ETC2.0の車載器を付けなくても、割引が受けられる道路がある。
ETC2.0が登場したのは2016年のことです。それまでのETCは「料金所をノンストップで通過する」ことが主な目的でした。ETC2.0はその機能を引き継ぎつつ、「情報の双方向通信」という大きな特徴を加えた次世代システムです。
従来のETCは、入口・出口のアンテナと車載器が通信して料金を処理するだけでした。一方でETC2.0は、全国の高速道路に設置された「ITSスポット」(約1,800カ所)と通信し、走行中の車に多彩な情報を届けられます。情報サービスのプラットフォームへと進化したということですね。
最も分かりやすい違いは「通信できる情報量と範囲」です。従来のETCでは近隣の渋滞情報しか取れなかったものが、ETC2.0では最大1,000km先までの道路状況をリアルタイムで受信できます。東京から大阪方面へのドライブ中でも、名古屋付近の渋滞情報を事前にキャッチして迂回できるイメージです。これは使えそうです。
また、従来は文字情報のみだった交通案内が、ETC2.0では静止画像での提供も可能になっています。前方の事故現場の様子や、天候・路面状況を視覚的に確認できる点は、安全運転の観点から見ても大きな前進といえるでしょう。
2025年3月時点のETC2.0利用率は36.6%と報告されており、導入車両は着実に増加しています。
参考:ETC2.0のシステム概要・国土交通省の公式PDF(機能の詳細を確認できます)
ETC2.0のシステム概要|国土交通省
ETC2.0を導入することで得られるメリットは大きく5つあります。それぞれ内容を整理しておきましょう。
① 圏央道などの対象区間で約20%割引
ETC2.0の割引が適用される区間は以下の通りです。
| 割引対象区間 | 割引率 |
|---|---|
| 圏央道(茅ヶ崎JCT〜海老名JCT・海老名JCT〜木更津JCT) | 約20%割引 |
| 新湘南バイパス(藤沢IC〜茅ヶ崎JCT) | 約20%割引 |
| 東海環状自動車道 | 割引適用 |
これらの区間を定期的に走るドライバーにとっては、毎月の高速代がじわじわ安くなります。例えば往復1,000円の区間なら月20回利用で4,000円の節約です。積み重ねれば年間で数万円の差になります。
② 道の駅への一時退出が追加料金ゼロ
長距離ドライブでの悩みといえば、SAやPAの混雑です。ETC2.0搭載車なら、対象ICで一旦高速を降りて近くの道の駅に立ち寄り、2時間以内に同じICから再進入すれば、高速を降りなかったのと同じ料金になります。この制度は「賢い料金・社会実験」として国土交通省が推進しており、全国の複数の道の駅が対象です。通し料金が条件です。
③ 最大1,000kmの渋滞情報でルート最適化
ETC2.0対応のカーナビと連携することで、最大1,000km先の渋滞情報をもとに最速ルートを自動で案内してくれます。これは東京〜博多間に相当する距離です。スマホのカーナビアプリとはカバー範囲が異なり、高速道路上のより精密な情報を取得できる点が強みです。
④ 急カーブ・事故多発地点の安全情報を受信
ITSスポット経由で、前方の落下物・急カーブ・事故多発箇所・渋滞末尾の追突危険地点などの情報が音声と画像で通知されます。冬季には路面凍結やチェーン着脱場の情報もリアルタイムで受信できます。これは安全面での大きな安心材料です。
⑤ 災害時の避難誘導を受けられる
地震・豪雨などが発生した際、ETC2.0は通行止め区域・走行可能ルート・避難場所の情報をリアルタイムで受信できます。さらに、インターネット回線がダウンしている状況でもETC2.0は情報受信が可能です。能登半島地震の際も、国土交通省がETC2.0のデータを活用して支援物資輸送ルートの把握に役立てた実績があります。
参考:ETC2.0の割引詳細(NEXCO中日本公式)
ETC2.0割引(圏央道)|NEXCO中日本
メリットばかりに目が向きがちですが、デメリットもしっかり把握しておく必要があります。知らずに導入すると「思ったより得しなかった」と感じるケースがあるのも事実です。
❶ 車載器の導入コストが高い
ETC2.0の車載器は、従来のETC車載器よりも割高です。費用の内訳を整理すると下記のようになります。
| 費用項目 | 相場 |
|---|---|
| ETC2.0車載器本体 | 約15,000〜30,000円 |
| 取り付け工賃 | 約3,000〜10,000円 |
| セットアップ費用 | 約3,000〜5,000円 |
| 合計(目安) | 約21,000〜45,000円 |
対して、NEXCOが実施する助成キャンペーンを活用すれば最大10,000円が補助されるため、実質負担を抑えることはできます。ただし、助成キャンペーンには台数上限と期間制限があります。
❷ 割引の対象区間が限られている
ETC2.0の割引メリットは、特定の区間(圏央道・新湘南バイパス・東海環状自動車道)を利用する人に限られます。それ以外の区間を主に走るドライバーにとっては、通常ETCと料金面での差はほぼありません。割引を目当てに導入するなら、まず自分が普段走る道が対象区間かどうかを確認するのが先決です。
❸ 情報サービスにカーナビ連携が必要
渋滞回避ルートや安全支援の画像情報など、ETC2.0の上位サービスを活かすにはETC2.0対応のカーナビが必要です。車載器単体では音声での通知に限られます。カーナビの相場は7万円〜10万円程度であり、トータルの導入コストは車載器だけでなくナビ代も含めて考える必要があります。
❹ 従来の車載器との互換性がない場合がある
2015年6月以前に取り付けた旧世代のETC車載器は、ETC2.0への切り替えができません。買い替えが必要です。また、バイク向けの車載器は自動車用とは別規格であるため、間違った機種を搭載すると料金所での誤作動を起こすリスクがあります。互換性の確認は必須です。
参考:ETC総合情報ポータルサイト(利用機器の詳細を確認できます)
サービス利用に必要な機器|ETC総合情報ポータルサイト(一般社団法人ITSサービス高度化機構)
ETC2.0を検討する上で見逃せないのが「2030年問題」です。これは、セキュリティ規格の変更により、現行の旧セキュリティ規格のETC車載器が将来的に使用できなくなるという問題です。
旧規格のETC車載器をそのまま使い続けていると、2030年頃に突然「高速道路でETCが使えなくなる」という事態になりかねません。厳しいところですね。
自分のETC車載器が旧規格かどうかは、カード挿入口の周辺に「■(黒い四角マーク)」があるかで確認できます。このマークがある機種は旧セキュリティ規格であり、将来的な使用不可の対象になります。また、「DSRC ETC」のロゴが入った機種も同様に旧規格です。
新しい規格に対応しているかどうかは、型式登録番号の末尾の数字でも判断できます。「1」であれば新規格対応、「0」であれば旧規格です。自分の車載器の番号を確認してみましょう。
2030年問題への対応としてETC2.0車載器への買い替えが推奨されている理由は、ETC2.0は新セキュリティ規格に対応しているからです。つまり2030年問題の対策と、ETC2.0の機能取得を同時にクリアできます。一石二鳥ということですね。
なお、NEXCOは助成キャンペーンを実施しており、新規取り付け(ETC・ETC2.0両方対象)につき最大10,000円が補助されます。2025年も各エリアで順次キャンペーンが行われています。購入する前にNEXCOの公式ページでキャンペーン期間を確認してから動くと、費用負担をかなり抑えられます。
参考:2030年問題と旧ETC車載器の詳細(JAFトレーニングサービス公式)
ETCが廃止される?差し迫る2030年問題について詳しく解説|JAFトレーニングサービス
参考:NEXCO西日本ETC車載器購入助成キャンペーン(助成の最新情報を確認できます)
関西・中国・四国・九州エリアETC車載器購入助成キャンペーン|NEXCO西日本
ETC2.0が「本当にお得かどうか」は、走る道と頻度によって大きく変わります。これが原則です。
まず、下記のチェックリストで自分の走行パターンを確認してみてください。
1つでも当てはまるなら、ETC2.0への切り替えを検討する価値があります。特に「現在のETCが旧規格かもしれない」という人は、機能アップと将来対策を同時に叶えられるため、コスト面でも合理的な判断になります。
一方で、「高速をほとんど使わない」「対象区間を走らない」という人は、無理にETC2.0にする必要はありません。通常ETCで当面は問題なく通行できます。ただし、その場合でも2030年問題の対応時期がきたら買い替えは必要になります。今ならキャンペーンで最大10,000円の助成が受けられますが、将来は助成がなくなる可能性もあります。早めに動くほど実質コストは低くなるということですね。
また、ETC2.0の機能を最大限に活かしたい場合は、対応カーナビとの連携も検討してみましょう。車載器単体でも割引や音声情報は受けられますが、視覚的な渋滞情報や安全支援の画像を活用するにはカーナビ連携が必要です。カーナビの更新タイミングと合わせて導入すると、費用を二重に払わなくて済みます。
参考:ETC2.0の普及情報・機能詳細(ETC総合情報ポータルサイト公式)
便利なETC2.0|ETC総合情報ポータルサイト(一般財団法人ITSサービス高度化機構)

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