台数」が掲載されています。特定の年式・モデルが今何台残っているかを知ることで、中古市場での流通量の多寡や、価格相場の安定性を推測することができます。台数が多いモデルほど部品の入手性が高く、維持コストが低い傾向があります。これは使えそうです。
また、住んでいる地域の「車社会度」を確認する使い方もあります。引っ越し先や旅行先の都道府県別保有台数を調べることで、その地域がどの程度「車なしでは不便か」を事前に把握できます。転勤族の方や、新天地への移住を検討している車好きにとって、非常に実用的な情報です。
さらに、自検協のデータは毎月更新されているため、「今の自動車市場の動向」をリアルタイムで把握できます。愛車の売却タイミングを考えている場合、同じ車種の保有台数推移を追うことで、今後の中古価格の方向性を読む参考になります。保有台数が減り続けているモデルは希少価値が上がる一方、急に増えているモデルは中古相場が下がりやすい傾向があります。
データはすべて無料でダウンロードできるのが強みです。無料は必須です。PDFやExcel形式で提供されているため、スプレッドシートで自分なりのグラフを作ることも難しくありません。
車が好きであればあるほど、ただ「好き」で終わらず「数字で理解する」ことで、より深い知識と実用的な判断力が身につきます。自検協の保有台数データは、そのための最も信頼できる出発点です。
参考:統計情報の一覧・各種データのダウンロードはこちら
統計情報一覧|一般財団法人自動車検査登録情報協会(公式)